【祭礼日】12月第一土・日曜日
【場 所】中郷正八幡宮(飯田市上村304)
【日 程】土曜日11:00~日曜日6:30
遠山郷の霜月祭りは現在12月に行われていますが、かつては旧暦霜月(シモツキ)11月に行われていました。最も太陽の光が弱まりあらゆる生命の力が衰えるといわれる旧暦11月に、諸国の神々を招いて湯を立て湯を献じ、自らも浴びることによって神も人も生まれ変わるという信仰に基づく祭りです。太陽が沈む夕刻に神々を迎え、一夜を徹してもてなし夜明けに神々を返します。
遠山郷の霜月祭りには上町(カミマチ)・下栗(シモグリ)・木沢・和田の4タイプがあり、「中郷の霜月祭り」は上町タイプで、神事に先立ち般若心経を唱えたり常に数珠を手に持つか首に掛けて神事や舞などを行うなど、神仏混淆の姿が色濃く残されています。
舞殿には松材を芯にした粘土製の竃(カマド)2口が据えられています。竃の上には、天井から吊り下げた木枠に差し渡された紐に沢山の紙飾りや幣束などが吊り下げてあります。これを「湯の上飾り」といいます。竃は毎年造り直しているそうです。
【式次第】1.大祭式、2.座揃い、3.大宮祓い、4.神名帳、5.申上、6.七五三引、7.釜祓い、8.湯殿渡し、9.先湯(センユ)一、<夕食>、10.先湯二、11.先湯三、12.池大明神の湯立、13.神子の舞、14.宮清め、15.秋葉大神の湯立、16.鹿島大神の湯立、17.四面(ヨモテ)の湯立、18.三峰大明神の湯立、19.津島大神の湯立、20.七石の舞、21.あげ湯、<夜食>、22.御一門、23.御倉開き、24.四つ舞、25.襷の舞、26.羽揃えの舞、27.寄り湯、28.鎮めの湯、29.日月の舞、30.御面、31.金山舞
2.座揃い (水干(スイカン)姿に立烏帽子(タテエボシ)を被る神主・禰宜の4人が竃の正面に座り般若心経を唱えます)
3.大宮祓い(舞殿の各場所をまわり、祓幣(ハライヌサ)を振り塩をまいて清めた後、竃の正面に座り神楽歌を歌います)
4.神明帳 (裃姿の奉読役2人が竃の正面に座り、全国の一宮を読み上げて神々を祭へ招待します)
5.申 上 (奉読役2人が竃の正面に座り、全国から招待した神々に対する願い事を読み上げます)
7.釜祓い (太鼓と神楽歌に合わせて、禰宜の1人が竈の正面と反対側にそれぞれ4本ずつ八丁子(ハッチョウジ)を立てます)
9.先湯一
【湯立(ユタテ)】
湯立は全部で13立てあり、このうち「先湯一」・「御一門」・「鎮めの湯」の三つが「役湯(ヤクユ)」とされ、「池の大明神の湯立」が「準役湯」とされています。
役湯と準役湯では、「五大尊」・「神の舞」・「湯木舞」・「湯殿渡し」・「湯召し」の五つの神事が行われますが、その他の湯立では五大尊と神の舞がなく、湯木舞から始まります。
五大尊 (祓幣・火打石・火打金・塩・輪切りの大根を載せた丸膳を4人の前に置きます。4人は火打ちの呪文を唱え火切を行います。続いて印を結び呪文を唱え九字を切り手刀の印を結びます。これを竃の東西南北と正面の五方で行います)
神の舞 (竃の正面で神前に向かい、右手に鈴を左手に扇を持って舞います)
湯木舞 (右手に鈴を左手に湯木を持ち、竃を周回し舞います)
湯殿渡し(湯木を2本に裂いて両手で持ち湯殿渡しの歌をうたいます。禰宜らがモトをとり、氏子らがウラをとります)
湯召し (湯木を2本にまとめて右手で持ち、湯木の端を釜の中に入れながら神の名前を拾います。禰宜がモトで神々の名を唱えると、氏子らはウラをとります)
