田山の花踊り(諏訪神社)

【祭礼日】11月3日
【場 所】諏訪神社(南山城村田山堂山1)

【日 程】9:00(神事=神社)、13:00(入端太鼓・花踊り=旧田山小学校)、13:15(道中行列)、13:45~15:15(入端太鼓・花踊り・式典=神社)

南山城村は、府の南東部にあり滋賀・三重・奈良の3県と接し、田山は南山城村の南端に位置し江戸時代は柳生藩領に属していました。

「田山の花踊り」は、田山の郷士で柳生藩に仕えていた有野氏が主君に従って江戸へ参動交代の旅に出た時に学んできたものといわれています。

田山では雨乞いの祈願をする際、「こもり願」「青物願」「供の願」「百灯明」「千灯明」「大灯籠」「きりこ灯籠」「山灯籠」「臨時大祭」「ソウイサメ」「ふりかけ踊」「かんこ踊り」「笹踊り」の順で祈願行事をして雨が降るとその時点で祈願行事を終え、それでも雨が降らない時に「花踊り」を奉納し、また祈願行事の途中で雨が降った場合も返礼として花踊りを奉納したと伝えられています。

田山の花踊りは、大正13年(1924年)に奉納されたのを最後に中断していましたが、昭和38年(1963年)に「田山花踊り保存会」が結成され復活しました。

花踊りには、愛宕踊(9節)・庭の踊(5節)・御殿(オトノ)踊(6節)・じんやく踊(18節)・鎌倉踊(5節)・綾の踊(7節)・屋敷踊(5節)・手きき踊(5節)・姫子踊(8節)・拾九踊(7節)・八ツ橋踊(9節)・御庭踊(7節)の12曲91節があったといわれます。

現在伝わるのは、道行から宮入りまでの儀礼の曲とされる愛宕踊のほか7曲で、愛宕踊とその他2曲を年ごとの順繰りで奉納しているそうです。今年は愛宕踊と御殿踊・御庭踊の合わせて3曲が奉納されました。

祭礼当日は、午前中に神社で神事が行われ、午後から旧田山小学校の校庭で「入端(イリハ)太鼓」が奏された後、愛宕踊1~3節の唄と踊りが始まります。旧田山小学校は、踊りの伝播者と伝えられる郷士有野家の庭跡だそうです。

入端太鼓を奏するのは、花柄の紺の半着姿に白の手甲脚絆を着け緑の鉢巻を締める男女児が1人ずつ順番に打ちます。次に、師匠と呼ばれる黒紋付袴姿に白の鉢巻を締める大人が奏します。

愛宕踊は、大太鼓打ち1人・山伏4人を囲むようにして「中踊り」と呼ばれる12人が大きな輪になって、「唄付け」10人の唄に合わせて胸に付けた羯鼓(カッコ)を打ちながら踊ります。中踊りは、女物の長羽織・白の股引・白の手甲・白の鉢巻姿に白の足袋・草鞋を履き「シナイ」を背負っています。

シナイは、長さ2mほどの棒に赤と緑の短冊で飾る3段・その上に白の御幣1段・その上に造花を付けた竹ヒゴ10数本の花飾りを付けたものです。

唄付けは、黒紋付袴姿に花笠から垂らした白の布と金箔で顔を隠し日の丸扇を手に持っています。

中踊りの輪の外には、唄付け・「払い棒」3人・「ササラ」20人・「長谷川流棒術」12人が取り巻いています。

払い棒は、紫の長着・緑の錦帯・青の襷姿に折編み笠を被り、赤や緑の袋に入れた背丈ほどの棒を持っています。

ササラは、紺絣の長着・黄の帯姿に「祭」と描かれた広幅の鉢巻をし、ササラを両手に持つ男女児です。ササラは、かつて中踊りの外側で踊った「側踊り(カワオドリ)」の名残りだそうです。

長谷川流棒術は、白の小袖・黒の袴・白の鉢巻姿に1mほどの棒を持つ少年たちで、柳生流棒術の流れのようです。

この他に道化の天狗とヒョットコがいて、踊りの周りを回りながら踊りの進行を守っています。

天狗は、女物の半着・水色の袖なし半纏姿に鶏兜を被り一枚歯の高下駄を履き大きな団扇を持っています。ヒョットコは、赤の花格子柄の着物姿で腰に瓢箪と竹籠をぶら下げ、長さが足の2倍ほどもある細長い藁草履を履いています。

愛宕踊が終わると、警護・払い棒・長谷川流棒術・道化・入端太鼓・山伏・ササラ・唄付け・中踊り・「神夫知(シンプチ)」の順で、行列を組んで神社に向かいます。

警護の2人は、裃姿に刀を腰に帯び陣笠を被り2m余の竹の棒を持っています。柳生藩士を模しているようです。

行列が急階段を上って宮入りし、旧田山小学校と同じように子供と師匠による入端太鼓が奏された後、愛宕踊7~9節の唄と踊りが奉納されます。

式典の後、裃姿に軍配を持つ神夫知と呼ばれる少年が神前に据えられた大太鼓の上に立ち、雨乞い願かけの口上を述べます。

その後、御殿踊・保存会副会長口上・御庭踊と続きます。最後に、拝殿から紅白の餅が投げられ祭りは終わります。

 

 入端太鼓(子供)                 入端太鼓(師匠)

 

唄付け                                 山 伏

 

     警護と払い棒                         愛宕踊(旧田山小学校)

 

長谷川流棒術(道中行列)         ササラ(道中行列) 

 

 愛宕踊(神社)               休憩中の道化と中踊り(神社)

 

神夫知口上(神社)                         御殿踊(神社)

 

      御殿踊(神社)                      保存会副会長口上(神社)

 

    御庭踊(神社)                       踊りを終えて(神社)


祭りの栞(トップ)

 

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