百味の御食(涌出宮)

【祭礼日】10月第三日曜日
【場 所】涌出宮(木津川市山城町平尾里屋敷69-1)

【日 程】8:00~8:30(供物飾り付け)、9:00~10:00(百味の御食神事)

涌出宮(ワキデノミヤ)は、正式には和伎座天乃夫岐賣(ワキニイマスアメノフキメ)神社といい、天平神護2年(766年)、伊勢国渡会(ワタライ)郡五十鈴川の舟ケ原から、天乃夫岐賣神(アメノフキメノカミ)を勧請したのが起こりとされています。天乃夫岐賣命は天照大神(アマテラスオオミカミ)の御魂であるとされ、大神をこの地に勧請したところ一夜にして森が湧きだし四町八反余りが神域となったといわれ、古来より湧出宮と呼ばれる所以となっています。

【宮 座】現在旧棚倉村には、古川座・与力(ヨリキ)座・歩射(ビシャ)座・尾崎座・大(オオ)座・殿屋(トノヤ)座・岡之(オカノ)座・中村座の八つの宮座があり、涌出宮の「百味(ヒャクミ)の御食(オンジキ)」は、2月の居籠祭(イゴモリマツリ)・3月の「女(オナゴ)座の祭り」・9月の「アエの相撲」とともに「涌出宮の宮座行事」として国の重要無形民俗文化財に指定されています。

百味の御食は大座・殿屋座・岡之座・中村座が務め、その年採れた様々な収穫物を各戸から集め供物として神に奉納します。供物は芋類・豆類・野菜・果物など何でもよく、特に決まり事はないそうです。

朝8時少し前から各座の座衆約15人が、紙袋やポリ袋に入れた供物を手にもって集まり、拝殿に予め設けられた3段の棚に供物を飾ります。供物は「片木(ヘギ)」と呼ばれる白木の台に2~3ヶずつ納め、1段の棚に約50ヶ、3段の棚に約150ヶの片木が棚に置かれます。このほかに棚の手前に飾られた大型の三方(サンボウ)6台にもそれぞれ供物5~7ヶが置かれます。供物の数は百味どころか三百数十ヶにもなります。

神事は9時から始まります。宮司が拝殿の棚に置かれた供物をお祓いした後、本殿の棚への献饌が始まります。献饌は、座衆の1人が太鼓を打ち鳴らす中で、座衆全員が拝殿から本殿まで2列になり伝供(デンク)により行われます。この時、座衆は供物に息がかからないように榊の葉を咥えます。供物は境内の末社4社にも供えられます。献饌は20分かけて行われます。

百味の御食の献饌が終わると、宮司が本殿前で祝詞を奏上します。次に、本殿と拝殿の間にある幣殿で、座衆の1人が打ち鳴らす太鼓の音に合わせて巫女が舞いを奉納します。次に、巫女が拝殿の座衆を鈴でお祓いします。

次に、本殿脇の供え棚に置かれた折敷(オシキ)と三方に載る「御祈禱之札」と「御神饌(干しイカ)」を座衆2人が下ろし拝殿内に運びます。これを宮司と巫女が座衆に授与します。最後に宮司の挨拶があり、百味の御食の神事は終わります。

 

    供物を飾り付ける                                   棚と三方に飾られた供物

 

棚と三方に飾られた供物                            宮司が供物をお祓いする

 

伝供により供物を本殿に運ぶ

 

伝供により供物を本殿に運ぶ                                末社に供物を供える      

 

宮司が祝詞を奏上する                                              巫女舞        

 

 巫女が鈴で座衆をお祓いする                          供え棚から御札と神饌を下ろす

 

宮司と巫女が御札と神饌を授与する                          本殿に供えられた百味の御食    

 

授与された御祈禱之札                                        授与された御神饌

 

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