今田の花の舞(一之宮・二之宮神社)

【祭礼日】11月第二土・日曜日
【場 所】一之宮神社(浜松市天竜区佐久間町奥領家321)・二之宮神社(浜松市天竜区佐久間町奥領家485)

【日 程】土曜日18:00~日曜日02:00

「今田(イマダ)の花の舞」は一ノ宮神社と二ノ宮神社で一年交代で奉納されます。一ノ宮神社と二ノ宮神社は100mほどしか離れていず、奥深い山中でこんなに近いところに神社が何故二つあるのか不思議です。禰宜(ネギ)さんもそれぞれ一人ずついるようです。今年は一之宮神社で奉納されます。

JR飯田線城西駅から天竜川の支流沿いに山道を上り、途中、川から離れると1km余は急坂になり休み休み登ります。城西駅から神社までは3Kmあります。

【舞 処】神社拝殿前の吹きさらしの建物が舞処となり筵が敷き詰められています。舞処の中央に1m四方ほどの炉が切ってあり、鼎(カナエ)に置かれた釜の湯はすでに沸いています。釜の上の天井には五色の短冊や切り紙などで飾られた「白蓋(ビャッカイ)」が吊り下げられ、これを囲むように注連縄が四方に張られています。愛知県東三河の「花祭り」の「湯蓋」よりは簡素な作りですがよく似ています。

【式次第】1.天権(テンゴン)まつり(神降ろし)、2.しめおろし、3.神寄せ、4.地がため、5.花舞、6.やちご、7.扇のみつん舞、8.扇の手、(番外)御湯探(湯買銭) 、9.ちょうしの舞、10.つるぎのみつん舞、11.やくじん舞、12.かなやま、13.みかぐら、14.火のう様・水のう様、15.ほんつるぎ、16.ねぎめん、17.おにめん、18.かまあらい、19.しめきり、20.しずめ

1.神降ろし 舞処の左奥にある舞人の控部屋で行います。太鼓の上に御神酒を載せ、太鼓の脇に三角の幣を立て、白の着物に黒の羽織を着け烏帽子を被った禰宜が笏(シャク)を持ち神を降ろす神事を行います。以後の神事・舞はすべて舞処で行います。

2.しめおろし 禰宜と着物を着け烏帽子を被った神事役2人がそれぞれ笏を持って、禰宜は口に葉を咥えて神を注連縄に迎えます。

3.神寄せ 狩衣(カリギヌ)姿の禰宜と神事役1人が釜の前に座って、六十六国の社と神々の名を読み上げ座に呼び寄せます。

4.地がため 袖長の白の着物を着け烏帽子を被った神事役1人が、鈴と扇を持って東・西・南・北・中央の五方に向かって舞い地を浄めます。以上で神事が終わります。

5.花舞 白の半着を赤の帯で締め、花笠を被った4人の子供が鈴と扇を持って舞います。花笠は4本の竹ヒゴをお椀を臥せた形に組み、その天辺に四つ葉の形にした赤と白・緑と白の紙を付けています。

6.やちご 紺の半纏に赤の襷を肩掛けし「やちご」を持った4人の青年が舞います。やちごは長さ60cmほどの割竹の先に白の幣を付けたものです。

7.扇のみつん舞 着物・袴姿に赤の襷を肩掛けした壮年の3人が鈴と扇を持って舞います。

8.肩の手 青の着物・袴姿に赤の襷を肩掛けした青年4人が鈴と扇を持って舞います。

(番外)御湯探(クガタチ) 禰宜が座に迎えた神々に湯を捧げる神事です。釜の前に座った禰宜が紅白の紙垂(シデ)の付いた幣束で釜の中をかき混ぜ、九字を切り印を結び、素手で熱湯をすくって飛ばします。長野県遠山郷の「霜月祭り」でも同じような儀式があります。

次に、袖長の白の着物姿に烏帽子を被った神事役1人が、両手に持った笹の束を釜の湯に浸し勢いよく振り散らします。

9.ちょうしの舞 花舞を舞った子供4人が、鈴と扇を持って(年長の1人は扇の代わりにお椀を持って)舞います。

10.つるぎのみつん舞 紺の着物・袴姿に赤の襷を肩掛けした壮年の3人が、鈴と木の剣を持って舞います。

11.やくじん舞 紺の長着姿の老年の2人が、五色の紙垂数本を藁束に挿し込んだものを両手に持って舞います。

12.かなやま 紺の長着姿に赤の襷を肩掛けした壮年の4人が、鈴と木の剣を持って舞います。

13.みかぐら 紺の長着姿に赤の襷を肩掛けした壮年の4人が、鈴と扇を持って舞います。

14.火のう様・水のう様 二之宮神社の門外不出の面を使用するので一之宮神社では舞われません。

15.ほんつるぎ 10番の「つるぎのみつん舞」と同じですが4人で舞います。

16.ねぎめん 袖長の白の着物姿に黒の面を着け、肩掛けした黒の襷に黒のカバンと一升瓶をぶら下げ、鈴と紅白の紙垂の付いた幣束を持った「ねぎめん」が、酔っぱらいのようにして歩き、紺の着流し姿の一人と問答します。

17.おにめん 赤の着物と股引を着けた鬼が鉞(マサカリ)を持って釜を周回した後、禰宜と問答します。東三河の花祭りと似ていますが、「反閇(ヘンベイ)」を踏むことはありません。

18.かまあらい 赤の襷を十文字に掛けた着流し姿の2人と紺の半纏姿の2人が藁束の「湯たぶさ」を持って釜を周回した後、湯たぶさに釜の熱湯を含ませこれを勢いよく振り回します。

19.しめきり 「かまあらい」を舞った4人の青年が、右手に鈴を左手に刀を持って舞いながら白蓋の色紙や注連縄を切り落とします。

20.しずめ 2番の「しめおろし」の神事を行った3人が五方に向かって祭文を唱え、花の舞が終わります。

舞の囃子は太鼓だけで笛はありません。祭り囃子の音が好きでいつもICレコーダー持参で行くのですが、今回はICレコーダーの出番はほとんどありませんでした。しかしながら全体としては、今田の花の舞は花祭りや霜月祭りと似た部分が多くあります。

予定より早く終わりましたが、真っ暗闇の中を懐中電灯の灯を頼りに城西駅にたどり着き、駅ホームの小さな待合室で凍えるような寒さの中で始発電車まで4時間待つのは辛かったですね。

 

本 殿                                白 蓋

 

神降ろし                        しめおろし   

 

神寄せ                                 地固め

 

花 舞                                  やちご

 

扇のみつん舞                              扇の手 

 

  御湯深                              ちょうしの舞

 

つるぎのみつん舞                            やくじん舞 

 

かなやま                                みかぐら

 

 ほんつるぎ                  ねぎめん 

 

 おにめん                               かまあらい

 

しめきり                                しずめ

 

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