日室の鎌打ち神事(日室諏訪神社)

【祭礼日】8月27日
【場 所】日室諏訪神社(七尾市江泊町諏訪236)

【日 程】11:00~12:00

立春から数えて二百十日を前にした8月27日、能登の鎌打ち神事が七尾市江泊町(エノトマリマチ)日室(ヒムロ)、鹿島郡中能登町金丸(カネマル)、中能登町藤井の3ヶ所で行われます。一昨年に金丸と藤井の鎌打ち神事を見学したのでこれが最後の鎌打ち神事となります。

鎌打ち神事は、風を鎮め風を切る力が宿るとされる鎌を神木のタブの木に打ち込む神事です。日室の鎌打ち神事では、神木に打ち込む鎌に特徴があり魚形を陰刻したものが使われ、それも雄鎌・雌鎌の1丁ずつを打ち込みます。

この鎌は毎年七尾市の鍛冶屋に制作を依頼し、8月25日に大地主神社と日室諏訪神社でお祓いを受けた後、当元の「作十郎の堂」奥庭に安置・奉斎されていました。これを「権現迎え」というそうです。

日室は昔は10数軒の家がありましたが現在は2軒だけで当元も離村しているので、権現迎えを終え神霊が宿った鎌は2晩3日間、村の有志や青年団員が奉斎しているようです。

日室諏訪神社は深い山の中にあり、バスで行く方法が見つからずやむを得ず今回はJR七尾駅からタクシーで向かいました。細い山道を進むと人だかりを見つけたのでここでタクシーを降りました。

時間になると、神職・当元を含め7人ほどが神社に向かって歩き出します。途中、大木の根元に大きな丸石10個ほどを積み上げた場所に、上部に鎌を結わえ幣束を付けた榊が竹筒に挿し込んであり、これを当元が持って進みます。別の一人がススキの青い束を持っています。

諏訪神社の建物の中に本殿はなく拝殿のみで、神社右奥の枯れた古い神木があったという場所に2本の竹を立て注連縄を張った間に、鎌を結わえた榊とススキの束を一旦置いた後、これを神社拝殿の奥中央に米・野菜などの供物とともに並べ立てます。

この頃には10人近い幼稚園児が引率者とともに拝殿前に並び、村人たちとともに神事を見守ります。

神職が打つ締め太鼓の音により「風鎮祭」の神事が始まり、鎌・ススキ・参列者などにお祓いした後、祝詞を奏上します。次に、拝殿前でススキの束を使って湯立ての神事を行い参列者をお祓いします。最後に拝殿で玉串が奉奠され神事が終わります。

次に神職から当元に鎌2丁が渡され、当元が山仕事用の鉈(ナタ)の背で雄鎌、雌鎌の順で2本の神木に打ち込みます。向かって右の神木に雄鎌が、左の神木に雌鎌が打ち込まれます。

鎌には魚の目・口・鱗がくっきりと刻まれています。上部にはギザギザも入っています。雄鎌の魚の口には歯が刻まれ、雌鎌の魚には歯がなく口をあけているように見えます。

 

鎌と幣束を付けた榊                                  風鎮祭    

 

            湯立て神事                         雄鎌を打ち込む 

 

雌鎌を打ち込む                打ち込まれた鎌

 

雌 鎌

 

雌 鎌

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