【祭礼日】6月5~6日
【場 所】県神社(宇治市宇治蓮華72)・宇治神社御旅所(宇治市字治壱番117)
【日 程】10:00(朝御饌の儀)、17:00(夕御饌の儀)、19:00(護摩焚法修)、19:10(越天楽・さんさ踊りほか)、20:30(音曲語り物この花咲くや姫)23:30(奉幣の儀)、24:00(渡御の儀)、6日1:00(還幸祭)(以上県神社にて)、23:00(梵天・獅子神輿渡御=宇治神社御旅所~宇治橋西詰)
「県(アガタ)祭り」は県神社の例祭の中で行なわれ、江戸時代に始まったといわれています。
神前に神饌を供える「朝御饌(アサミケ)の儀」・「夕御饌の儀」を経て、5日深夜から6日未明にかけて「梵天神輿」が渡御し、沿道の民家は明かりをすべて消して梵天神輿を迎えるので「暗闇祭り」とも呼ばれています。
かつては、沿道の家々は大阪・京都・奈良などの遠方から来た人々に開放され、暗闇の中で雑魚寝して梵天神輿の渡御を待ったといわれます。
数百の露店が並ぶ中を通り抜けて21時過ぎに県神社に着くと、「梵天奉納所」に梵天神輿が拝殿近くには大榊が飾られています。
梵天は、長さ2.5mの太い青竹の先に直径約2mの球形の御幣を付けたもので、御幣は1600枚の奉書紙を短冊に切って束ねてあり重さは50Kgにもなるそうです。
拝殿前にはお参りする人の姿が絶えません。しかし祭りを始めるような動きが見られないので、700mほど西にある宇治神社御旅所に行くとこちらにも梵天神輿があり、雄雌2頭の獅子神輿も並んで置いてあります。
雄獅子は黄褐色の胴幕、雌獅子は黒の胴幕で、ともに獅子頭の後ろに大きな紙垂(シデ)が添えてあります。また獅子頭の両側から前に延びる紅白の紐にはそれぞれ20ヶの鈴が付いています。
定刻の23時少し前、梵天神輿の先祓いとなる獅子神輿が宇治神社御旅所を出発します。賑やかだった露店は22時までにすべて店を閉めています。
獅子神輿には雌の獅子とその前後に青の祭り長着を尻端折りし白の地下足袋を履く2人が獅子を挟んで背中合わせに乗っています。この獅子神輿を「県祭奉賛会」の法被を着け白の地下足袋を履く10数人が担ぎます。県祭奉賛会は近畿一円に拡がる講の人たちです。
御旅所を出るとすぐに獅子神輿は激しく「縦振り」・「横振り」されます。横振りされると獅子神輿は垂直近い角度まで倒され、乗っている2人は振り落とされないように頑張ります。そのあと「ぶん回し」が行われます。神輿の架台に取り付けてある担ぎ棒2本が横にクルクルと回り上の神輿も回るようになっているのです。
次に、青の祭り長着を尻端折りし黒の地下足袋を履く20人に担がれた梵天神輿が御旅所を出発し、獅子神輿と同じ様に縦振り・横振り・ぶん回しをします。梵天渡御にも1人が乗り、梵天の間から両手と頭を出しています。
一行は都計道路を北東に進み、宇治駅前や宇治橋西詰でも獅子神輿と梵天神輿が縦振り・横振り・ぶん回しをします。その後、もと来た道を戻り御旅所に帰ります。
本来であれば、宇治神社御旅所から出た梵天神輿は県神社で「神移し」をして宇治川を渡り宇治神社に参り、県神社に戻り還幸祭をするのですが、2003年に還幸祭を行わなかったことから県神社と宇治神社・県祭奉賛会との関係がこじれ、2004年から両者がそれぞれ梵天神輿を出すようになり、現在も祭りは分裂状態になっています。
今回は、宇治神社御旅所からの梵天渡御だけを見学しました。県神社と宇治神社の祭神問題・立ち位置問題(末社か独立社か)などが絡み複雑なようですが、早く両者の関係が修復され本来の姿に戻ることを願っています。
梵天神輿(県神社) 大榊(県神社)
梵天神輿(宇治神社御旅所) 獅子神輿(宇治神社御旅所)
獅子神輿の横振り 梵天神輿のぶん回し
獅子神輿 獅子神輿のぶん回し
梵天神輿 梵天神輿の横振り