高田の暴れ亥の子(山口神社)

【祭礼日】12月第一日曜日
【場 所】山口神社(桜井市高田817)

【日 程】14:00(御仮屋暴れ)、15:00(膳暴れ)、18:00(灯明消し暴れ)、深夜(当屋渡し)

「亥の子(イノコ)」は、旧暦10月(亥の月)の亥の日のことで、またこの日に行われる行事のことでもあります。東北から九州までの各地でみられる行事で、東日本では「十日夜(トウカンヤ)」と呼ばれています。

行事の内容は、この日に餅を搗いて食べる、藁束で地面を叩く、石で地面を搗くなど各地で異なりますが、秋の収穫を祝う・田の神山の神に感謝する・子供が主役の行事であることなどが共通しています。

「高田(タカタ)の暴れ亥の子」は、 秋の収穫感謝と子どもの成長や村内安全を祈願する行事で、子供たちが思い切り暴れ回り、激しく暴れるほど来年豊作になるといわれるユニークな行事です。

高田地区内の八つの垣内(カイト)(集落)が、年交代の輪番で大当屋(オオトウヤ) と小当屋(コトウヤ)を務め、この当屋を中心にして行事の準備がなされます。

準備は、大当屋と小当屋が吉野郡吉野町にある大名持(オオナモチ)神社へ夏に参拝し、吉野川から持ち帰った「御白石(オシライシ)」を山口神社へ奉納することから始まります。

祭り当日早朝、高田の農作物集荷所前に青竹で高さ1.5m、幅・奥行きとも2mの「御仮屋(オカリヤ)」が建てられ、御仮屋の陸屋根として青竹5本が差し渡されます。陸屋根の上に平板が敷かれ、その上に山口神社の御分霊を遷した「お屋形」と供物が置かれます。

また、陸屋根として差し渡された青竹5本には、ねむの木で作った唐鋤(カラスキ)・鎌・のこぎり・槌・鉞(マサカリ)などの農具のミニチュアや青竹で作った竹筒が藁で吊り下げられます。その数、100個ほどもあり、これらには紙に包んだ賽銭が付いています。

【御仮屋暴れ】亥の子行事の最初は「御仮屋暴れ」です。御仮屋の上に載せられたお屋形と供物が取り外された後、当屋の合図で子供たちが一斉に農具のミニチュアや竹筒を奪い合います。目当ては、これらに付いている賽銭です。

あらかたの獲物がなくなると、御仮屋が子供たちによって叩き壊されます。

【膳暴れ】次に、集荷所屋内で「膳暴れ」が行われます。ブルーシートで床・壁を覆った一角が祭場となります。壁上部に設けられた祭壇にはお屋形と供物が載せてあります。

祭壇下の長机に鉢巻飯5組10個と御膳4膳が置かれます。鉢巻飯は円錐形に握った大型の赤飯で、10個のうち5個には、藁で螺旋状に5段の鉢巻が施されています。

御膳には、小皿に盛った大豆・ひじき・かぶら・里芋・はったい粉と空の汁椀が置いてあります。御膳の脇にはねむの木で作った長さ30cm・太さ3cmほどの箸が3本ずつ置いてあります。

ブルーシートの上に御膳・箸・鉢巻飯のセットが4組並べられ、その後ろに小学生の男児4人が座ります。男児は、鉢巻のない赤飯を上に鉢巻のある赤飯を下にして重ね、3本の箸を下の赤飯に突き挿して床に立てると、御膳の汁椀に豆腐の味噌汁を入れるよう世話役に催促します。

汁椀に味噌汁が注がれると、男児は鉢巻飯を両手に抱きかかえて立ち上がり、御膳を足で蹴ってひっくり返し、料理や味噌汁を辺りに飛び散らかし、膳や汁椀も踏みつけて壊すなど大暴れします。

【灯明消し暴れ】このあと膳暴れと同じ場所で「灯明消し暴れ」が行われますが、所要があり見学せずに帰りました。灯明消し暴れでは、膳暴れの際、壁に設けられた祭壇の灯明に子供たちが濡れた藁束を投げつけてこれを消し、世話役が灯明を灯す、子供たちがこれを消す、この繰り返しを子供たちが疲れてやめるまで際限なく繰り返すのだそうです。

【当屋渡し】灯明消し暴れが終わりすべての片づけが終わった後、「当屋渡し」が行われます。深夜暗闇の中、大当屋と小当屋の2人がお屋形を山口神社に持ち運び、この日早朝に御白石の上に献じた御幣とお屋形内の御幣をそれぞれ新しい御幣と交換した後、翌年当番の大当屋宅に赴きお屋形を渡します。次の大当屋は翌年の祭りまで屋形を家で預かり祀るのだそうです。

帰り際に山口神社に寄りました。山口神社は神木を御神体としているので社殿は無く、石塔が2本建ちその真ん中に御白石が積まれているだけです。

 

 御仮屋暴れ                            獲物を確認する

 

 獲物を確認する                           膳暴れの祭場

 

  お屋形                               鉢巻飯5組

 

 唐鋤と牛のミニチュア                           御膳と箸       

 

御膳と鉢巻飯の後ろに座る                   鉢巻飯を3本の箸で立てる

 

膳暴れ

 

鉢巻飯を頂く                             山口神社

 

祭りの栞(トップ)

 

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