種蒔三番叟(大仁神社)

【祭礼日】11月3日
【場 所】大仁神社(伊豆の国市大仁209)

【日 程】9:00(稚児行列=大仁公民館~大仁神社)、10:00(例祭神事)、11:00(浦安の舞)、11:20(種蒔三番叟)、12:20(しゃぎり演奏)、12:40(餅まき)、13:00(芸能大会)

大仁(オオヒト)神社の秋季例祭の中で奉納される「種蒔三番叟」は「式三番叟(シキサンバソウ)」と呼ばれる郷土芸能で、「千歳(センザイ)」「翁(オキナ)」「三番叟」の三つの場面で構成されています。式三番叟は、もともとは五穀豊穣を祈る農村行事で、千歳は若者、翁は集落の長、三番叟は農民の象徴であるといわれています。

式三番叟は、静岡県では伊豆半島に集中して伝承され、伊豆の国市では、韮山地域に2ヶ所(原木(バラキ)の荒木神社、寺家(ジケ)の守山八幡宮)、大仁地域に3ヶ所(田京(タキョウ)の広瀬神社、三福(ミフク)の熊野神社、大仁の大仁神社)、合計計5ヶ所に伝承されています。今回は大仁の種蒔三番叟を見学しました。

伊豆箱根鉄道の大仁駅から大仁神社に向かって歩き始めてすぐに稚児行列の一行に出会いました。稚児行列は、警護2人・神職・唐櫃(カラビツ)・ 金棒(カナボウ)2人・面箱持ち・三番叟演者三役・三番叟下方(シタカタ)・舞姫3人・稚児5人などの順で神社に向かいます。

警護の2人は消防団の制服姿に錫杖を持ち、金棒の2人は、ピンクの襦袢の上に重ね着した市松模様の半着を片肌脱ぎし、錫杖を地に打ちつけながら進みます。

30段余の石段を登り高台にある神社に着くと、一行はそのまま拝殿に入り例祭神事に参列します。境内には手作りの売店が10軒ほど並んで、焼きそば・鮎めし・アイスクリーム・たこ焼き・ジュース・サイダー・焼き鳥・大福・あべ川だんご・プラモデル等を販売しています。

神事が40分ほどで終わりしばらく休憩の後、境内の特設舞台で浦安の舞が奉納されます。最初に、狩衣(カリギヌ)姿に烏帽子を被る神職が三方(サンボウ)に盛った塩を撒き舞台を清めます。浦安の舞は3人の舞姫が扇の舞と鈴の舞を舞います。

次に、種蒔三番叟が千歳(センザイ)の舞・翁の舞・三番叟の順で奉納されます。

三番叟三役のうちの千歳は、白の直垂(ヒタタレ)・指貫(サシヌキ)姿に侍(サムライ)烏帽子を被る男児です。翁は、薄茶色の狩衣(カリギヌ)姿に立(タテ)烏帽子を翁掛けする青年です。三番叟役は、白の直垂・赤の指貫姿に剣先(ケンサキ)烏帽子を被る男児です。

下方は、裃姿の太鼓(オオド)1人・小鼓(コド)3人・笛1人が舞台奥に並び、舞台下手(左側)に羽織袴の拍子木打ち1人が座ります。謡いは太鼓・小鼓の4人が兼ねていたようです。

【千歳の舞】最初に、舞台中央で千歳役が翁役に面箱を渡した後、千歳役と翁役は舞台上手(右側)に並んで座ります。

次に、三番叟役が面を被らない直面(ヒタメン)で下手から現れ、舞台中央の奥側(下方の手前)に後ろを向いて座ると、千歳は上手から中央に出て、閉じた檜扇(ヒオオギ)を持って舞います。

【翁の舞】翁が上手で白式尉(ハクシキジョウ)面を着け舞台中央に立つと、舞台奥に座っていた三番叟役が立ち上がり下手側から翁と向かい合い「対面」します。対面の後、三番叟役は舞台中央の奥側で前を向いて座ります。翁は檜扇を持って舞い、舞台上手で面を脱いだ後、直面で舞います。舞が終わると翁は舞台下手から去ります。

【三番叟】最初、檜扇を持って直面で舞い(揉(モミ)の段)、次に、舞台中央で黒木尉(クロキジョウ)面を着けた後、舞台中央で千歳と問答を交わし、千歳から鈴を受け取ると檜扇と鈴を持って舞います(鈴の段)。この時、種蒔きをするような所作をします。千歳の舞・翁の舞・三番叟は全部で50分ほどかかります。

種蒔三番叟が終わると、同じ舞台で三島囃子保存会によるしゃぎり演奏があり、最後に舞姫・三番叟演者・下方・しゃぎり隊の全員がそろって舞台から紅白の餅をまきます。

この後、午後2時から行われる「田京の三番叟」を見学するため、伊豆箱根鉄道の田京駅から広瀬神社に向かい、途中で稚児行列に出会い一緒に神社に着きました。

境内は大勢の人で賑わっていましたが、この日午前8時40分頃、巡行していた山車2輛のうち1輛が横転し10数人が負傷し、うち1人が死亡する大きな事故があり、このため急遽、三番叟奉納は中止となったことを知りました。餅投げも手渡しに変更され、これを見届けたあと田京駅に戻りました。

 

稚児行列(警護・神職・唐櫃)                                   稚児行列(金棒)       

 

     稚児行列(面箱持ち・三番叟演者)                        稚児行列(三番叟下方・舞姫)     

 

    稚児行列(稚児)                                       例祭神事(祝詞奏上)

 

        舞 姫                                               三番叟演者と下方

 

    浦安の舞(扇の舞)                                      浦安の舞(鈴の舞)

 

三番叟(千歳の舞)

 

三番叟(三番叟と翁が対面する)           三番叟(翁の舞)    

 

       三番叟(三番叟・揉の段)                          三番叟(千歳が三番叟に鈴を渡す)

 

三番叟(三番叟・鈴の段)

 

しゃぎり演奏                                                      餅まき     

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