池ノ上のみそぎ祭り(葛懸神社)

【祭礼日】12月第二土・日曜日
【場 所】葛懸神社(岐阜市池ノ上町3-47)

【日 程】土曜日13:30(みそぎ始め祭)、14:00(みそぎ男一般参加者のお祓い)、15:00(1回目みそぎ神事)、20:00(2回目・3回目みそぎ神事)、日曜日0:00(神迎祭)、10:00(大祭)

「池ノ上(イケノウエ)のみそぎ祭り」は「神迎え」のための行事で、旧暦10月30日(神無月の晦日)にみそぎで体を清め、出雲から帰ってこられる神様をお迎えし、一族の健康と五穀豊穣を祈願します。600年以上の歴史があるといわれています。

往古は葛懸(カツラガケ)神社の前にある大池でみそぎが行われていましたが、天文3年9月6日(1534年10月13日)の大洪水で、上流の井水口が破堤して新川(井川、現・長良川本流)が形成され、池ノ上などの諸村を貫通したのちは、社前を流れる長良川でみそぎをするようになったと伝えられています。

かつてみそぎは19時、翌日0時、3時の3回、大正2年(1913年)までは褌(フンドシ)も着けず全裸で行っていたそうです。現在は、15時と20時に褌姿で、池ノ上地区以外の一般人も参加して行われています。

新型コロナウイルス禍のため一時氏子だけでみそぎが行われましたが、昨年から一般人の参加も復活し行われるようになりました。みそぎの中心になる神男(シンオトコ)は禰宜(ネギ)と子禰宜で、ともに池ノ上の氏子から選ばれます。この他に氏子外(今年は岐阜市在住の人)から副禰宜が選ばれ、みそぎ場への行列の際、大幣(オオヌサ)を奉持します。

神男は境内の参集殿で平服から白の上衣・袴姿に着替え、みそぎ祭奉賛会役員とともに本殿で行われる「みそぎ始め祭」に参列します。みそぎ始め祭が終わると、平服姿のみそぎ男たちが本殿でお祓いを受けます。その後、神男とみそぎ男は、祭元となる池ノ上公民館で着替えて褌姿になります。今年のみそぎ男は80数人だそうです。

神男は、赤の褌姿に赤の鉢巻を着けます。これを警護する氏子衆は白の褌・ピンクの鉢巻、その他は白の褌・白の鉢巻を着けます。警護人は神男に穢れが付かないように神男を護ります。愛知県稲沢市の「国府宮の裸祭り」などでは裸男が神男に触れて自らの穢れを神男に託すことを競い合いますが、池ノ上のみそぎ祭りはその逆で、神男を穢れから護ります。

最初に、子禰宜とその警護人・子供のみそぎ男たちが公民館を出て隣接している境内に練りながら宮入りし、本殿前で子禰宜を胴上げします。胴上げといっても上下に揺らすことはせずに差し上げてその場で回ります。子禰宜の群が鳥居を潜り行列の後尾に付くと、行列はみそぎ場に向かい動き始めます。

次に、禰宜とその警護人・みそぎ男たちが公民館を出て宮入りし、本殿前で禰宜を胴上げし禰宜の群は子禰宜の群の後ろに付きます。

みそぎ場に向かう行列は、先導2人・榊を振る神職・大幣を奉持する副禰宜・切幣(キリヌサ)を撒く神職2人・宮司・巫女姿の少女5人・子禰宜の群・禰宜の群などの順でしずしずと進みます。

みそぎ場は、長良川に架かる忠節橋の下流500mの右岸で、神社からは600mほどの距離です。みそぎ場に着くと最初に、神職が榊を振り、切幣を撒きみそぎ場を祓い清めます。次に、宮司が進み出て川に向かって柏手を打ち拝礼します。

次に、子禰宜と警護4人が川に入り、合掌しそのまま身を沈めて肩まで水に浸かり、そのあと立上り柏手を打ち拝礼し川岸に戻ります。次に、子供のみそぎ男と付添人が川に入り同じようにみそぎをします。次に、禰宜と警護2人が同じようにみそぎをし、最後に、大人のみそぎ男がみそぎをします。みそぎの間、神職は川に向かって榊を振り続けます。

全てのみそぎが終わると川岸でみそぎ男が禰宜を胴上げします。その後、往路と同じように先導・神職を先頭にして列を組んで神社に戻ります。神社に戻ると本殿前で子禰宜が胴上げされ、そのまま本殿内に運ばれます。次に、禰宜も同様に本殿前で胴上げされそのまま本殿内に運ばれ、1回目のみそぎが終わります。

このあと、大人の氏子関係者だけで20時から2回目と3回目のみそぎが行われます。今年の夜のみそぎ参加者は30人ほどだそうです。その後、翌日零時から本殿で「神迎祭」が斎行されます。この時、「オミオク」(祭礼の当日に神男が炊いたご飯)に箸を添えて鰯・大根の輪切りとともに神前に供えます。オミオクを盛るしゃもじとオミオクに添える箸はいずれも漆の木で作ったものだそうです。

 

左から禰宜・子禰宜・副禰宜                               みそぎ始め祭(玉串奉奠)  

 

           子禰宜と警護                                       禰宜を胴上げする(本殿前)

 

列を組んでみそぎ場に向かう

 

     みそぎ場をお祓いする                                    子禰宜と警護が川に入る  

 

子禰宜と警護がみそぎをする

 

子供のみそぎ男と付添人が川に入る                              禰宜と警護が川に入る        

 

禰宜と警護がみそぎをする

 

大人のみそぎ男が川に入りみそぎをする

 

    禰宜を胴上げする(川岸)                               子禰宜を胴上げする(本殿前)

 

   禰宜を胴上げする(本殿前)                          胴上げした禰宜を本殿内に運ぶ

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