だだおし(長谷寺)

【祭礼日】2月14日
【場 所】長谷寺(桜井市初瀬町731-1)

【日 程】16:00~18:00(年により1時間早く行われることもあります)

「長谷寺のだだおし」は、2月8日から7日間に亘る「修二会(シュニエ)」の締めくくりとして行われる「鬼追い」の儀式で、正式には「追儺会(ツイナエ)」と呼ばれ、古くは旧正月十四日の午後6時頃より行われていました。 その昔、寺の乾(北西)の隅の谷に住む悪鬼が、暮れ六つの法螺貝の音を聞いて里に出て人々を苦しめたのを、寺僧が修二会の行によっ て調伏したとの由来による行事です。

「だだおし」の名は、閻魔大王(エンマダイオウ)が人々の生前の行為を審判し懲罰を加えるために持つ杖に由来するという説、閻魔王の印の「檀拏印(ダンダイン)」を人々の額に押す儀礼に由来するという説など諸説があるようです。

当日早めに長谷寺に着き、本堂の内舞台から鬼と大松明を間近で見学でき、且つ内舞台で檀拏印を押印していただけるという「牛玉札(ゴオウフダ)」(一体3000円)を授与していただきました。内舞台への参列はだだおし行事開始の1時間前から開始されますが、そのための順番待ちの行列が早くもできています。

しかしながら、だだおしの行事が行われる内陣の写真撮影は許されない上、行事が始まるとロープが張られて本堂外との行き来ができなくなるというので、内舞台には入らず本堂外の回廊脇で待機することにしました。回廊の床は石畳で松明の火がこぼれ落ちても燃えないようになっています。

回廊脇で待つこと1時間半、ようやく内陣でだだおしの行事が始まり、その内容が内舞台に立つ神職によりマイクで放送されます。牛玉札に同封されていた説明書などによれば、内陣での儀式は次の通りです。

1.悔過(ケカ)法要  導師が、長谷寺のご本尊・十一面観音の御前で人々の罪科を懺悔します。

2.七種秘宝の開封  唐櫃(カラビツ)に納めて堂内に持ち込まれた「御胎内仏」および「如意宝珠(ニョイホウシュ)」・「閻浮提金(エンブダコン) 」の宝印など七種の秘宝の封印を解き、宝物を本尊正面に供えます。

3.鬼面加持  鬼面加持の役が、本尊の右前に飾られた鬼面を加持し、法会の無魔成満を祈念します。

4.宝印加持  宝印加持の役が、本尊・導師・職衆・参詣者の順で宝印を加持します。この途中から赤・青・緑の鬼3匹が金棒を持って堂内を暴れ回ります。法螺貝と太鼓の音が鳴り響く中、職衆が楉(スワエ)と四手に挟んだ牛玉札の威力を持って鬼を堂外に追い出します。

追われた鬼は男衆5人と共に大松明を担いで回廊に現れます。だだおしの行事が内陣で始まってから1時間ほど経っています。大松明は、長さ一丈五尺余り(約4.5m)重さ三十貫超(約120Kg)にもなります。

最初に、青鬼が本堂の左側から現れ大松明の火の粉を散らしながら左回りに三周し、赤鬼が本堂の右側から現れ右回りに三周し、本堂正面前などで青鬼と赤鬼が交差します。大松明の後ろには水が入っている木桶と笹束を持つ男衆1人が付いて、松明を担ぐ最後尾の男衆の背に笹束で水を掛けて濡らします。

青鬼と緑鬼が回廊を三周して退散すると、本堂右側から長さ60cmほどもある鬼面を着ける赤鬼が現れ火の粉を散らしながら回廊を三周し退散します。

赤鬼の退散と同じ頃、内陣での行事も終わり導師・職衆は列をなして暗闇の中、本坊に戻ります。本堂脇では燃え残った松明の争奪戦が行われていたようです。松明の燃えカスは、無病息災・家内安全のお守りになるのだそうです。帰りの電車の中で自分の背丈よりも長い松明の燃えカス1本を持った女性に出会い驚きました。

 

 授与された牛玉札                                笹束と水を入れた桶          

 

青 鬼

 

笹束の水で担ぎ手の背を濡らす                                青鬼と緑鬼が交差する      

 

緑 鬼

 

赤 鬼

 

七種の秘宝を納めた唐櫃                                        職衆が本堂を退出する

祭りの栞(トップ)

 

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