【祭礼日】12月第二土・日曜日
【場 所】正八幡神社(飯田市南信濃木沢)
【日 程】土曜日16:00~日曜日6:00
遠山郷の霜月祭りは現在12月に行われていますが、かつては旧暦霜月(シモツキ)11月に行われていました。最も太陽の光が弱まりあらゆる生命の力が衰えるといわれる旧暦11月に、諸国の神々を招いて湯を立て湯を献じ、自らも浴びることによって神も人も生まれ変わるという信仰に基づく祭りです。太陽が沈む夕刻に神々を迎え、一夜を徹してもてなし夜明けに神々を返します。
木沢の正八幡神社は、遠山土佐守によって文亀2年(1502年)に建立されたと伝えられ、古くは遠山郷6ヶ村の惣鎮守であったともいわれます。
祭りが行われる舞殿には土製の3口(コウ)の竈(カマド)が据えられています。竈が3口となるのは遠山でもこの木沢だけです。その真上には「湯桁(ユゲタ)」と呼ばれる四角い木枠が吊され、これに「湯のあて」と呼ばれるさまざまな形の白い切り紙が飾られています。
現地に到着した時には「ひよしの神楽」が始まっていました。途中、有料仮眠所で2時間仮眠したため「太夫舞」と「宮浄め」は見そびれ、最後の「木の根祭」は行事に気づきませんでした。
【式次第】
1.大祓い
2.御戸(ミト)開き(祭壇にある神殿の扉を開き神事を行います)
3.ひよしの神楽(太鼓・鈴・鉦の音に合わせて神楽歌を歌い、舞殿を清め神々のやってくる道を開きます)
4.神名帳(神名帳に記載された木沢村内の神と全国66ヶ国の一宮の名を奉読し神々を舞殿に招きます)
5.湯立て(村内の7神が日本中からやってきた神々に湯を捧げてもてなします。五大尊(ゴダイソン)・湯木(ユボク)舞・神拾いの順で7回連続行います。1回の湯立てで40分かかります)
6.太夫舞(3人の禰宜(ネギ)が剣と鈴を持って舞います)
7.宮浄め(禰宜が柄杓に汲み上げた釜の湯を、湯たぶさで散らしながら舞殿と境内を清めます)
8.四つ舞(釜を囲んで4人の舞手が2人ずつ対になり、扇の舞と剣の舞を舞います)
9.願湯 (氏子の希望によって行われる舞です)
10.天伯の湯(五大尊・湯木舞の後、氏子に使用済みの湯木が渡され皆で湯立てと神拾いをします)
(天伯の湯の後、竃の周囲に茣蓙を敷き皆で座り御神酒と夜食を戴きます。これを「座付け」といいます)
11.中祓い (竈の前に筵を敷き神返しの神楽を歌い、神名帳で招いた神々をお帰りいただきます)
12.たすきの舞(鉢巻・襷掛け姿の4人の舞手が釜を囲んで2人ずつ対になり、扇の舞と剣の舞を舞います)
13.鎮めの湯 (3人の禰宜が五大尊・湯木舞・神拾いの後、湯木を十字にして釜の上に置き、この後に登場する面を着けた神々を招きます)
14.面(オモテ) (村内に祀られる32の神々が登場し竈を一周します。水王(ミズノウ)と火の王が釜の湯を素手で叩き熱湯を跳ね飛ばす湯切りをします。山の神・天彦根命・猿田彦命・奥山半僧坊大権現の四面(ヨモテ)が、「ヨーセ、ヨーセ」の掛け声とともに舞殿を所狭しと跳ね回ります。最後に宮天伯が剣を持って登場し、剣を振り剣先を水平にかまえる動作をくり返し邪悪を切り祓います)
15.かす舞 (襷掛けした3人の禰宜が湯のあての紙飾りを手で千切り、剣で湯釜を割る所作をし、皆で神楽歌を歌います。氏子の1人が持ち出したおからを皆で舞殿に撒き散らします。未練がましく残る神々に「供物はカスしかないぞ」と知らせるのです。
16.木の根祭
神事でありながら般若心経を唱えたり、神々を招くにあたり印を結び仏に護衛を祈ったりするなど、神仏習合の古い祭りの姿をよく残しています。
祭 壇 舞殿の竈
ひよしの神楽 囃子方
五大尊 湯木舞
神拾い 四つ舞(扇の舞)
願 湯 天伯の湯
座付け 中祓い
襷の舞(剣の舞) 鎮めの湯
水 王 津島大神
浅間大神 子安大神
遠山氏若党 四面(天彦根命)
しょんべんばあさ 大黒天
舞稲荷 火の王
宮天伯 紙飾りを千切る
神楽歌を歌う 剣で湯釜を割る
おから おからを撒き散らす