【祭礼日】1月4日
【場 所】六所神社(浜松市天竜区神沢617-1)
【日 程】13:00~14:00
「神澤(カンザワ)のおくない」は、300年以上前から毎年1月5日に五穀豊穣や子孫繁栄を願い代々世襲制により行われていましたが、昭和30年台(1955~1964年)後半に一旦途絶えました。
その後、旧天竜市熊中学校の郷土研究クラブや熊中学校を含む4校が統合した浜松市立清竜(セイリュウ)中学校の総合学習の中で、神澤おくないの文化継承活動が続けられ、2009年1月5日に天竜区神沢の万福寺阿弥陀堂で清竜中学校の生徒20人余によって演じられ、神澤おくないが復活しました。
現在は、毎年1月4日に阿弥陀堂(2018年から六所神社に変更)で行われており、今回、清竜中学校1年生27人による六所神社での神澤のおくないを見学しました。2年生30人は、昨日(1月3日)同じ天竜区で行われている「懐山(フトコロヤマ)のおくない」に演技参加しているそうです。
【祭 場】六所神社拝殿で行うため本殿前に白い幕を引いています。本殿側はおくないでは本来阿弥陀堂の本尊が祀られている場所です。本尊に向かって右に舞子が、左に囃子方が、正面に烏帽子を被った禰宜役2人が座ります。囃子方は鉦2人・太鼓1人・笛10人です。
【演 目】文政3年(1820年)の控え書によれば当時全部で39演目あったそうですが、現在伝承され演じられているのは10演目で、今年の演目は「順の舞」「両剣(リョウツルギ)の舞」「獅子の舞」「鬼の舞」「万歳楽」「畦塗り」「矛の舞」の7つでした。
舞いは畔塗り以外はいづれも五方(東西南北中央)に向かって1回ずつ又は3回ずつ舞います。
1.順の舞 場を清める舞いで、白の上衣に青の袴を着け紅白の紙垂を付けた笠を被った女子5人が、右手に鈴を左手に扇を持って一人ずつ時間差をつけて順に舞います。
2.両剣の舞 邪気を切り払い場を清める舞いで、白の上衣に黒の縦縞の袴を着けた男子1人が両手に剣を持って勇壮に舞います。
3.獅子の舞 紺の縦縞の作務衣(サムエ)を羽織り口髭を描き面を頭の横に着け、右手に扇を左手に四つ折りの半紙を持った「まねき」と一人立ちの獅子が舞います。獅子方も紺の縦縞の作務衣を羽織っています。
まねきの「ホーラホーラ」の声で舞い始め、まねきは獅子頭を肩に担いで周回したり抑え伏した獅子の背に跨ったりします。
4.鬼の舞 悪魔を払い疫病などを除く舞で、赤鬼が鉞(マサカリ)を、黒鬼が棒を、青鬼が槌を横一線にして持ち、威嚇したり跳び上がったりします。
5.万歳楽 人々の命を延ばし平和の世が永く続くことを願う舞で、白の上衣に紺の縦縞の袴を着け右手に閉じた扇を持った大人1人が大きく足踏みをしながら唱えごとをし「万歳楽」を三唱します。2方の壁に唱えごとを書いた紙が張り出してあり、観客も含め全員でこれを見ながらを唱和します。
6.畦塗り 豊作を祈願する「田遊び」の一部で、太鼓を田に見立てて作務衣を羽織った親父役と兄役が鍬を持って3周しながら畦塗りの所作をします。太鼓の前に座り昼飯をとったり作業で濡れた着物を絞ったりする所作もあります。
7.矛の舞 悪魔を払い福徳を招く鎮めの舞で、右手に矛を左手に鈴を持ち「火の王面」を額に着けた禰宜が、地を踏みしめながら神歌を歌った後、もう一人の禰宜が「翁の面」を捧げ持って地を踏みしめながら神歌を歌い、最後に翁の面を外して地を踏みしめながら扇を人差し指で回転させます。
生徒の皆さんは9月から練習を始めたそうですが、勉強の傍ら郷土芸能を守り育てる努力に拍手喝采します。六社神社で行われていた神澤おくないの祭場は、諸般の事情により来年から「くんま水車の里」に変更されるようです。
<万歳楽の唱えごと>
演者 正月ましまさば正月ましまさば
一同 堂へ参ろう 堂へ参ろう
演者 新玉のー新玉のー
一同 年たつ初めのあしたにはーあしたにはー
演者 万歳楽、万歳楽
一同 万歳楽
順の舞
囃子方 両剣の舞
獅子の舞 鬼の舞
万歳楽 畔塗り
鉾の舞(火の王面) 翁の舞(翁面)