今里の蛇巻き(杵築神社)

【祭礼日】6月第一日曜日
【場 所】杵築神社(磯城郡田原本町今里168)

【日 程】13:00~14:30(蛇作り=神社)、15:45~17:45(蛇の巡行)、18:00~19:00(蛇巻き・直会=神社)

「今里の蛇巻き(ジャマキ)」は、旧暦の5月5日に行われる端午の節句に因む農作の豊穣を祈願し男子の成長を祝う行事で、江戸時代の初期から行われているといわれます。

祭りの由来は、『むかし今里に雄の竜がいて村中の若い娘や赤児を食い農作物まで食い荒らした。通りかかった一人の僧が村人に「五月の節句に菖蒲で太刀を作って家々に飾るとよい」と教えたので竜は驚いて中街道の榎の上に隠れた』といわれています。

蛇巻きの行事は、当屋と17才以下の子供たちとの合同行事で、当屋は、前年の当屋「送り当屋」、本年の当屋「本当屋」、翌年の当屋「迎え当屋」各3軒ずつ合計9軒が務めます。

鍵の八幡神社で行われた「鍵の蛇巻き」を見学した後、500mほどしか離れていない今里の杵築(キツキ)神社で行われる「今里の蛇巻き」を見学しました。

杵築神社に着くと蛇(ジャ)が巡行に出る少し前でした。神社境内に麦わらで作られた蛇が木の丸棒でX字に組まれた7組の台に置かれています。

蛇の頭部は5束の新麦わらで太さ60cmほどに作られ、胴体は12束の新麦わらを綱に巻き込んでウロコを模して作られ、尻尾は縄で作られ、全体の長さは18m、重量は150Kgあるそうです。今日の午後から1時間半ほどかけて当屋9軒と子供たちとで作られています。

蛇の頭を持つ「頭(カシラ)持ち」は中学生と高校1年生が務め、胴体と尻尾は小学生が持ちます。蛇の頭は鍵のそれと比べると小さいですが巡行する距離と時間は鍵地区の2倍になるので大変です。17才の少年は頭持ちを務めると大人の仲間入りをすることになります。

蛇は90戸ほどの今里の集落を回り、蛇の頭は各家の玄関の中まで入り頭持ちが「おめでとう」とお祝いの挨拶をします。結婚・出産・新築などの慶事があった家の近くでは、仲間たちを蛇の中に巻き込んで大いに盛り上げます。かつては通行人まで巻き込んでいたそうです。

2時間ほど巡行し神社に戻り小休憩した後、神社境内の南東角にある榎に蛇を巻き付けます。かつては頭持ちが木に登って巻き付けていたそうですが、現在は造園業者が操作するクレーンで行います。

蛇の頭を上にして時計回りに榎に巻き付け、最後に蛇の頭を「明の方(アキノカタ)」(恵方)に向けます。明の方の方角に向かって事を行えば万事に吉とされています。今年の明の方は北北西です。今里の蛇は「昇り竜」に、鍵の竜は「降り竜」にして巻き付けられています。

蛇巻きが終わると、榎の根元にある「八大龍王」の祠(ホコラ)の中に農具のミニチュアと絵馬を供え、祠の前には三方(サンボウ)に御神酒・塩・洗米・スルメを載せて供え、全員でお参りしその場で直会をします。農具のミニチュアは柳の木で作られたクワ・スキ・カマ・ビッチウなどで、絵馬は杉板に牛と馬の絵を描いたものです。

この後、少年・子供たちは本頭屋の家で御馳走をいただくのだそうです。

 

境内に置かれた蛇

 

 神社を出発する                          家の中に入り込む

 

 蛇の中に巻き込む                          寺川の堤防を進む

 

蛇をクレーンで巻き上げる         巻き付けられた蛇   

 

八代龍王の祠に農具・絵馬などを供える                   祠の前で直会          

祭りの栞(トップ)

 

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