酒樽がえし(神目神社)

【祭礼日】4月2日
【場 所】神目神社(鳳珠郡能登町藤波16-150-1)

【日 程】13:30(3地区の曳山が神社前に集合)、14:00(神事)、14:30(酒樽担ぎ出し~田で酒樽奪い・曳山巡行)、15:00(柳倉の海浜で酒樽奪い)、15:30(曳山納め)

酒樽がえしは豊作と大漁を願う藤波の春祭りです。

『昔の樽祭りは旧3月2日八王子神社の樽祭りを行い、上組(八王子神社側、間島・二谷の網元方)と下組(大宮神社側、駒田・小配の網元方)に分かれ、辺田の浜・柳倉・間島からそれぞれ五升樽を供え、それを一つ樽にあけて、これを奪い合った。そして勝負により大漁を占った。八王子・大宮の二社が明治41年、神目神社に合祀されてからこの神社の神事となり、昭和21年以降2~3回行われただけで途絶えていたが、昭和50年復活して現在に及んでいる。』(能登町ホームページより)

現在では、辺田(ヘタ)の浜・柳倉・間島の3地区でそれぞれ曳山のお祓いの神事をした後、3地区の曳山が辺田の浜にある神目(カンノメ)神社下に集まります。

曳山を曳いているのはおばさんばかり、男は警護役で、若者や子供はいません。曳き山に乗っている大きな人形は3基とも恵比寿さんです。曳山が揃うと崖の上の神目神社で神事が行われ、下帯姿の男衆が1升瓶から1斗分の酒を酒樽に注ぎます。今年の樽がえし参加者は10人です。

1斗酒の入った酒樽を担いで参道の急斜面の階段を一気に駆け下りると、そのままの勢いで酒樽奪いをする田へ疾走します。目的地が分からないのでこちらも必死に追いかけます。神社から1Kmほど山に入った所でようやく田にたどり着くと、すでに下帯姿の男衆は樽の酒を回し飲みしています。樽に口を当て直接飲んでいます。

やがて男衆が、水の張ってある田に水しぶきを上げて一斉に入り、高く上げた酒樽を奪い合います。この時、酒樽がクルクルと回るので「酒樽がえし」と呼ばれるのでしょうか。1~2分で泥だらけになり田から上がって酒を回し飲みし、もう1回泥田に入り酒樽を奪い合います。2回目が終わると、1人が傍らの小川で酒樽を洗います。

そしてまた酒樽を担いで海の方向へ疾走します。酒樽は少し軽くなり、お酒が入っている男衆のスピードは増すばかりです。今度は遅れても海岸沿いに行けば必ず会えるのでこちらは早足で充分です。

着いた場所は柳倉の海岸です。ここでは砂浜で焚き火が焚かれ、泥だらけ姿の男衆は暖を取りながらも樽の酒を回し飲みしています。やがてやはり水しぶきを上げながら酒樽を担いで海の中へ入って行きます。浜は遠浅になっているようで、浜から20~30m先の腿(モモ)ほどの深さまで進んで、酒樽を奪い合います。浜に上がるともう1回酒樽を奪い合います。

酒樽の奪い合いをしている間に、3地区の曳山が柳倉に集まって来ます。祭りの関係者に樽酒が紙コップに注がれ振る舞われます。やがてお開きになり、3基の曳山は揃って辺田の浜とは反対方向の間島に向かい、曳山は間島で解体し倉庫に格納されます。この時、曳山の花笠も外され、竹に飾られた「花」は、各家の神棚に飾っておくそうです。

 

          辺田の浜神事                     曳山(前:間島地区、後:柳倉)

   

曳山(左から辺田の浜・柳倉・間島)

 

神目神社を出発                        田へ向かう        

 

田で酒樽奪い

 

海で酒樽奪い

 

 樽酒を戴く                    3地区の曳山

祭りの栞(トップ)

 

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