古式作始め神事(仁科神明宮)

【祭礼日】3月15日
【場 所】仁科神明宮(大町市社1159)

【日 程】13:00~14:00

仁科(ニシナ)神明宮の「古式作始め神事」は、伊勢神宮に習って始まったとされる祈年祭(としごいのまつり)で、一年の豊作と健康を祈願する神事です。室町時代末頃から伝わるといわれています。

拝殿で神事が行われた後、神楽殿を舞台として古式作始め神事が奉納されます。神楽殿の真ん中に奉書紙を挟んだ斎竹(イミダケ)4本で囲んだ一角を田と見立てて行われます。祭壇は神楽殿の左側に設けられています。

奉仕者は白丁(ハクチョウ)姿に立烏帽子(タテエボシ)を被る田人(タウド)と呼ばれる8人で、祭壇前に2列になって向き合って座り、2人1組で交代して25段の神事を進めます。19段の占いでは宮司が加わります。

鍬2丁は舞台奥に差し渡された縄に掛けられていて、鍬を使用する段ではここから鍬を取り出し、役が終わる都度、縄に掛けて納めます。

【式次第】1.耕人、2.小鍬持廻り、3.水揚げ、4.万鍬(マングワ)掻き、5.水止め、6.畦塗り、7.水揚げ、8.水止め、9.刈敷(カリシキ)蒔き、10.土竜(モグラ)追い、11.万鍬掻き、12.水揚げ、13.水止め、14.苗代しめ、15.水揚げ、16.鳥追い、17.水止め、18.種量り、19.占い、20.種蒔き、21.水揚げ、22.鳥追い、23.歌上げ、24.胴上げ、25.茅(カヤ)投げ

耕人:鍬を右肩に担いで田の対角線の外で2人が向き合い、田の中に入り鍬で田を耕します。これを田に入る方向を変えて2回行います。

小鍬持廻り:右手に小鍬を左手に三方を持って「春鍬!春鍬!」と叫びながら田を一周した後、観客に向かって三方に盛った鍬のミニチュアを撒きます。

水揚げ:祭壇前に進み出て鍬を手前に3回引き水口を開ける所作をした後、鍬を肩に担いで田を一周します。

万鍬掻き:後ろに万鍬を付けた黒の牛を曳いて田の中に入り、田人の1人が万鍬を上下させながら牛は田を一周します。

水止め:祭壇前に進み出て鍬を3回祭壇側に押して水口を止める所作をした後、鍬を肩に担いで田を一周します。

畦塗り:鍬を持って田の中に入り、背中合わせになって鍬で畦を塗る所作をします。これを田に入る方向を変えて2回行います。

刈敷蒔き:祭壇に置かれていた刈敷を盛った三方(サンボウ)を持ち田の中に入り、堆肥とするため刈敷を田に蒔きます。これを田に入る方向を変えて2回行った後、三方を祭壇に戻します。

土竜追い:祭壇に置かれていた縄の輪二つを持って田の外で後ろ向きになり、二つの縄を左右両足の親指に掛けた後、片足ずつ上げて土を踏む所作をします。これを田に入る方向を変えて2回行った後、縄を祭壇に戻します。

苗代しめ:鍬を持って田の中に入り鍬で3回打った後、田を均す所作をします。これを田に入る方向を変えて2回行います。

鳥追い:祭壇に置かれていた扇子を腰に差し、鍬を右肩に担いで田の対角線の外で向き合い、鍬を左肩に乗せ替えて右手で腰の扇子を抜き、「ホーイ、ホーイ」と声を上げながら鍬の柄を2回叩きます。これを田に入る方向を変えて2回行います。

種量り:橙の傘を持つ裃姿の1人が舞台右奥に立ちます。茣蓙の上に置かれた籾種を田人の1人が両手で3回掬って丸い木桶の中に入れます。木桶には持ち手用の縄が十文字に結わえ付けてあります。

占い:籾種の入った木桶を宮司が右手で持ち上げ1回だけ強く祭壇に打ち付け、この時の音でその籾種から生長する稲の豊凶を占います。

種蒔き:田人の1人が木桶を左手に抱えて四方から田の中に入り、それぞれ左・中・右の順で3回田に種を蒔きます。以上の占いと種蒔きを3回行い、早生・中稲・晩稲の豊凶を占います。

鳥追い:2回目の鳥追いが終わると、田人の7人と裃姿で傘を持つ人は後ろ幕へ退場します。

歌上げ:残った田人1人が、直立し伸ばした右手に開いた扇子を持ち「御歌」を歌います。

胴上げ:歌上げが終わるや否や、青の襷を掛けた田人の7人と傘持ちが後ろ幕から現れて歌上げを胴上げします。

茅投げ:茅・斎串(イグシ)・小鍬ミニチュアが、所望する観客の皆さんに授与されます。

御託宣:最後に、宮司から今年の稲作の占い結果が報告されます。今年の稲の作柄は早生が七分、中生が九分、晩生が八分の出来とのことです。

<御 歌>

美鈴刈る 信濃の国は 

仁科六十六郷の惣社 

神明宮の御作始め種下ろし 

またく事 終へ 

今日のいく日の東しらみに 

綾や錦のたすきを 掛けそろし 

ヤンリ コンリ 

とーど衆 来いやい 

とーど衆 来いやい 

とーど衆 来いやい

 

神事(神明宮拝殿)               鍬を取り出す 

 

    耕 人                               小鍬持廻り 

 

万鍬掻き                                 水止め

 

 刈敷蒔き                                 土竜追い

 

苗代しめ                                 種蒔き

 

鳥追い                                  歌上げ

 

胴上げ                                 茅投げ

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