見付天神裸祭り・浜垢離

【祭礼日】8月10日直前の土曜日の3日前(旧暦)
【場 所】福田海岸(磐田市福田)

【日 程】10:00(松原の神事)、10:30(海原の神事)、11:00~11:30(浜垢離)

見付(ミツケ)天神裸祭りは、見付天神社(矢奈比売神社)の祭神矢奈比売命(ヤナヒメノミコト)が、御輿に移され遠江国の総社である淡海国玉(オウミクニタマ)神社へ渡御する際に行われる祭で、渡御に先立ち裸の群衆が町中を練り歩き、拝殿で乱舞することから裸祭りと呼ばれています。

今回は、御大祭(ゴタイサイ)の3日前に行われる浜垢離(ハマゴリ)の行事を見学しました。浜垢離は、祭りに参加する氏子の心身を清めるために行われます。

【松原の神事】最初に、遠州灘に面した福田(フクデ)海岸の松原の中で「松原の神事」と呼ばれる「松原放生会祭」が行われます。斎場には注連縄が張り巡らされ、見付天神社の方角に向けた祭壇の傍らの松には鉾と先供(サキトモ)・輿番(コシバン)の浜印の旗が結え付けてあります。先供は「お道具持ち」とも呼ばれる世襲の名誉職で、輿番は年交代で御輿を担ぐ人です。今年の輿番は地脇町(ジワキチョウ)です。

この神事は、神宝を祓い清め、命之魚(ミョウノウオ)を放ち一年の殺生の穢れを流すとされています。大原の大杉家献上の命の魚を神前に献じ、祝詞奏上・玉串奉奠の後、神職と先供が近くの小川に命之魚の鯔(イナ)数匹を放流します。鯔はぼらの子です。

【海原の神事】次に、海辺に出て「海原の神事」を行います。最初に、神職が波打ち際に出て海に向かって、鉾と御幣の付いた榊の枝を束ね持ってこれを振り祓い清めます。次に、砂浜に鉾と大榊とともに「御輿先供係」・「御輿番・地脇」と書かれた浜印の旗を束ねて立てます。

次に海に向かって設けられた祭壇の前で、宮司が祝詞奏上した後、神職が参列者を榊と切幣(キリヌサ)で祓い、長さ20cmほどの竹串に紙垂(シデ)を付けた小祓いを神職を含め全員に配ります。全員がこの小祓いで全身を祓い清め、最後に小祓いに息を吹きかけます。

【浜垢離】神職を含め全員がその場で六尺褌一つの禊ぎ姿になり、神職と先共は白地に赤い神紋の剣梅鉢(ケンウマバチ)の鉢巻をし、28町の氏子はそれぞれの町印の鉢巻をします。穢れを託した小祓いは鉾・大榊などが立てられた脇に置いてある木桶の回りに突き立てます。宮司・禰宜・権禰宜の4人が荒波の中、膝まで海に入り禊ぎをします。

次に、先供が「御輿先供係」と書かれた浜印の旗を先頭に掲げて、揃って手を打ちながら海に入り禊ぎをします。潮水を木桶に汲み取り、次に波打ち際の丸い小石12個を拾い浜砂とともに、紙垂の付いた締め縄で飾られた楕円形の桶に入れます。浜砂と潮水は御大祭前日の「御池(ミイケ)の清祓い(キヨハライ)」に、小石は御大祭の「御輿出御祭」に使うそうです。

この後、輿番を先頭に28町の氏子が町の浜印の旗を掲げて、町毎に一団になって次々に海の中に入り垢離をとります。この日は大波が打ち寄せる荒海でした。子供たちは大人に肩車をしてもらい片手に持つ大きな金色の觸鈴(フレスズ)を懸命に振り続けます。昨年見学した御大祭で行われる「鬼踊り」を思い出しました。

垢離とりが終わると、各町毎に集まり松原の中にある着替え所に向かいます。この時も肩車された子供が觸鈴を振っています。着替えが済むとその場で宴会が予定されているようでしたが見学せず、帰りのバス停に向かいました。

 

        松原の神事                         命の魚放流

 

    鉾と榊で祓う                            大榊と鉾を建てる

 

   祝詞奏上                                  小祓いを配る

 

 小祓いで全身を祓う                         小祓いを突き立てる

 

    海水を汲み取る                           海水と砂と小石12ヶ

 

浜垢離

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