上松祭り(諏訪神社・若宮八幡宮)

【祭礼日】9月第一金曜日or土曜日~第一土曜日or日曜日と例祭前日
【場 所】諏訪神社(木曽郡上松町上松718)・若宮八幡宮(木曽郡上松町本町通1-763)

【日 程】例祭前日[前夜祭]18:30(神事=若宮八幡宮)、19:00(芸習い=若宮八幡宮)、金曜日or土曜日[宵祭り]8:00~10:00(神遷し=諏訪神社)、10:00~18:00(拾弐当悪魔払い)、19:00~22:30(神輿渡御=諏訪神社~八幡宮)、土曜日or日曜日[本祭り]8:00~9:30(留守参り=諏訪神社)、9:30~18:00(拾弐当悪魔払い)、19:00~22:30(神輿渡御=八幡宮~諏訪神社)、24:00~02:00(神楽納め=八幡宮~諏訪神社)

「上松祭り」は、町の南にある諏訪神社の「大神様」が宵祭りの夜に町の北にある若宮八幡宮へ渡御し、翌日の夜に諏訪神社へ還御するという祭りです。両社の間は町の中心街を挟んで1Kmほどです。この渡御・還御には「神楽」と呼ばれる担ぎ屋台が先供(サキドモ)します。

また宵祭りと本祭りの日中には、神楽と獅子が大神様の使いとして氏子地域を巡行して、「拾弐当(ジュウニトウ)」または「しきののさ(式の幣)」と呼ばれる獅子舞で悪魔祓いをします。さらに例祭日の前日夜には、若宮八幡宮で「芸習い(ギザライ)」と呼ばれる「獅子狂言」が披露されます。

この神楽・獅子舞・芸習いを仕切るのは「上若蓮(カミワカレン)」です。上若蓮といっても青・壮・老の組織で、37才までを「若い衆」、38~59才を「中老」、60才以上を「大老」と呼んでいます。(昔は、35才までを若蓮、36~50才を中老、51才以上を大老としていました)

衣装はいずれも日月の模様を散りばめた紺の着物姿に黒の帯を締め白足袋・草履を履いていますが、階層は襷の色で分かるようになっています。若い衆はピンク、中老は黄(うち後見(アトミ)は緑)、大老は赤です。

今回は宵祭りと本祭りを見学する予定でしたが、宵祭りの夕方から突然歯が痛み出し痛み止めの薬を飲んで祭りを見学し、翌日土曜日は歯の治療のため始発の電車に乗って帰宅したので本祭りは見学できませんでした。

宵祭りの夕方1時間ほど拾弐当の悪魔払いを見学しました。一人立ちの獅子舞で、獅子は右手に鈴を左手に御幣を持って若い衆の歌に合わせて各家の前で舞います。獅子舞には神楽が付き添います。

神楽は、担ぎ台の上に大太鼓と締め太鼓が据えられその上に大振りの紙垂を重ね、さらにその上に三層の傘が据えられています。それぞれの傘の下には三角の丁子袋(チョウジブクロ)(匂い袋)がびっしりと吊り下げられています。同じ上松町小川地区の神楽とほぼ同じ形状です。

19時、諏訪神社での神事が終わると、神楽を先頭にして高張提灯・猿田彦(天狗)・事代主之命(コトシロヌシノミコト)と建御名方之命(タケミナカタノミコト)の神旗・神輿・大幣束などの順で行列を組んで若宮八幡宮に向かいます。大幣束は白の大振りの紙垂(シデ)をお椀を伏せたような形に整えたもので直径1m余もあります。

神輿の先供を務める神楽は、大太鼓・締め太鼓と笛の音に合わせて大いに揺さぶられながら進みます。

途中、高さ5~6mもある忌竹の上部に注連縄を張った場所が数ヶ所あり、その都度、猿田彦が長い薙刀で注連縄を切り裂くと行列は前に進みます。また、浴衣姿の「だんじりばやし保存会」の10人余が囃子屋台に乗って出迎えの笛と太鼓を囃します。

行列が若宮八幡宮の近くまで進むと、上若蓮の7~8人が割木を束ねた松明10数本に点火し、大人や子供たちに1本ずつ持たせ行列を出迎え、行列とともに宮入し境内を三周します。

行列が神社に着くと拝殿で神職が湯神楽を舞った後、拝殿前の広場で「しきのしき(式の式)」と呼ばれる二人立ちの獅子舞が舞われます。4種ある獅子舞のうち最も格式の高い獅子舞といわれます。

獅子頭を被る舞い方は黒紋付袴姿の正装で、上若蓮は輪になり全員座って獅子舞を見守ります。輪の中には神職が大幣束を捧げ持って立っています。獅子は最初は胴幕を広げて舞い、次に、胴幕を絞り後ろの一人がこれを持ち、獅子は右手に鈴を左手に御幣を持って静かに舞います。

獅子舞が終わった時には23時を過ぎていました。

上松町で舞われる獅子舞は、最も格式が高いとされる「しきのしき(式の式)」、拾弐当(悪魔祓い)とも呼ばれる「しきののさ(式の幣)」、9月下旬に若宮八幡宮で行われる「十五夜祭」で舞われる「のさのしき(幣の式)」「のさののさ(幣の幣)」の4種です。

拾弐当の呼称について、今日の神輿渡御の途中で次のような張り出しの説明書きを見つけました。

『上若蓮の御祓い、獅子舞がきた時拾二当が来たとか言いますが、其の言われは、江戸時代の頃にさかのぼります。江戸時代平穏で穏やかな長い時代が続いた頃、獅子の御祓いに「十二文」寄進したそうです。その十二文が永く続いた。その為か、獅子が来ると拾二当の御祓いが来たというようになったそうです。・・・」

 

 

獅子舞(拾弐当)                            神 楽  

 

渡御行列                                神 輿

 

注連縄を切る                              神 楽 

 

だんじりばやし

 

  松明で行列を迎える                       湯神楽(若宮八幡宮)

 

獅子舞(式の式)

祭りの栞(トップ)

 

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