お熊甲祭り(久麻加夫都阿良加志比古神社)

【祭礼日】9月20日
【場 所】久麻加夫都阿良加志比古神社(七尾市中島町宮前ホ68-1-1)

【日 程】8:00~11:00(各区が宮入り)、11:00~11:30(奉幣式)、12:00(渡御開始)、14:00~17:00(御旅所入り・練り・島田くずし)

「お熊甲(オクマカブト)祭り」は、久加夫都阿良加志比古(クマカブトアラカシヒコ)神社(通称熊甲神社)の大祭で、毎年9月20日に行われることから「二十日祭り」とも呼ばれています。熊甲神社は近郷22地区にある19末社の本社であり、お熊甲祭りはこれらの末社と本社の寄り合い祭りとなっています。

熊甲神社の祭神は、久麻加夫都阿良加志比古神と都怒我阿羅斯等神(ツヌガアラヒトノカミ)の二柱です。久麻加夫都阿良加志比古神は、地神とも、3~4世紀頃の南朝鮮の阿羅(アラ)国の王族とも言われています。都奴加阿良斯止神については、「日本書紀」垂仁紀2年条に次のように記されています。

『一云、御間城天皇之世、額有角人、乘一船、泊于越國笥飯浦、故號其處曰角鹿也。問之曰「何國人也。」對曰「意富加羅國王之子、名都怒我阿羅斯等、亦名曰于斯岐阿利叱智于岐。』

『ある書によると、御間城(ミマキ)天皇(崇神(スジン)天皇)の時代に、額に角のある人が、一艘の舟に乗ってやってきて、越国の笥飯浦(ケヒノウラ)に停泊しました。その土地を「角鹿(ツヌガ)」と名付けました。問い尋ねました。「あなたはどこの国の人ですか」、答えて言いました。「意富加羅国(オオカラノクニ)の王の子で、名は都怒我阿羅斯等(ツヌガアラシト)です。別名を于斯岐阿利叱智于岐(ウシキアリシチカンノキ)と言います。』

熊甲神社は古の南朝鮮と所縁のある神社のようです。

大祭当日、早朝から各区が金幣・社名旗・猿田彦・鉦太鼓・御幣・神輿・枠旗(ワクバタ)の順で行列を組んで「イヤサカサー」(弥栄(イヤサカ)=ますます栄えるの意)の掛け声とともに熊甲神社に向かいます。

御幣は宵宮の「奉幣迎え」で本社から戴いた五色の幣束で、長三方(ナガサンボウ)に載せて分霊として各区で安置し、大祭当日に白の幣束とともに本社に持ち運ばれます。

各区とも猿田彦1~3人・太鼓2台で、太鼓は直径10cm、長さ3mほどの木の丸棒に吊り下げ二人で担ぎます。太鼓打ちは花笠を被り女装した少年もいれば祭り半纏の若者もいます。瀬嵐区の神輿だけは巨大な恵比寿像になっています。

枠旗は、長さ約20mの旗竿に長さ約15mの深紅の羅紗(ラシャ)旗を付け、その上部に「ドンボコ」と「ハタガシラ」を付けたもので、これを担ぎ台の中央に設けた頑丈な木枠に立てます。木枠には小さな四輪も付いています。担ぐときは担ぎ台を肩にし30~40人で担ぎます。旗には吉祥句などが縫字されています。

行列の先頭に立つ猿田彦は、カラフルな狩衣(カリギヌ)・裁着袴(タッツケバカマ)姿に鳥兜(トリカブト)を被り、五色や紅白の短冊を先端に付けた棒を持って鉦・太鼓の音に合わせて舞います。宮入りした猿田彦は参道を舞いながら進み、最後に拝殿の床をコツンと1回叩いた後、拝礼します。

次に、太鼓が参道を疾走し拝殿前で太鼓を乱打し、次に、神輿が同様に疾走し拝殿前で差し上げをし、次に、枠旗が4~6本の張り綱でバランスを取りながら疾走し拝殿前で差し上げをします。これをそれぞれ3回繰り返した後、神輿と枠旗を境内に残し猿田彦と大太鼓は退場し次の区に場を譲ります。 

すべての区の宮入りが終わると拝殿で「奉幣式」が行われ、一方、各区の猿田彦が縦2列に並んで乱舞しながら境内の鳥居側から拝殿に向かって参道を進み、その後ろから各区の鉦・太鼓が進みます。

この後、各区の猿田彦・太鼓・神輿・枠旗がもう一度参拝の行事を済ませ、本社の神輿と太鼓を先頭にして700mほど離れた加茂原(カモハラ)の御旅所へ行列を組んで渡御します。各区の神輿渡御・練りの順番は2週間前に「シライ」と呼ばれる籤引きで決められています。

御旅所には全体の半分だけが先に入り、最初の半分の一行が御旅所を退場してから残りの半分の一行が御旅所に入場します。

御旅所では、神輿と枠旗の「差し上げ」「早回り」「島田くずし」が行われます。早回りは、鉦・太鼓の囃子のテンポが速くなるのに合わせて、猿田彦・神輿・枠旗が左回りに早く動き練ります。

島田くずしでは、長さ20mの枠旗を地面すれすれになるまで傾けます。豊作と豊漁の喜びを表すものだそうです。昔、枠旗の先端が見物していた女性の島田髷(マゲ)に当たり、髷が崩れたことから島田くずしと名付けられたといわれます。

御旅所での行事が終わると、各区の猿田彦・太鼓・神輿・枠旗は鉦・太鼓を打ち鳴らしながらそれぞれの区に帰ります。

 

猿田彦を先頭に宮入りする(深浦区)                 太鼓を打つ(深浦区)   

 

        神輿を差し上げる(深浦区)          枠旗を差し上げる(深浦区)

 

 猿田彦(長浦区)                          太鼓(大町区)

 

 神輿(瀬嵐区)               各区の枠旗 

 

全区の猿田彦が揃って乱舞する                    御旅所の神輿と枠旗   

 

 湯島くずし(小牧区)                       湯島くずし(横田区)

神祭りの栞(トップ)

 

inserted by FC2 system