鵜川のイドリ祭り(菅原神社)

【祭礼日】11月1~8日
【場 所】菅原神社(鳳珠郡能登町鵜川18-156)

【日 程】7日夕方(七度半の使い)、19:00(神事=神社)、19:50~21:00(イドリ祭り=神社)、8日7:00~7:30(オハケ倒し=小垣公民館)

鵜川(ウカワ)のイドリ祭りは、11月1~8日まで行われる収穫感謝祭である八講祭(ハッコウサイ)の中で行われる行事の一つで7日に行われます。今回はイドリ祭りと翌朝のオハケ倒しを見学しました。

【八講祭の構成】能登町南西部の旧4ヶ村(鵜川・小垣(オガキ)・谷屋・七見(シチミ))と隣の穴水町東部の旧2ヶ村(太田川・竹原)の合計旧6ヶ村の12の名(ミョウ)が、二つの名1組で当元となり1年交代の輪番制で行います。その構成と当番順は次の通りで、今年の当元は4番の七見村(赤名)と小垣村(横山名)です。

1.鵜川村(黒御子(クロミコ)名)・小垣村(脇名)、2.谷屋村(江ノ口名)・七見村(菅沢名)、3.小垣村(江ノ脇名)・谷屋村(坂尻名)、4.七見村(赤名)・小垣村(横山名)、5.太田川村(宮田名)・竹原村(宇賀名)、6.竹原村(榎木名)・太田川村(羽田名)

中世の宮座の遺習を今に伝えるものとして注目されています。また、祭りの主賓は鵜川村黒御子名の伝兵衛さんと決まっています。その昔、村長の伝兵衛さんが菅原神社の創祀に尽力した縁に基づくものだそうです。 

【八講祭の行事次第】11月1日、当元の庭にオハケと呼ばれる神様が降臨される依り代(ヨリシロ)を立てます。これを口開祭(クチアケマツリ)といいます。11月3日、餅米を洗い、水に浸します。11月5日、餅を搗き、大鏡餅4枚・小餅60ヶ・とうし餅16枚(神饌用)などを作ります。11月6日、前夜祭で新旧の当元4人が、菅原神社で宮司の接待を受けます。11月7日、イドリ祭りです。11月8日、当元宅のオハケを倒し川か海に流します。

【イドリ祭り】イドリとは貶(ケナ)す、非難するという意味で、献饌された餅について検分し、あれこれといどるのでイドリ祭りの名が付いたようです。

当日夕方、神社に到着した時にはすでに大鏡餅は神前に置かれていました。羽織袴姿の各村の名主(ミョウシュ)が、拝殿隣の部屋で大きな角型の火鉢を囲んで餅を焼きながら飲酒・談笑している間に、当元はイドリ祭りの主賓伝兵衛さんを七度半の迎えに行っています。

当元と裃姿の伝兵衛さんこと廣田さんが揃って現れると、拝殿に12人の名主がコの字型に位置し、一段上の本殿で5人の神職による神事が始まります。神事が終わると、神職が各名主にお皿に盛った新米を手に、瓶子(ヘイシ)の御神酒を杯に授けます。

次に、各名主の前に膳が置かれます。膳には、飯碗に二段重ねした小餅2ヶ・汁椀に盛った小餅1ヶ・大根の生酢を盛った皿・御神酒拝戴用の小碗が載っています。名主の皆さんは碗の餅を手に取り、餅の出来栄えについてそれぞれいどります。本殿側に並んだ宮司もこれに加わります。

次に、神職が円形の式台2台にそれぞれ二段重ねした大鏡餅4枚を拝殿中央に並べ、大鏡餅の上に燭台と瓶子を置き、燭台の蝋燭に点火します。大鏡餅は直径1.2m、厚さ2cmほどの平餅です。

次に、来年の当元の名前を書いた奉書が読み上げられ、新当元の名主2人が燭台と瓶子を脇にどけて大鏡餅の端を両手で持ち上げて、裏・表と検分しながら皺が多い、色が黒い、縁が丸くない、こんな餅は持って帰ることはできないなどと散々いどり、餅を作った当元は弁解に努めます。最後は宮司の取りなしで治まり、皆さん御神酒を戴きます。

次に、拝殿外で祭りを見守っていた村人に直径10cmほどの小餅がたくさん分け与えられます。その後、神職が各名主の膳に自然薯・柚子・柿を置き、皆さんこれを持ち帰ります。また大鏡餅は新旧当元の地区に持ち帰るようです。

【オハケ倒し】翌日早朝、民宿から1Km余り先の小垣公民館に向かいました。小垣公民館の道路を挟んで隣の家にオハケが立ててありました。オハケは長さ3間ほどの青竹の先端に榊などを付け、下部には稲藁3束を3ヶ所で縛ってあります。

小垣公民館内で神職が地区の参列者5人にお祓いし、外のオハケもお祓いした後、公民館で神事が行われました。テーブル上の三方(サンボウ)5台に野菜・果物などの神饌が置かれ、この前で神職が締め太鼓を打ち祭文を唱え神様を昇神させます。神事が終わるとオハケを倒しバラバラにします。この後、オハケは近くの山田川に流すようですが見届けることなく、民宿に戻り朝食を戴きました。

 

  神事(菅原神社)                            新米と御神酒を戴く

 

小餅・生酢などの膳                               碗の小餅をいどる

 

大鏡餅を運ぶ                 大鏡餅を置く

 

来年の当元の名を読み上げる                         大鏡餅をいどる     

 

    村人に小餅を授ける                           自然薯などを授ける   

 

     神事(小垣公民館)                       オハケを倒す 

祭りの栞(トップ)

 

inserted by FC2 system