湯開きとしての「先湯一」が終わると、1時間ほど夕食休憩になります。
12.池大明神の湯立て (この頃になると、晴れ着にくるまれた赤ちゃんを抱いた初参りの夫婦が参拝してきます。神主が舞の合間にお祓いをします。今年は3組の夫婦が初参りされました)
13.神子の舞(立願者が産土神(ウブスナガミ)への一生の奉仕を誓う儀式です。神主が祭文を読み上げ、神子となる人の後ろから、湯衣を本人の上着に着せます。次に、立願者が神主と共に御神酒を戴き、禰宜2人が神の舞を舞います)
14.宮清め (禰宜の1人が釜の湯を柄杓に掬い、右手に祓幣を左手に柄杓を持ち、他の2人が鈴を持って舞殿の各場所や境内を清めます)
21.あげ湯 (長老の禰宜1人が釜の湯を柄杓に掬い、右手に祓幣を左手に柄杓を持ち舞殿の各場所や境内を清めます)
この後、1時間ほど夜食休憩になります。夕食・夜食とも見学者もご相伴にあずかります。
24.四つ舞 (白の着物・袴姿の舞手4人が竃の前後に2人づつ分かれて笛と太鼓に合わせて、扇を持って舞い、次に剣を持って舞います)
25.襷の舞 (茶の着物・袴姿に錦の広幅の襷を掛け赤の横鉢巻を締めた4人の舞手が、四つ舞と同様に舞います)
26.羽揃えの舞(黒留袖姿に赤の横鉢巻を締めた4人の女装した舞手が、竃の前後に2人づつ分かれて笛と太鼓に合わせて扇を持って舞います)
29.日月の舞(招待した全国の一宮を送り出します)
30.御 面 (神太夫(カンダユウ)・姥・八社神(ハッシャガミ)・津島神社・四面(ヨモテ)(水王・土王・木王・火王)・宮天伯(ミヤテンパク)の16面が登場します。
神太夫と姥(格衣姿の神太夫と長着姿に綿布を被り榊を手に持つ姥が、伊勢参りの途中で神社に立ち寄り村人と問答を交わした後、半周した竈の位置からもと来た道を戻ります)
八社神 (遠山遠江守の源王大神・遠江守奥方の一の宮など八柱の神様が竃を二周します)
四 面 (水王が一の釜で、土王が二の釜で、煮えたぎる湯を素手ではね飛ばし湯切りをします。次に木王と火王が登場すると、観衆の「ヨーセー、ヨーセッ」の囃しに合わせて、水王と土王は舞殿四隅の観衆の中に跳び込みます)
宮天伯 (最後に、赤の狩衣(カリギヌ)姿に立烏帽子を被り翁面を着け、矢を背に負い弓を持つ宮天伯が登場し、竃を周回しながら五方に向けて矢を放ちます。
31.金山舞 (神主が竃の湯を汲んだ柄杓と祓幣を持ち、竈の東南西北中央で唱和して神々を送り出します)
<湯立・湯殿渡し>
(モト) 御白妙を諸手に持ちてな やんやはーは おがむ
(ウラ) おがむには四方の神をな やんやはーは
(モト) 謹請東方の神々を諸手に 持ちてな やんやはーは おがむ
(ウラ) おがむには 四方の神をな やんやはーは (続いて、西方・南方・北方・中央を順番に唱えます)
<湯立・湯召し>
(モト)(梵天大社)へ御湯召
(ウラ) 御かげこうそは 雲(クン)と昇れ (神々の名を唱え御湯召を繰り返し、宮天伯で終わります)
座揃い 宮祓い
神名帳 釜祓い
先湯一(丸膳) 先湯一(五大尊・火切)
先湯一(神の舞) 先湯一(湯木舞)
先湯一(湯殿渡し) 先湯一(湯召し)
夕食休憩 初参り
神子の舞 宮清め
あげ湯 楽 頭
襷の舞(剣の舞) 羽揃えの舞
日月の舞 神太夫と姥
八社神(源王大神) 八社神(一の宮)
水 王 火 王
宮天伯 金山舞