おんだ祭(倭文神社)
【祭礼日】4月16日に近い土曜日 or 日曜日
【場 所】倭文神社(葛城市加守1045)
【日 程】14:00(神事)、14:30(おんだ祭)、14:50(御供まき)
「倭文(シトリ)神社」は、正式には「葛木倭文坐天羽雷命(カツラキシトリニイマスアメノハイカヅチノミコト)神社」という長い名前です。社殿は境内広場から30数段上がった所にあります。
境内広場には小砂利が敷き詰められていますが、「おんだ祭」が行われる広場の一画の「斎田」には斎竹(イミダケ)と注連縄が張り巡らされ、注連縄の中の小砂利は外周に寄せ集められ田の畔(アゼ)とされ、畦の内側の土が現れた部分が田と見立てられます。
本殿での神事が終わると、おんだ祭の主役である柘榴(ザクロ)色の狩衣(カリギヌ)姿に烏帽子(エボシ)を被った4人と白丁(ハクチョウ)姿の小学生4人が階段を下りてきます。小学生2人は牛面と幌を被り、草色の狩衣姿に烏帽子を被った1人などに手助けされながら急な階段を下ります。
最初に、柘榴色の狩衣姿の1人が踏鋤(フミスキ)で「畦切り」の所作をし、次に、別の狩衣姿の1人が鍬で「畦塗り」の所作をします。
次に、唐鋤(カラスキ)で「田起こし」をします。草色の狩衣姿の1人が牛を引き、牛に繋がれた唐鋤を柘榴色の狩衣姿の1人が持ち田を周回します。牛役の2人は白丁姿の小学生です。次に、唐鋤を馬鍬(ウマクワ)に取り替えて「代掻き(シロカキ)」をします。いずれも田を2回周回しますが、牛は途中で「モウー、モウー」と鳴いたりします。
次に、松苗の束が配られ田植えです。これまで興味深々と行事を見守っていた幼児たちも田植えに参加できるので、子供たちは一斉に田の中に入り柘榴色の狩衣姿の4人と一緒に松苗の束を田に並べます。
皆が田植えをしている脇で牛がお産の準備を始めます。草色の狩衣姿の1人などの大人が牛の幌を少し上げると、幌の中から仔牛が現れ仔牛の誕生となります。仔牛役の2人も白丁姿の小学生です。
仔牛が生まれると親牛と仔牛は斎田を走り回り、親牛は斎竹にぶつかりこれを倒したりします。牛が暴れるほど豊作になるといわれます。
おんだ祭で仔牛の出産があるのはここだけのようで極めて珍しいです。倭文神社の境内摂社である「加守(カムモリ)神社」の祭神が、「産育の祖」とされる「天忍人命(アメノオシヒトノミコト)」であることから仔牛の出産行事が行われるようになったかもしれません。
この後、社殿に通ずる階段から「御供(ゴク)まき」が行われおんだ祭の行事が終わります。
神 事 踏鋤で畦切り
鍬で畦塗り 唐鋤で田起こし
馬鍬で代掻き 田植え
仔牛が生まれる
親仔の牛が暴れる 親牛が斎竹を倒す
仔牛と親牛 御供まき