上広瀬の金蔵獅子・鶏闘楽(諏訪・加茂神社)

【祭礼日】9月第三日曜日
【場 所】諏訪神社(高山市国府町上広瀬1007-2)・加茂神社(高山市国府町上広瀬1380)

【日 程】13:00(本祭式典=加茂神社)、14:20~15:00(鶏闘楽・獅子舞=加茂神社)、15:10(渡御)、15:30(式典=諏訪神社)、17:00~17:40(鶏闘楽・獅子舞=諏訪神社) (西暦偶数年、奇数年は諏訪神社・加茂神社の順)

高山市国府町では、上広瀬・広瀬町・金桶(カネオケ)の三地区で氏神祭典奉納行事として「金蔵(キンゾウ)獅子」が奉納されています。いずれも岐阜県の無形民俗文化財に指定されています。今回は上広瀬の金蔵獅子と鶏闘楽(ケイトウラク)を見学しました。

上広瀬には氏神様は加茂神社と諏訪神社の2社あり、西暦偶数年は加茂神社・諏訪神社の順で鶏闘楽と金蔵獅子が奉納され、奇数年は諏訪神社・加茂神社の順で奉納されることになっています。今年は西暦偶数年なので加茂神社での奉納が先になります。

加茂神社祓所(ハラエド)で神事参列者のお祓いが行われた後、本殿で例祭神事が行われます。

神事が終わると、鶏闘楽の一行が社殿前の階段に縦2列になって並び鉦・太鼓を打ち鳴らす間を、獅子2頭が分け入って上り社殿前で向かい合います。その後、鶏闘楽の一行は階段を下りて境内に戻り、大きな輪になって鶏闘楽を奉納します。

【鶏闘楽】闘楽(トウケイラク)または鶏闘楽(上広瀬では鶏闘楽と称します)は、江戸時代から飛騨地方に伝わる芸能で、鉦打ちが輪になって鉦を撞木(シュモク)で「カンカコカン」と打ち鳴らします。

踊り子は20人の中高生で、鳳凰と龍の紋様を染めた白地の長着姿に黒の帯を締め一文字笠を被り、首から吊るした鉦を左手に持ち撞木を右手に持っています。

リーダーらしき2人は鳳凰の文様の替わりに市松模様に染めた長着を着ています。また鉦と撞木の替わりに締め太鼓を胸に付け両手に撥を持つ人も2人います。

鶏闘楽の奉納が終わると、本殿前の広場に敷かれた茣蓙の上で金蔵獅子が奉納されます。

【金蔵獅子】金蔵獅子は飛騨から越中にかけ各地に伝承されている郷土芸能で、天狗面をつけた男神(金蔵)とお福面をつけた女神(おかめ)が協力して、田畑を荒らす獅子(猪・鹿など)を退治する物語が演じられます。

一般の獅子舞は、獅子に神格があってその威力によって悪魔が祓われるのですが、金蔵獅子では金蔵によって獅子が退治されるという筋書きになっています。

金蔵は、茶の半袖・裁着袴(タッツケバカマ)姿に黄の襷を掛け黒の手甲を着け、天狗面をつけ鶏毛の冠を被り、両端に五色の房を付けた短棒(剣)を両手に持っています。襷の背側には五色の紙垂が付いていて、金蔵が神であることを表わしているようです。

おかめは、ピンクの長襦袢姿に赤の手甲・脚絆を着け、お福面をつけ豆絞りの手拭いを姉さん被りし手にササラを持っています。

囃子方は、太鼓台に据えられた大太鼓を打つ1人・笛吹き5人・鉦摺り1人です。太鼓打ちと笛吹きは、黒紋付の着物・格子縞の薄茶色の裁着袴(タッツケバカマ)姿に折編み笠を被っています。鉦摺りは、薄茶色の半袖・裁着袴姿に黒の手甲を着けていますが折編み笠は被っていません。

最初に、二人立ちの獅子2頭が勇壮に舞います。これは獅子が田畑を荒らしている様子を表わしているのかもしれません。

次に、金蔵が二人立ちの獅子1頭の前に現れ短棒を振り回しながら獅子と闘い、おかめは獅子を惑わすためササラを摺り金蔵を助け、最後に金蔵は獅子頭の後を刺して獅子を退治します。

鶏闘楽・金蔵獅子の奉納が終わると、錫杖を持つ赤鬼と青鬼・神輿・神社幟・鶏闘楽・金蔵/おかめ/獅子・囃子方・楽人・神職・巫女2人・采女(ウネメ)10数人などの順で行列を組んで、800mほど西にある諏訪神社に向かいます。采女8人は、白の小袖・緋袴姿で手に扇子を持っています。

諏訪神社に着くと、鶏闘楽の一行が社殿前の階段に縦2列になって並び鉦・太鼓を打ち鳴らす間を、神事参列者が社殿に入って行きます。

神事が終わると、加茂神社と同じように社殿前の広場で鶏闘楽が奉納され、続いて敷かれた茣蓙の上で金蔵獅子が奉納されます。鶏闘楽・金蔵獅子とも奉仕する皆さんは加茂神社と同じメンバーです。

 

神事参列者を御祓いする(加茂神社祓所)           本殿に向かう獅子を送る鶏闘楽   

 

鶏闘楽(加茂神社) 

 

金蔵獅子の囃子方(加茂神社)                   金蔵獅子(加茂神社)  

 

金蔵獅子(加茂神社)

 

諏訪神社へ向かう渡御行列

 

本殿に向かう神事参列者を送る鶏闘楽                 鶏闘楽(諏訪神社)      

 

金蔵獅子(諏訪神社)

 

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