大祭(三熊野神社)

【祭礼日】4月第一金~日曜日
【場 所】三熊野神社(掛川市西大渕5631-1)

【日 程】金曜日[揃(ソロイ)]12:00~21:00(祢里曳き廻し)、土曜日[宵宮]9:00~10:30(祢里宮入り)、10:30~11:00(三社祭礼囃子演技奉納式=神社)、11:00~17:00(各町内役廻り)、18:00~21:00(夜祭り)、日曜日[本楽]7:00~10:10(子授けの神事祈祷=神社)、9:30(祢里供奉行列)、10:20(例大祭・神幸祭=神社)、11:00~14:00(神輿渡御・還御・還幸祭)、11:00(子授けの神事=西大谷川堤防)、13:00(子授けの神事=水神宮)、15:00~17:00(地固め舞・田遊び奉納=神社)、17:30~21:00(夜祭り・千秋楽=神社)

三熊野(ミクマノ)神社大祭の主役は、「祢里(ネリ)」と「三社祭礼囃子」ですが、この他に「地固め舞・田遊び」「子授けの神事」も行われます。今回は本楽の「祢里供奉行列」「三社祭礼囃子」「子授けの神事」「地固め舞」「田遊び」を見学しました。

【祢 里】祢里は「一本柱万度(マンド)型」といわれる高さ6mほどの山車で、二輪の源氏車の上に曳き棒のついた台を乗せ、その中心に立てた「心源棒(シンゲンボウ」と呼ばれる一本柱に、造花を付けた竹ひごを差す「花差し」、その上に直方体の「万度(万灯)」と呼ばれる飾り、その上に小型の「花差し」、さらにその上に六角の「鍋蓋」を差し込んでいます。

万度の前後左右の4面にはそれぞれ漢籍から引用した格言2文字が書かれ、鍋蓋の上には「出し人形」を飾っています。祢里は13町から各1台出され、それぞれ組名を持ち、提灯・法被・手拭いなどの柄が組ごとに決まっています。供奉(グブ)行列の順番は宵宮の早朝に籤引きで決められます。

一本柱万度型の山車は、寛永年間(1624~1645年)に第4代横須賀城主松平重忠公が、当時の江戸天下祭(神田祭・山王祭)の祭り文化を当地に伝えたことから始まったといわれますが、発祥の地東京ではすでに姿を消し東京以西ではこの横須賀地区を含めた大井川~天竜川間の地域に伝承されているそうです。

【三社祭礼囃子】三社祭礼囃子は、亨保年間(1716~1736年)に、第14代横須賀城主西尾隠岐守(オキノカミ)忠尚(タダナオ)公が江戸に在勤中、家臣が当時江戸で流行していた祭り囃子を習い覚え、これに手を加え横須賀に広めたのが始まりといわれています。

祢里の曳き台の上に設けられた高欄で囃される三社祭礼囃子には、大間(オオマ)・屋台下(ヤタシタ)・馬鹿囃子の「道中囃子」3曲と、昇殿(ショウテン)・鎌倉・四丁目(シチョウメ)の「役太鼓」3曲があり、高欄の前部では笛・太鼓・すり金の囃子に合わせて「ひょっとこ」や「おかめ」が、手古舞(テコマイ)を面白おかしく踊ります。

【神輿渡御】神輿渡御では獅子が露払い役を務め、榊の枝を持つ神職を先頭にして粛々と進みます。この時、祢里の高欄にいた囃子方を含め祭りの奉仕者全員が、道の両側の地面に正座し手をついて神輿を迎えます。他では滅多に見かけない光景です。

【子授けの神事】三熊野神社は、文武天皇の皇后(藤原宮子)が懐妊した時、皇子(後の聖武天皇)誕生の願いが成就したので、熊野本宮大社を当地に勧請して創建されたといわれ、現在も子授け・安産・縁結びの神様として有名です。

本楽の早朝から神社で「子授けの神事祈祷」を受け、「おねんねこさま」と呼ばれる神子人形を抱くと子宝を授かるといわれています。

第一御旅所の西大谷川堤防では、神輿の前でおねんねこさまを抱いて祈願する数十人の若者やお年寄り(孫の誕生を願う)夫婦が長い列を成していました。第二御旅所の水神宮でも同様に多くの夫婦が来られました。

【地固め舞】地固め舞は大地の悪霊を祓い清める儀式で、拝殿前の仮設舞台で白の着物・黒地に黄の格子縞の軽衫(カルサン)袴姿に侍烏帽子(サムライエボシ)を被った若者5人が一人ずつ、木太刀・金太刀・木薙刀・金薙刀・手杵を持って謡いに合わせて舞います。

次に、白の着物に茶褐色の袴を着けた若者が片肌脱ぎになり、最初は竹弓で、次にごつごつした木の弓(弦も木の蔓)で、長さ1mほどの竹の矢を舞台の一角から放ちます。観客はこの矢を争って取り合います。最後に白の狩衣(カリギヌ)姿に烏帽子を被った1人が舞台の一角から米を撒きます。

【田遊び】田遊びは豊作を祈願する予祝行事で仮設舞台の横で行われます。紺の着物を尻端折りし赤の襷を掛け白の股引を着けた若者10数人が、天秤棒で担がれた竹籠の中の松苗を手に取り輪になって、「めでためでたの若松さまよ・・・」の唄に合わせて輪の中に松苗を投げ込み田植えの所作をします。

田遊びが終わると仮設舞台の上から四方に向かって餅が投げられ、この後、13台の祢里が宮入りし「夜祭り」「千秋楽」が行われます。

 

祢里(た組)               祢里(い組)
 

 

子授けの神事(おねんねこさま)               子授けの神事(西大谷川堤防)

 

神輿渡御

 

       神輿渡御                           子授けの神事(水神宮)

 

 地固め舞(木太刀)                       地固め舞(木薙刀)

 

地固め舞(木弓)                            田遊び  

 

田遊び                                 餅投げ

 

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