下社のお舟祭り(諏訪大社下社春宮・秋宮)

【祭礼日】8月1日
【場 所】諏訪大社下社春宮(諏訪郡下諏訪町193)・秋宮(諏訪郡下諏訪町5828)

【日 程】13:00(遷座祭・御霊代迎え行列=秋宮出発)、14:00(御霊代春宮出発)、14:20(お舟春宮出発)、17:30(お舟秋宮到着)、18:20(神事角力=秋宮)、19:00(翁媼焼却神事=内御玉戸社)

諏訪大社下社では、半年毎に御霊代(ミタマシロ)(御神体)が移動するという特殊神事があります。毎年2月1日、下諏訪町の東にある秋宮の御宝殿に祀られていた御霊代が、北西に1.8Kmほど離れた春宮へ遷座され、8月1日には春宮から秋宮へ遷座されます。

2月の遷座祭は、御霊代を運ぶ白丁(ハクチョウ)姿の氏子・氏子役員・大総代などとともに遷座の行列が移動するだけですが、8月の遷座祭では、遷座の行列のほかに「お舟」と呼ばれる大型の舟が春宮から秋宮まで曳行されます。これを「下社のお舟祭り」と呼んでいます。

【お 舟】お舟は、丸太などの木枠を土台に櫓を組みその前後に桔木(ハネギ)を張り出し、桔木と横木には青芝の枝葉を縄で巻き付け、青柴の割り木の束を敷き詰めたもので、船底部には2本のソリを組んでいます。お舟は、長さ8m・幅5m・高さ4m・重さ5トンほどです。

舟の前部と後部には黄・緑・黒・赤・白の五色の布が掛けられ、紙垂(シデ)の付いた注連縄が張り巡らされています。舟のソリには2本の太い綱を付けこれを引っ張って舟を運びます。

【御頭郷(オントウゴウ)】遷座祭を奉仕するのは御頭郷と呼ばれる当番地区の氏子衆で、諏訪郡の6市町村が10地区に分けられ10年に1度当番地区に当たります。今年の当番地区は、茅野市の北山・米沢・湖東(コヒガシ)の3地区です。

御頭郷の地区割り(10地区)と6年毎に行われる諏訪大社の「御柱祭(オンバシラサイ)」の地区割り(8地区)とは一部一致しない地区もありますが、北山・米沢・湖東地区は一致する地区になっています。

今年は御柱祭の開催年で、三地区は「本宮四の御柱」の担当地区として「山出し」・「里曳き」・「建御柱」などを担ったそうです。

秋宮で遷座祭が行われた後、幟・楽太鼓・巫女・楽人・御霊代を乗せる神輿・稚児・翁(オキナ)媼(オウナ)の人形(ヒトガタ)2体などの行列を組んで、御霊代を迎えるため春宮に向かいます。

【翁と媼の人形】人形は、長さ3mほどの2本の木の上部に長さ1mほどの木を十字に組み、これに藁束を麻紐で巻き付け人形の頭・胴体・腕とし、翁の人形には紺の着物を媼には灰茶の着物を着せ、それぞれの右手に白扇を左手に白の手袋を持たせています。

頭部にはそれぞれ翁と媼の面を被せ紺と赤の鉢巻を締めています。2体の人形は、諏訪大社のご祭神「建御名方神(タケミナカタノカミ)」とその妃「八坂刀売神(ヤサカトメノカミ)」を表わすのだそうです。

【三友会】春宮では、北山・米沢・湖東地区の若者約400人で組織されている「三友会」の楽隊40~50人がラッパ・大太鼓・中太鼓・シンバルを奏する中、お舟の上で「木遣り唄」が歌われます。楽隊の大半はラッパ隊で一斉に吹き鳴らすと凄い迫力があります。

衣装は、エメラルドグリーンのつなぎ服姿に黒の腹掛け・白の鉢巻を締め、黒の地下足袋を履いています。ラッパ隊は、つなぎ服・腹掛けの上にピンク地に白の桜を散らし背中に「三友会」の青の文字を描いた法被を着け、白の地下足袋を履いています。

【遷座行列】行列は春宮に着くと春宮に祀られていた御霊代を神輿に遷し、行列を組み直して秋宮に向かいこの後ろからお舟が続きます。

お舟の真ん中に翁と媼の人形を乗せ、前部には弓張提灯を持つ三友会の若者10人、後部にも同じ若者5人が乗ります。

舟を引っ張るのは数百人の氏子衆で一般の人でも参加できるそうですが、舟の元側は三友会の法被を着けた若者100人ほどで固めています。曳き子の両側にはラッパ隊などの楽隊が並び時々激しく吹奏します。

天気が良く気温も30℃を優に越していて奉仕者も見物人も汗ダクダクです。私も携帯するお茶がすぐになくなるのでコンビニに駆け込み冷たい飲み物や氷を補給します。

いつの間にかお舟の上の若者が持つ弓張提灯がピンクの「おんべ」に変わっており、三友会の曳き子も暑さにはかなわず法被を脱いでいました。

春宮から南下し春宮大門の信号を越した次の角から大社通りを東進すると、各地区の「長持ち」が出迎えてくれます。

その昔、御柱祭に必要な道具や曳き子の昼食などを届けるため、長持ちに入れて運んだのが始まりといわれます。現在はそれらは入っていませんが、棹をしならせれるため100kgほどの重さに調整しているそうです。長持ちは長さ5mほどの木の棹に吊るし、前二人後ろ一人で担ぎます。

また、揃いの衣装と華やかな笠を持って踊る「笠踊り」や「諏訪神太鼓」も遷座行列を迎えてくれます。いずれも御柱祭の「里曳き」にも出ています。お舟祭りは、御柱祭りの里曳き行事の御柱がお舟に代わっただけのようにみえます。

お舟は秋宮の手前で休憩した後、急坂を一気に登り秋宮境内に入ると、曳き子は三友会の若者だけに限られ神楽殿をゆっくりと三周し、最後にお舟を左右に3回揺すり終わります。

この後、遷座祭行事として「神事角力」と「翁媼焼却神事」があることを知らずにそのまま帰ってしまいました。

 

   お舟(春宮)                          木遣り唄(春宮)

 

    楽隊(春宮)                        御霊代を乗せる神輿

 

翁と嫗の人形                           お舟の曳き子

 

秋宮へ向かうお舟

 

 長持ち(清水町)                         長持ち(東堀区)

 

  笠踊り                              諏訪神太鼓

 

お舟(秋宮)

祭りの栞(トップ)

 

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