真鶴貴船まつり・宵宮

【祭礼日】7月27日
【場 所】貴船神社(神奈川県足柄下郡真鶴町真鶴1117)

【日 程】10:30(小早船進水式=宮本)、11:20~11:50(神輿海上渡御=宮本~宮前)、12:10(祭式=神社)、12:50(鹿島踊り=舩玉龍神社横)、13:30(発輿式=神社)、14:40~15:10(神輿海上渡御=宮前~宮本)、16:10(假殿祭=宮本)、16:20(鹿島踊り=宮本)、16:30(花山車下降=発心寺)、17:30(花山車着納=宮本)

真鶴町は、近世以来石材採掘業・石材回漕業・漁業などが栄えた町で、貴船まつりはこれら業界の海上安全・豊漁を祈願する祭りで江戸時代前期から続くといわれ、日本三大船祭りの一つとして知られています。

早朝、真鶴港に着いたのですが何か様子がおかしい。今年の神輿の海上渡御は中止になっていたのです。昨年、貴船まつりの小早船が転覆したことが影響して、台風12号が来そうだということで大事をとって数日前に中止を決めたそうです。同じ様に事情を知らずに海上渡御を見るために港に来ていた人が数十人もいました。

已むを得ず、飾り付けされた東・西の小早船(コバヤブネ)を写真に収めた後、煩悩の数だけあるという108の階段を上がり貴船神社の祭式を見学し、神社から80数段の大石段を下りた舩玉龍神社横で鹿島踊りが奉納されるのを待ちます。

【鹿島踊り】茨城県鹿島神宮の神人による疫神送り(悪霊祓い)がその起源といわれ、千葉県、及び神奈川県西部から静岡県伊豆半島東部の沿岸部に伝播しています。真鶴の鹿島踊りでは、五穀豊穣・悪疫退散・大漁海上安全を祈願して踊ります。

真鶴の鹿島踊りは、白地に紺の波模様入りの浴衣姿で尻端折りし揃いの手甲を着け、輪の中の1人が締め太鼓を打ち、その隣で2人が鉦を打ち鳴らし、三役(黄金柄杓(コガネヒシャク)・ヒガタ・ツキガタを持つ3人)が右手に団扇を持ち、左手に黄金柄杓・ヒガタ・ツキガタが天辺に付いた長柄の幣を振り上げ、黄金柄杓からは時折、細かく切った色紙が舞い散ります。

踊りの周りを、5~6人の子供が右手に団扇を持ち、左肩に白い幣束の柄を載せて周回します。以上の踊りは円形で、真鶴ではマル踊りといいます。

行列を組んで進む列形では、警護竹を持った警護役の4人を先頭に、締め太鼓1人・鉦2人・三役・幣束を持つ子供5~6人の順で並び、歌上げ(歌い手)6人は、行列の側面で縦一列になり進みます。

歌上げは浴衣姿に黒い長袢纏を羽織り、右手に団扇を持ち左肩に金・赤・白・緑などのカラフルな幣束の柄を肩に載せて唄います。歌詞には鹿島信仰と弥勒(ミロク)信仰との習合が認められます。

これまでに見学した伊豆半島東部6地区の鹿島踊りでは、白張浄衣(ハクチョウジョウイ)の白装束姿(うち2地区は黒い烏帽子を被る)で、小江戸といわれる真鶴のやや華やかな衣装・採り物とは異なります。浴衣姿ではなく白張浄衣であること、着物を尻端折りしない、団扇ではなく扇子を持つ、三役の持つ幣には馬簾(バレン)(上部から垂れ下がった細長い飾り)はない、などに違いがあります。

大石段最下部にある舩玉龍神社横での鹿島踊りの奉納が終わると、神社から大石段を駆けるようにして神輿が降りて来ます。しかしながら神輿の海上渡御がないのでその後の予定がさっぱり分かりません。

魚市場の日影で休んでいると3人の神官と3人の雅楽奏者を乗せた大きな漁船が宮前の方向からやってきました。貴船神社の幟を立て、1人の神官が五色の長い布を付けた笹竹を振り、1人が切幣(キリヌサ)らしきものを岸辺に向けて撒いています。神輿を載せる予定だった神輿船なのかもしれません。華やかに飾られた小早船に較べると地味そのものです。

神輿船らしき船が海上を通り過ぎた5分後に、やはり宮前の方から賑やかな囃子の音ともに花や提灯で飾られたトラック2台がゆっくりと走って来ました。よく見ると東・西の真鶴囃子の一行でした。  

1時間ほどすると宮本で神輿の海中渡御が始まりました。最初、東地区で次に西地区で行います。小早船が係留されている海岸はゆるい階段状のコンクリートになっていますが、遠浅ではないので30人ほどの担ぎ手が進むと神輿はたちまち水没し屋根しか見えなくなってしまいます。

神輿の海中渡御が終わると、東地区の岸壁で大太鼓1人・締め太鼓8人による真鶴囃子が披露されます。昨夜の「城北ひまわり子供会」の真鶴囃子も同じ構成でした。

気が付くとお假殿(オカリデン)で、神官と関係者10数人が集まり神事が行われています。お假殿の中には神輿が2基安置されています。1基は小振りで輝きがなかったので海中渡御に使用されたもののようです。

神事が終わると、東地区の海岸で鹿島踊りが始まります。踊りの最中にお母さん方が踊り手に子供を抱いてもらい、子供の無病息災などを祈願します。その後、お假殿前に移り鹿島踊りが奉納されます。

鹿島踊りが終わる頃、200mほど離れた所にある発心寺を出た花山車(ハナダシ)がお假殿前に着きます。ここで重さ約60Kgの花山車を持ち上げて一舞した後、皆で手打ちし花山車着納の儀式を終えます。

<真鶴鹿島唄>

口上 千草振る神々の いさめなれば 弥勒踊めでたい
本唄一 マコトヲヲヤアーラアノヲーナエマアーナ
    ツウウウルウウミイーナアアトヲヲンヲーエ
脇唄  そをらああみいろををーーーくうをーー
    おふうねえーーーがあゝつうーーーーいたあと (意訳=誠やら真鶴港へ弥勒お船が着いたと)

本唄二 ヲヘヤンソトヲヲモヲヲヘエーニイイイワアナエ
    セエエエトカアースウウガアアンノヲヲ――
脇唄  そをらあなあかあーーーえあわあゝ
    かあしいまあゝのをーーーやあしいろ (意訳=艫舳(トモヘ)には伊勢と春日の、中は鹿島の御社) 

 (以下略)

 

 東小早船                                   西小早船

 

鹿島踊りの採り物                         歌上げ     

 

鹿島踊り(舩玉龍神社横)

 

     鹿島踊り(舩玉龍神社横)                      大石段を下る神輿       

 

    神輿船?                                 真鶴囃子の車

 

海中渡御する神輿

 

鹿島踊り

 

お假殿前                                   花山車

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