【祭礼日】7月14~15日に近い土・日曜日
【場 所】山名神社(周智郡森町飯田2590)
【日 程】 16:30~21:00(舞楽=土・日とも)
山名神社の「天王祭舞楽」は、山名神社の祇園祭(天王祭)の中で、土曜日は祈願の舞、日曜日は結願(ケチガン)の舞として、拝殿前にある「舞屋」と呼ばれる舞楽殿で奉納されます。
天王祭舞楽は、社伝の元禄14年(1701年)「舞楽指南書」には慶長11年(1606年)に摂津国天王寺より伝習し復活したとあり、平安末から中世初頭頃の芸態を残しているといわれ、国の重要無形民俗文化財に指定されています。
舞屋の真ん中に幕を引いて拝殿側を舞台とし他の半分を楽屋にしています。2間四方の舞台には紅白の布で包まれた丸柱が3本立っていて、舞屋の中央にあたる丸柱と幕の間に大太鼓を据え太鼓打ちは立ち、笛3人・鼓4人は舞台の両脇に座って囃します。太鼓打ちと笛方は裃姿、鼓方は黒紋付袴姿です。
【演 目】舞楽の演目は次の八段あります。八段の前と後に「初まくり」と「総まくり」が行われますが、舞ではなく楽合わせをしながら、舞屋と楽屋を仕切る幕をまくります。
八撥(ヤツバチ)〈八初児〉:二人舞。天冠を被り顔を赤の布で隠し、腹に付けた羯鼓(カッコ)を両手に持つ撥で打ちながら舞います。
神子舞(ミコマイ):一人舞。黒の打掛姿に天冠を被り能の女面をつけ、右手に鈴を左手に絵扇を持って舞います。
鶴(ツル):二人舞。赤熊(シャグマ)の上に鶴の頭を付けた冠を被り、背に鶴の翼を負い鶴の飛ぶ様を模して舞います。
獅子(シシ):二人舞。一人立獅子二頭が舞うお祓い・お清めの舞で、一頭は口を閉じ一頭は口を開ける阿吽(アウン)の獅子です。
迦陵頻(カリョウビン):一人舞。迦陵頻は、極楽浄土に住み声が美しいという想像上の鳥です。極楽の草花を描いた打掛姿に天冠を被り能の女面をつけ、背に鳥の翼を負い舞います。
龍(リョウ):二人舞。龍頭を頭上に被り、柱によじ登り足を絡ませて逆さになり上半身をあおる曲芸的な舞で、雨乞いの所作といわれています。
蟷螂(トウロウ):一人舞。蟷螂とはカマキリのことで、赤熊の上にカマキリの頭を付けた冠を被り、背に4枚の羽を負い舞います。いなごなどの稲につく害虫を食うカマキリを神に仕えさせ豊作を祈願するものといわれます。
優填獅子(ウデンジシ):獅子役の男児一人と優填役の仮面の大人一人の舞。優填が獅子との格闘の末、獅子を綱の付いた輪で捕えるという舞で、優填は山名神社の祭神・素盞嗚命(スサノオノミコト)といわれています。
【屋 台】舞楽の龍の段が始まると同時に、8台の屋台が笛・太鼓を囃しながら次々に宮入りし、舞屋と拝殿の間を通り抜けて境内を一周します。舞楽と屋台の囃子が重なり、舞楽を撮影する場所も確保できなくなったので屋台を見学することにしました。
屋台は、遠州地区で多く見られる外輪単層構造の「御所車」タイプで、正面の出高欄(デコウラン)に弓張提灯を持つ若衆2~3人が乗って屋台を指揮し、笛・太鼓の囃子方は屋台の後部にいます。屋台の高欄付き陸屋根にはそれぞれ2体の人形が飾られ、若衆も3~4人乗っています。
屋台は8地区に1台ずつありそれぞれに名がついています。
浅草舘(アサクサカン)(市場)・宝僊社(ホウセンシャ)(西組)・東雲舘(シノノメカン)(東組)・鶯鳴舘(オウメイカン)(上飯田)・本城舘(ホンジョウカン)(中飯田)・宮本車(ミヤモトシャ)(下飯田)・城栄社(ジョウエイシャ)(城北)・若宮社(ワカミヤシャ)(若宮)の8台です。
残念ながら帰りの電車の都合もあり、龍の一部・蟷螂・優填獅子は見学せずに神社を後にしました。
舞 屋 八 撥
神子舞 鶴
獅 子 迦陵頻
迦陵頻 龍
屋台(市場浅草舘) 屋台(下飯田宮本車)
屋台(西組宝僊社) 屋台(上飯田鶯鳴舘)