十日祭(中野白山神社)

【祭礼日】1月第二日曜日
【場 所】中野白山神社(磐田市豊浜中野743)

【日 程】10:00~11:00

中野の「十日祭(トオカサイ)」は、地区内から選ばれた未婚の男性 3 人が中野白山神社の代理(生き神様)である「盛松(モリマツ)」になって氏子の家々を回って「家内安全」「五穀豊穣」のご利益を与える祭りで、かつては正月十日に行われたので十日祭と呼ばれていますが、正式には「盛松祭」といいます。神仏混淆(コンコウ)の行事で500年の歴史があるといわれます。

中野では、神社の行事は「十名(トミョウ)」といわれる世襲の10軒の「名頭(ミョウガシラ)」が中心になって行われ、名頭にはそれぞれ一門の氏子がいます。十名の10軒は2軒1組になり1年交代で宮当番を務めます。宮当番の片方を「祢宜(ネギ)組」と称し、他方を「会所(エショ)組」と称し、祢宜組の 一門からは神社の管理をする一年祢宜を選び、会所組の一門からは十日祭の盛松を選びます。

祭り当日早朝、盛松は太田川(現在は下流の海岸)で水垢離をとり、会所組の祭り宿(現在は豊浜中野公民館)で祢宜が作 った芹入りの 雑煮を食べます。これ以後、盛松は生き神様になり、行事が終わるまでは誰とも口をきくことができません。

10時から、公民館で十日祭の仏事が行われます。袋井市宮里の曹洞宗松秀寺(ショウシュウジ)住職により大般若経の「転読」が行われます。転読は、600巻の大般若経を全て通読する真読(シンドク)に対して、経題や経の主要な部分を拾い読むことをいいます。

住職の後ろ左側には、白衣を羽織り白の布を頭に被る祢宜2人、右側には黒紋付袴姿の盛松3人が座っています。今年の盛松は、福田中学校の生徒3人です。会場には30数人の氏子衆が参列しています。

祭壇には三方(サンボウ)に載せられた神饌とその手前に「ダイノコ」・「お洗米」・漆塗りの酒器(提子(ヒサゲ)・盃)が置いてあります。

ダイノコは、子孫繁栄と豊作を願い柳の枝を削り作った長さ30cmほどの棒1組2本で、1組ごとに御神符を巻きつけ麻縄で結わえてあります。お洗米は、脚付角盆に山と盛られた洗米の上に切り餅と干し柿を載せています。

祭壇正面の壁には「釈迦十六善神(ジュウロクゼンシン)画像」が掲げられています。釈迦十六善神は般若経とその経の受持者を守護する神様で、大般若経を転読する際、本尊として正面に釈迦十六善神画像を掲げることになっています。

釈迦十六善神画像の左には、注連縄が張られた棚が設けられ三つのお箱が棚に置かれています。釈迦十六善神画像・大般若経文の経典・災難厄除けの「午王宝印(ゴオウホウイン)」の版木を納める箱です。

20分ほどで大般若経の転読が終わると参列者にお洗米が授与されます。この間に釈迦十六善神画像が外され黒のお箱に納められ、大般若経文の経典と午王宝印の版木を入れるお箱も棚から降ろされます。

かつては、このあと公民館で参列者全員が芹入りの雑煮を食べ、祈祷されたダイノコを持って家に帰り盛松の来訪を待ちます。午後から、盛松が中野白山神社で神事を斎行した後、三つの箱をそれぞれの肩に載せて中野の各家を一軒ずつ巡回するのですが、現在は、公民館で参列者が芹入り雑煮を食すること、盛松が各家を巡回することは省略されています。

大般若経転読の後、盛松はそれぞれお箱を肩に載せ公民館を出て中野白山神社の周辺を4~5分巡行し、白山神社の神事に参列します。中野白山神社は公民館の隣にあります。

白山神社での神事が終わると、社殿前に40~50人の参拝者が2列に並び頭を下げます。盛松3人はそれぞれ釈迦十六善神画像・大般若経の経典・午王宝印の版木が入ったお箱を両手で持ち、参拝者の頭にお箱を順番にコツンと当てます。これを「お箱をいただく」といいます。このあと参拝者にお洗米が授与され祭事は終わります。

 

  大般若経の転読(中野公民館)                        釈迦十六善神画像などを入れるお箱

 

御神符で巻いたダイノコ                                          お洗米と酒器         

 

お洗米を授与する                                                  お洗米      

 

   釈迦十六善神画像を外す                             大般若経の経典を納めるお箱

 

盛松が神社周辺を巡行する                               盛松が白山神社に宮入りする

 

            中野白山神社            神事を終えて盛松が拝殿を出る

 

頭にお箱をいただく

祭りの栞(トップ)

 

inserted by FC2 system