神ころばしと七十五膳(若宮八幡宮)

【祭礼日】9月第二土・日曜日(3年毎=2011年)
【場 所】若宮八幡宮(藤枝市岡部町岡部81-2)

【日 程】土曜日10:00(神事=神社)、11:30(渡御出発・各町内で神事と浦安の舞)、17:00(神輿御仮屋に到着)、日曜日10:30(水垢離=朝比奈川)、11:00(神輿が御仮屋を出発)、12:00(神輿還御)、13:00(七十五膳・神ころがし=神社境内)、16:00(直会=拝殿)

若宮八幡宮の「神ころばし」と「七十五膳(シチジュウゴゼン)」は、かつては旧暦8月13日に行われていましたが、現在は9月第二日曜日となっています。土曜日は神輿の渡御に伴う浦安の舞が各町内で行われ、御仮屋で一夜を過ごした神輿が翌日神社に還御すると、神ころばしと七十五膳の行事が始まります。

【水垢離】行事に先立って、神ころばしの行事を奉仕する白の腹巻・白の鉢巻姿の若者30人が神社下を流れる朝比奈川で水垢離をします。子供も混じっています。

若者が締める鉢巻には榊の小枝が挿され、口には榊の葉を咥えています。神社境内から繰り出した若者は、神社の急階段を下りて朝比奈川で水垢離をすると、駆け足で神社境内に戻り改めて朝比奈川で水垢離します。

これを7回繰り返し神社下で渡御の行列を待ちます。渡御行列は、神社幟・大榊・猿田彦・地区幟・笛・大太鼓・お獅子・神職・神輿などの順で50~60人にもなります。

今回は渡御の到着が1時間ほど遅れたので神ころばしの若者たちは神社境内で待ち受け、渡御行列が神社下に到着すると神社階段を下り、木枠に括り付けられた高さ3m余もある大榊を担いで上り、境内で大榊を差し上げたりします。

渡御行列の最後に、白の狩衣(カリギヌ)・白の裁着袴(タッツケバカマ)姿に引立烏帽子(ヒキタテエボシ)を被った10数人が神輿を担いで宮入りし、境内を周回し差し上げをしたりします。これを神ころばしの若者が拍手して応援します。

【七十五膳】七十五膳は神前に供える七十五個の神饌のことをいいます。岡部町の上之町/貝立(カイダテ)・下之町・川原・廻沢(メグリサワ)・横添・横町/天神前の6町内が分担して、昔からのしきたり通りの品目・個数を準備します。

粟(アワ)・黍(キビ)・稗(ヒエ)はそれぞれ三穂ずつ、八ツ巻・大茄子は三膳ずつ、牛の舌餅・一つ巻牛の舌餅は九膳ずつなどとなっています。神饌はそれぞれ小さな板切れの膳に盛られています。

八ツ巻は、新米で作った山高の八つのおむすびに真菰(マコモ)を鉢巻のように巻いたもので、大茄子は、二つ割りにして伏せた大型の茄子に梨・柿・オケッコ豆・水芋・蜜柑を付けた5本の竹串を刺し立てたものです。

この七十五膳を、神輿担ぎの若者10数人・裃姿の男児4人・巫女姿の少女6人・黒の礼服に肩衣(カタギヌ)を付けた6人など30人余が、2列に並んで手渡しで神前まで運びます。これを伝供(デンク)といいます。皆さんそれぞれ口に榊の葉を咥えて、膳を受け取る時にはその都度一礼一拍手します。

【神ころばし】七十五膳の行事が終わる頃から神ころばしが始まります。神社境内の一角に椎の枝で囲まれた「泰平所(タイヘイジョ)」があり、この中に設けられた竹の棚の上に「お獅子の御膳」「御内膳」「お丁屋(オチョウヤ)の御膳」「筵(ムシロ)」「藺茣蓙(イゴザ)」「瓶(カメ)」が置いてあります。

お獅子の御膳・御内膳・お丁屋の御膳の順で、角盆に載せた御膳を持つ3人を先頭にして若者が列を組んで境内を練りながら進み、御膳を紫の直垂(ヒタタレ)姿に侍烏帽子(サムライエボシ)を被る「泰平頭(タイヘイガシラ)」に渡します。お獅子の御膳は、神輿の前に置かれた台のお獅子の前に置かれます。

次に、古参者を筵にくるんで後ろから押しながら列を組んで境内を練り、境内の北の隅で全員が一斉に転び、次に東の隅でも一斉に転び、拝殿前で泰平頭に筵を渡します。次に、壮年者を藺茣蓙(藺で編んだゴザ)にくるんで同じように練りと転びを繰り返した後、泰平頭に藺茣蓙を渡します。

次に、直径10cm・長さ4mほどの青竹を片肩に揃えて担ぎ練りながら進み、北の隅と東の隅で一斉に転びます。青竹の中央には新藁を編んで作った瓶が吊るしてあります。拝殿前で泰平頭が、柄杓を使って手桶から瓶に酒を酌む所作をします。

こを3回繰り返しますが、2回目には青竹に子供1人を乗せて、3回目には青竹に2人の子供を乗せて練りと転びを繰り返し、泰平頭が手桶から瓶に酒を酌む所作をします。

神ころばしが終わると拝殿で直会が行われます。拝殿にはお丁屋の御膳を間に挟んで藺茣蓙が敷かれています。神職3人と氏子総代3人が相対して藺茣蓙に座り、泰平頭から御神酒を戴きます。境内では神ころばしの若者が円陣を組んで手打ちの拍手をし、記念写真を撮っています。

神ころばしの行事に気を取られ七十五膳そのものの写真を撮っていなかったので、拝殿横の板の間に並べられ半分ほどに減っていた七十五膳をカメラに収めました。

 

朝比奈川で水垢離する                   神社に駆け戻る 

 

大 榊                            笛 方     

 

       大太鼓                          お獅子

 

神 輿                                  泰平所

 

七十五膳を伝供する

 

七十五膳を伝供する

 

神ころばし(お獅子の御膳)                    お獅子の御膳   

 

    神ころばし(お丁屋の御膳)                泰平頭にお丁屋の御膳を渡す  

 

神ころばし(筵)                           一斉に転ぶ

 

   神ころばし(瓶)                      泰平頭が瓶に酒を酌む

 

 直 会                                七十五膳

 

祭りの栞(トップ)

 

泰平頭にお丁屋の御膳を渡す

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