越のドンドヤキ(オスガタ)

【祭礼日】1月15日直前の日曜日
【場 所】越第一公民館(長野市篠ノ井塩崎1957)・越道祖神

【日 程】9:00~12:00(オスガタ作り=越第一公民館前広場)、16:30(越道祖神で神事)、17:00(オスガタに点火=越第一公民館前広場)

長野市篠ノ井塩崎の長谷(ハセ)の平(ヒラ)・越(コシ)の越、越の東谷(ヒガシダニ)の三集落では、小正月行事として藁(ワラ)人形や紙人形を作りこれを燃やすドンドヤキが行われます。道祖神信仰との結び付きもあるようです。道祖神は、災厄の進入を防ぐ神とされ、また子供の成長や子宝祈願の対象となる神様です。

越のドンドヤキは、150年ほど前から始められたといわれます。午前中に越第一公民館前広場で「オスガタ」と呼ばれる高さ4mほどの藁人形を作ります。

早朝に、上部に葉の付いた青竹10数本とクヌギの木3本を山から伐り出しトラックで公民館広場に運び込みます。いずれも10mになろうかと思われるほどの長さです。

予め作ってあったのか公民館の倉庫に、直径50~60cm、長さ4mほどの藁を束めて縄で巻き締めた大きな円筒形のものが置いてあり、この芯に長さ5mほどの太い孟宗竹を木槌で打ち込みオスガタの胴体とします。一方、公民館内ではオスガタに張り付ける顔・頭巾の絵や祈願文などを大きな白紙に墨書きしています。

胴体部分を広場の真中辺りに立て、クヌギの木3本を使って胴体が倒れないように固定します。次に、長さ3mほどの青竹を胴体上部に打ち込み、藁束を巻き締めた直径30cm、長さ5~6mの腕部分2本を青竹の左右に挿し込みます。

次に、胴体上部に顔の絵を描いた紙を張り付け、その上の頭巾に当たる部分に、大国主(オオクニヌシ)大神と事代主(コトシロヌシ)大神の文字と姿絵が印刷された三角形の紙を張り付けます。

次に、左腕袖部分に「五穀豊穣・家内安全」の文字と男根の絵が描かれた紙を張り、右腕袖部分に「夫婦円満・子孫繁栄」の文字と女陰の絵が描かれた紙を張り、胸の部分に千曲市八幡の武水別(タケミズワケ)神社の三巴(ミツドモエ)の紋を描いた紙を張り付けます。

オスガタに紙を張り付ける方法は、長さ10cmほどに切った細い女竹を要所要所に、紙の上から藁に挿し込んで紙が落ちないようにします。

次に、腕と同じくらいの大きさに巻き締めた藁束で男根を作り胴体下部に取り付けます。男根の前に、長さ1.5mほどの藁束の真中に、寿と書いた紅白の扇・蜜柑・松葉・鯛の絵などで飾った女陰を置きます。

次に、各家から持ち込まれたダルマ20数個をオスガタの前に並べ、正月飾りと藁束をオスガタの周りに積み上げた後、上部に葉の付いた10数本の長い青竹でオスガタを覆い、縄で上下2ヶ所を縛り固定します。

最後にオスガタの前に、八足台(ハッソクダイ)を置き、三方(サンポウ)を三つ並べその上に神饌を置き祭壇が出来上がり全ての作業が終わります。作業に参加した30人余がオスガタの前で記念撮影し、一旦解散します。

雪が降り始め辺りが薄暗くなった夕方、公民館から200mほど離れた越道祖神前に10人ほどが集まり、道祖神に榊と蝋燭を供え、蝋燭に灯をつけ二礼二拍一拝した後、提灯に灯を移し公民館広場に向かいます。広場にはすでに沢山の人が集まっています。代表者がオスガタを幣束でお祓いした後、オスガタの西南西(今年の恵方)の部分に火を点けます。この頃からボタン雪が激しくなってきました。

降雪の中、燃え盛ったオスガタも20分ほどで燃え尽きると、みなさん用意してきた長い竹の先にアルミ箔などで包んだ餅を付け、残り火で餅を焼きます。

 

       クヌギの木                             オスガタの顔を描く

 

胴体を立てる                       腕を取り付ける    

 

  男根と女陰                               オスガタが完成

 

道祖神の灯を移す                              幣束でお祓い

 

       オスガタに点火する                   燃えるオスガタ

 

燃えるオスガタ                         餅を焼く         

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