坂下の花馬祭り(坂下神社)

【祭礼日】10月第二土・日曜日
【場 所】坂下神社(中津川市坂下639)

【日 程】土曜日〔前日祭〕13:00(神楽=下組花馬参拝)、日曜日〔本祭]9:00(花馬準備=3地区)、12:00(みこし練り・こども手踊り=坂下駅前)、12:50(こども手踊り=本町)、13:00(各組の花馬出発=3地区~坂下駅前)、13:15(こども手踊り=神社)、14:10(花馬行列出発=坂下駅前~神社)、14:40(花馬行列神社境内周回・花奪り)、14:50(一石投餅)、15:00(みこし練り・例祭神事)

「坂下の花馬祭り」のおこりは、当日配布された資料などによれば次のようなことに由来するといわれています。

「治承4年(1180年)、木曽義仲が平氏追討の令旨(リョウジ)を奉じて出陣する際、戦勝祈願のため厚く信仰する坂下神社に向かいましたが木曽川の氾濫のため川を渡れず、対岸の神社に向けて願文を結わえた鏑矢(カブラヤ)を射込み、この矢を村人が下組の馬の鞍に立てて神社に代参しました。寿永3年(1184年)、木曽義仲が平氏を打ち破り、征夷大将軍の官位を賜ったとの知らせに坂下三郷(下組・合郷・町組)の人々は喜び、幣(ヌサ)を付けた矢3本を木曽馬の鞍に立てて坂下神社に戦勝報告しました」

木曽義仲の戦勝報告から始まった花馬祭りはいつしか五穀豊穣の祭りに変容し、現在では本祭日に、鞍に「花串」を飾り立てた木曽馬を下組・合郷組・町組からそれぞれ1頭ずつ繰り出し坂下神社に参拝します。また、前日祭では、下組の馬1頭が鞍に3本の花串を立てて坂下神社に参拝します。

新型コロナウイルス禍のため縮小していた坂下の花馬祭りも、今年は4年ぶりに通常開催されました。

朝9時から3地区では、それぞれ花馬の準備がされます。下組は高部公会堂で、合郷組は若宮神社で、町組は新田公会堂で準備され、13時にそれぞれJR坂下駅前に向けて列を組んで出発します。

一方、坂下駅前では12時から「みこし練り」と「こども手踊り」が行われます。坂下駅前に到着した時にはみこし練りが終わり、こども手踊りが始まったところでした。

【こども手踊り】こども手踊りは、小中学生35人ほどが一つの大きな輪になってお囃子車(花車)の歌に合わせて踊ります。踊り子は、小袖・裁着袴(タッツケバカマ)姿に襷を掛け、手甲を着け白足袋・赤緒の草履を履いています。裁着袴・襷・手甲の色は地区により異なり、赤・青・黄緑の3色です。

踊りは3曲で、最初の曲では赤・白の牡丹の造花で作られた花笠を手に持って踊り、次の2曲では花笠を背に負って踊ります。

踊りが終わると踊り子たちはしばらく休憩します。この間に、祭りでは珍しく5人のちんどん屋が駅前広場を巡ります。花馬祭りの行事の一つとして、埼玉県滑川(ナメガワ)町から来られたのだそうで、神社にも繰り出します。

休憩の後、踊り子たちはお囃子車を先頭にして坂道を上がり本町に移動し、本町の広場で同じように大きな輪になって3曲踊ります。この頃になると雨が降り始めます。その後、踊り子たちは神社に移動し手踊りを奉納します。

 

こども手踊り(坂下駅前)

 

ちんどん屋・夢一座(坂下駅前)                         お囃子車とともに本町へ向かう

 

こども手踊り(本町)

【花馬行列】14時少し前になると雨が降る中、下組・合郷組・町組の花馬行列が3方向から坂下駅前に入ってきます。14時過ぎ、実行委委員・自治会役員などを先頭にして、3組の合同囃子方・稚児・花馬の順で列を組んで坂下神社に向かいます。

笛・鼓・太鼓の囃子方は、白の小袖・空色の袴姿の中学生約50人です。太鼓は2人1組で、1人が背に締め太鼓を背負い、別の1人が太鼓を打ちます。囃子方は雨のため透明の合羽を着け、鼓・締め太鼓はポリ袋で覆っています。

稚児は、白丁(ハクチョウ)姿に烏帽子を被り、背に竹柄杓を挿し、先端に色房を付けた棒を片手に持ち、別の手で馬の曳き綱を持つ小学生の男児約10人です。囃子方と同じように透明の合羽を着けています。

花馬は下組・合郷組・町組の順で進みます。花馬の鞍には、1頭当たり400本の花串が立ててあります。花串は、長さ1m余の割り竹に金・銀・赤・白・黄・紫・青・緑の8色の紙製の花や短冊・紙垂(シデ)を貼り付けたもので、花串の花の色は農作物を表しています。金色は稲穂、銀色は麦、赤色は人参、白色は大根、黄色は大豆、紫色は小豆、青色と緑色は菜を表わすとされています。

 

花馬行列(実行委員・自治会役員など)                              花馬行列(笛方)              

 

    花馬行列(鼓方)                                       花馬行列(太鼓方)

 

   花馬行列(下組花馬)                                    花馬行列(合郷組花馬)

 

花馬行列(町組花馬)                                        花馬行列(稚児) 

【花奪り(ハナドリ)】雨の中、30分ほど練り歩いて神社に着きます。囃子方を先頭にして花馬3頭はそろって境内を三周し、境内中央に花馬が立ち止まると観客が一斉に花馬3頭に走り寄り花串を奪い合います。わずか1分ほどで花馬の花串は無くなります。口取りや警護の消防団員などに守られているとはいえ花馬3頭はじっとしていて暴れません。馬の方が人間より賢く見える瞬間です。

花串は、持ち帰って田や畑に立てておくと病害虫が生じないといわれています。

 

花馬と囃子方が境内を周回する

 

花奪り

【一石(イッコク)投餅・みこし練り】花奪りが終わると、境内の3ヶ所に設けられた櫓の上から一斉に紅白の餅が投げられます。その後、青の法被・白の股引姿に白の地下足袋を履く10数人に担がれた神輿が境内を練り回ります。神輿は紙垂を付けた榊の枝で飾られ、神輿の上には幣束を持つ1人が乗っています。最後に、本殿で例祭神事が斎行されます。

 

一石投餅

 

みこし練り                                                    例祭神事

祭りの栞(トップ)

 

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