鍵の蛇巻き(八坂神社)

【祭礼日】6月第一日曜日
【場 所】八坂神社(磯城郡田原本(タワラモト)町鍵278)

【日 程】8:00~13:00(蛇作り=神社)、13:50(神事=神社)、14:00~15:10(蛇の練り)、15:15~15:30(蛇巻き・神事=ハッタハン)

「鍵の蛇巻き(ジャマキ)」は、旧暦の5月5日に行われる端午の節句に因む農作の豊穣を祈願し男子の成長を祝う行事です。

祭りの由来は、『鍵の村に大きなムジナが現れて人を取っては食い田畑を荒らした。そこへ隣村の今里の竜がきて東の藪でムジナと喧嘩して殺した。村人は喜んでその祠(ホコラ)に竜を祀り「蛇巻き」の行事をするようになった』といわれています。その今里でも、今日の午後から同じような「蛇巻き」の行事が行われています。

蛇巻きの蛇(ジャ)は稲ワラと新麦ワラで作られています。蛇の頭は直径50cm×長さ2mほどの稲ワラの束を五つ作りこれを横に重ねてワラ縄で縛り括ったもので、直径1m×長さ2mほどの円柱状に作られ重さは200Kgにもなるそうです。

この蛇の頭の後ろに胴体を取り付けます。胴体は、稲ワラを綯(ナ)って作った太さ5cm×長さ12mほどの綱に新麦ワラ数10束を十文字にして付けたもので、持ち手用の縄も取り付けてあります。

この他に「ドサン箱」も作られます。長さ4~5mの青竹の先端に弁当箱のような白い箱が挟まれていて、この中にカシの木で作ったクワ・スキ・カマ・ビッチュウなどの農具のミニチュアが入っています。このドサン箱を巡行中に各家に差し向けてご祝儀をいただくのだそうです。

時間になると、蛇の頭の上にロウソク・御神酒・塩・洗米が入った角(カク)の折敷(オシキ)が置かれ、神主が祝詞を奏上しロウソクに火を灯し御幣の付いた榊の枝で蛇をお祓いした後、塩・洗米・御神酒を蛇に振りかけ御祓いします。

14時からドサン箱持ちの2人を先頭にして蛇の行列が地区を練ります。蛇巻きの行事はトヤ(当屋)と数え年17才までの少年との合同行事で、皆さん紺の祭り半纏を着け白の鉢巻きを締めています。

蛇の頭を担ぐ「頭持ち((カシラモチ)」は中学1年生から高校1年生までの男子で、トヤの大人も手伝い10人ほどで担ぎます。かつては数え年15~17才の少年が頭持ちを務め、17才の少年が大人の仲間入りをする通過儀礼で、数え年14才の少年は「ドサン箱持ち」と呼ばれていたそうです。

長い胴体を持つのは小学生の男子でこれもトヤの大人が手伝い20人ほどで胴体を持ちます。胴体を持つ子供たちは蛇の頭の動きを止めようとして、頭と胴体との引っ張り合いになります。

蛇の頭があまりにも重いので少し進んでは頭を下ろし休んだりしながら1時間余り鍵地区を練った後、北中学校の北側にある「ハッタハン」と呼ばれる所に着きます。

ハッタハンで、蛇の頭の上に角の折敷に入れた神饌を載せて神主が祭文を奏上します。神饌は「ボンサンの膳」・「マス」・ウルメイワシ1尾・クルマエビ1匹・柿の葉に載せた香の物2切れなどです。ボンサンの膳は、蒸し飯を坊さんの頭のように半球状に盛ったもので、マスは、蒸し飯を角箱で押して桝形にしたものです。

神事が終わると、二人の大人が分かれて2本のヨノミの木(榎)に登り、蛇の胴体を2本の木に掛け渡し尻尾を「明の方(アキノカタ)」(恵方)に向けます。明の方の方角に向かって事を行えば万事に吉とされています。今年の明の方は北北西です。

蛇の頭はヨノミの木の根元に置いたままです。鍵の蛇巻きは、ヨノミの木に掛けられた姿から「降り竜」といわれ、隣の今里の蛇巻きは「昇り竜」といわれています。

 

蛇巻きの神饌                          蛇をお祓いする

 

ドサン箱持ち                          蛇の頭を担ぐ

 

 蛇の練り                               ハッタハン

 

      祭文を奏上する                      ヨノミの木に掛けられた蛇 

祭りの栞(トップ)

 

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