藪原祭り(藪原神社)

【祭礼日】7月8・9日(2013年から7月第二金・土曜日)
【場 所】藪原神社(木曽郡木祖村薮原504)

【日 程】8日[宵祭り]13:00(上獅子と下獅子=大阪屋前)、17:00(上獅子と下獅子=平田屋前)、9日[本祭り]10:30(神輿と上獅子=上町)、14:00(神輿と下獅子=沢田商店前)、14:30(上獅子と下獅子=日野屋前)、20:30(神輿と上獅子)、21:00(神輿と下獅子)、21:00(上獅子と下獅子)=「寄け合い」の時間

藪原(ヤブハラ)は「中山道六十九次」の35番目の宿場町として、江戸時代には本陣1軒、脇本陣1軒、旅籠10軒を有し隣の奈良井宿(34番目)とともに栄えたそうです。

「藪原祭り」は、藪原に疫病が流行した時その悪魔を払うために獅子を出して氏神様の御加護を得ようとしたものだと伝えられています。氏神様の薮原神社は、天武天皇(在位673~686年)の時代に熊野から勧請したと伝えられる古社です。

【獅子屋台】祭りでは、四輪二層構造の獅子屋台が2台出ます。それぞれ高さ3.5m、幅2m、全長4.8mほどの大型の屋台で、一層目には笛・太鼓・鉦の囃子方が乗り、二層目には獅子と舞手などが乗ります。

獅子屋台の屋根はサルナシの蔓で半円形に象られ、屋根から一層目まで獅子の幌(胴幕)ですっぽりと覆われています。屋台屋根の天辺から屋台後部に延びる長さ5~6mもある青竹の笹は、願い事を書いた無数の七夕短冊で飾られています。

屋台の練運行は、緑・黄・赤に色付けされた「ザンザ」と呼ばれる採り物を持つ各屋台4人の役員が指揮し、長さ1mほどの「横梃子」を使って方向を変えたりブレーキを掛けたりします。祭りの奉仕者は薮原神社の相殿(アイドノ)に祀られている菅原道真に由来する梅鉢紋を背に染めた紺の法被を着けています。

藪原北部地区の「上獅子」と呼ばれる獅子は男獅子で獅子頭は深緑色です。藪原南部地区の「下獅子」と呼ばれる獅子は女獅子で獅子頭は朱色です。

【寄け合い】宵祭りの8日には、北部の上獅子屋台と南部の下獅子屋台が、早朝7時からそれぞれの地区で「門出」の儀式を行った後、各家々の前で舞い悪魔退散を祈願します。上獅子と下獅子の屋台が旧中山道で出会うと互いの舞を披露し合います。これを「寄け合い(よけあい)」と呼んでいます。

本祭りの9日も、獅子屋台2台は早朝から各家々の前で舞い悪魔退散を祈願します。藪原神社からは朝9時半頃、神輿が氏子地区を渡御しこれに天狗4人が随行します。そして神輿も寄け合いに加わります。

上獅子屋台・下獅子屋台・神輿の3組が出会うとその都度、寄け合いが始まります。といっても寄け合いの時間と場所は予め決められています。

寄け合いでは最初に、それぞれの役員数人が横一列に並んで向き合い挨拶を交わします。寄け合いで屋台の獅子が舞う時は、相手側の人々は全員地面に座って獅子舞を見学し「もっと前に出ろ」とか「色っぽくやれ」などと盛んに声を掛けます。

男獅子の上獅子は勇壮に舞い、女獅子の下獅子は優雅に舞います。獅子舞は2m余の高い場所から獅子頭を前に突き出して舞うので、舞手は後ろで支えられています。このような獅子舞は初めて見ます。獅子舞が終わると、それぞれの役員は横一列に並び握手を交わし屋台は別れます。

神輿は獅子屋台と出会うと挨拶を交わした後、獅子屋台の前で神輿を懸命に練り回します。神輿は、梅鉢紋の法被を着け白の鉢巻をむこう縛りした「敬神会」の12人が担ぎます。随行する天狗は見物する子供たちの頭に羽団扇をかざしてお祓いをします。

今回は、9日の本祭りを9時過ぎから見学しました。上獅子と下獅子の寄け合いが始まる少し前から雨が降ってきましたが、用意してきた雨合羽を着て写真を撮ることができました。夜からの寄け合いが一番盛り上がるようです。

一昨年の本祭りを見学した時も昼過ぎから雨が降り獅子屋台にシートが被せられ、こちらも傘しか持っていなかったので、寄け合いは神輿と上獅子を見学しただけで途中で帰りました。藪原祭りは、梅雨の最中に行う祭りで雨に恵まれ「雨降り祭り」とも呼ばれています。

平日にも拘らず大勢の子供たちが祭りに参加しているので、「今日、学校は休み?」と聞くと、8~9日の2日間は小中学校とも休みなのだそうです。ついでに側にいる若者に聞くと、勤め人は会社などに願い出て祭りの前後を含めて4日間休暇をとっているとのことでした。驚きです。

そういえば小学生の頃、同じ小学校でも地区により秋祭りの開催日が異なり、該当する地区の子供だけが午後から学校が休みにしてくれて、祭りを大いに楽しんだことを思い出しました。おおらかな時代でした。

 

     下獅子屋台                          下獅子屋台の七夕飾り

 

       神 輿                          上獅子と神輿との寄け合い

 

天狗のお祓いを受ける                           天狗一同    

 

神輿と下獅子との寄け合い                   上獅子屋台の方向転換

 

上獅子と下獅子との寄け合い                上獅子の舞

 

 下獅子の舞                 上獅子と下獅子との寄け合い

 

下獅子と上獅子の別れ                      上獅子屋台の囃子方

祭りの栞(トップ)

 

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