宮田まつり(今井八幡宮)

【祭礼日】4月第一日曜日
【場 所】今井八幡宮(下呂市萩原町奥田洞86)

【日 程】12:00~13:20(おたび=火神神社~今井八幡宮)、13:20(獅子舞=神楽殿)、13:45(おたび行列と神輿が神楽殿・境内を周回)、14:00(獅子舞・闘鶏楽=神楽殿)、14:10~15:40(例祭式典・稚児舞=拝殿)、14:30(闘鶏楽=神楽殿)、14:50(闘鶏楽=境内広場)、15:20~15:45(獅子舞・闘鶏楽=境内広場)

今井八幡宮の「宮田まつり」は新型コロナウイルス禍で3年連続中止になり、今年4年ぶりに開催されました。祭りは宮田地区東部にある火神(ホノカミ)神社から3Kmほど西にある今井八幡宮への「おたび(御旅)」で始まります。

火神神社を出た行列は、笛・太鼓で囃しながら国道41号線を西に進みます。二つの神社の中間地点になるJR飛騨宮田駅前からおたびを見学しました。

おたび行列は、錫杖(シャクジョウ)を持つ先祓い2人・神社旗・賽銭籠2人・榊台・獅子3頭・笛5人・絞め太鼓4台・日月旗2本・一文字笠羽織袴の付き添い7人・四神旗4本・神職2人・唐櫃(カラビツ)2棹・稚児3人・舞姫4人・楽人(平太鼓2台・笛5人)・闘鶏楽(トウケイラク)(鉦打ち18人・太鼓打ち3人)などです。

行列は途中で41号線から外れ左折し、山や田畑に囲まれた田舎道を進み今井八幡宮前に出ますが、そのまま周辺地区を10分ほど巡行してから宮入りします。

宮入りすると直ちに、拝殿前の神楽殿で獅子舞が披露されます。20分ほど全員が休憩した後、おたび行列が列を組み直して神楽殿と境内を周回します。この時、唐櫃2棹は神輿2基に交代しています。獅子舞と闘鶏楽は周回しながら踊ります。

おたび行列の神楽殿・境内の周回が終わると、間を置くことなく神楽殿で獅子舞が奉納され、闘鶏楽の一行は拝殿前の階段に2列になって整列します。神楽殿での獅子舞が終わると、闘鶏楽が神楽殿で奉納されます。

闘鶏楽が終わり5分ほど休憩した後、拝殿で1時間半ほど例祭式典が行われます。この式典と並行して闘鶏楽が神楽殿と広場で奉納され、その後再び神楽殿で獅子舞と闘鶏楽が奉納されます。また、拝殿では稚児舞が奉納されます。拝殿と神楽殿の間を行き来しながら見学するのでとても忙しいです。

【獅子舞】獅子はおたびでは3頭が参加しますが、神楽殿で舞うのは2頭です。二人立ちの獅子2頭が、笛と締め太鼓の囃子に合わせて、低く下げた獅子頭を寄せ合ったり離したり、また大きく跳び上がったりします。舞う方向は一方向だけで、舞う時間は2~3分です。笛吹き5人・締め太鼓打ち5人は、淡香(ウスコウ)色の狩衣(カリギヌ)・紫の袴姿に烏帽子を被っています。

【稚児舞】稚児は、若苗(ワカナエ)色の狩衣・菖蒲(ショウブ)色の袴姿に金色の烏帽子を被っています。最初は、金襴の袋に入れられた太刀を両手に持つ稚児1人が拝殿の四方に向かって舞います。

15分ほど間をおいてから3人の稚児が輪になって舞います。1人は右手に太刀を持ち、1人は金襴の袱紗(フクサ)に載せられた金色の玉を持ち、1人は金襴の袋に包まれた鏡を持ち、左手には3人とも榊の枝を持って舞います。

【闘鶏楽】闘鶏楽は、江戸時代から飛騨地方に伝わる風流(フリュウ)芸で鉦と太鼓を打ち鳴らしながら踊ります。今年の宮田闘鶏楽の踊り子は、鉦打ち18人(子供12人・大人6人)・太鼓打ち3人(大人)で、これに警護役の2人が加わります。

子供の鉦打ちは、花柄の華やかな着物姿に色とりどりの布帯・襷・手甲を着け、花笠を被り小型の鉦と撞木(シュモク)を持ちます。花笠は、編み笠に金・銀・赤・緑などの数百枚の短冊紙を色ごとに5~6段に分けて飾り、さらに赤・黄・ピンク・青などの造花数個を付け、黒いチャボの尾羽数本を花笠の中央に立てています。

大人の鉦打ちは、裾に虎と花を模した模様が描かれた黒地の着流し姿に色とりどりの布帯・襷・手甲を着け、花笠を被り大型の鉦と撞木を持ちます。花笠は子供と同じ作りです。

太鼓打ちは、大人の鉦打ちと同じ着流し姿に色とりどりの布帯・黒の手甲を着け、背に長方形(幅30cm・長さ60cmほど)の飾りを負い、胸に締め太鼓を吊るし花笠を被り撥を持ちます。花笠は鉦打ちと同じですが、中央に立てるシャモの尾羽は黒と白の2色です。

地元の方にお聞きすると、昭和30~40年(1955~65年)頃迄は、花笠は毎年各家で親が子供の分を作りその出来具合を競っていたそうです。現在は、爺婆世代が孫世代の花笠を補修し(親世代は花笠を作った経験がない)これを使い回しているようです。手甲は各家で作るので色・柄はまちまちです。

鉦打ち・太鼓打ちとも布帯の端は膝あたりまで、襷の端は足元まで垂らしています。履き物は白足袋・草履です。鉦を打つ撞木の両端には紅白の短冊を束ねた房が、太鼓を打つ撥の片端には五色の短冊を束ねた房が付いています。鉦打ちは両端に五色の房が付いた棒を腰後ろに挿しています。

警護役は、黒の羽織袴姿に黒面を額に着け警護棒を持ちます。他地区では警護役は見かけません。

他地区の闘鶏楽の踊り子の衣装と構成は、鳳凰と龍を描いた白地の着流し姿に角帯を締め一文字笠またはシャゴマ(尾羽の冠)を被り、子供の鉦打ちは男児が殆どです。宮田では、子供の鉦打ちは華やかな着物姿の女児で、大人の長着の色・模様も他地区とは大いに異なり、色紙で飾られた華やかな花笠は他地区では見かけません。

闘鶏楽は大きな輪になって鉦・締め太鼓を打ち鳴らしながら踊ります。警護役は、踊りの輪の中に入り「テンポが速すぎる、もっとゆっくり踊って」などと指示したりします。

踊りの終盤になると、鉦打ちが背中合わせに団子状になりその周りを太鼓打ちが踊りながら回ります。これも他地区では見かけない踊りです。広場での踊りでは、途中、太鼓打ちは敷かれた茣蓙の上に膝立ちになり太鼓を打ちます。

降雨予想のため境内広場で奉納される予定だった最後の獅子舞と闘鶏楽は神楽殿で奉納され、拝殿での式典とほぼ時を同じくして終わります。祭りの全ての行事が終わると、これを待っていたかのように大粒の雨が降り出しました。

 
おたび行列(錫杖・榊台・獅子)                                    おたび行列(笛)         

 

 おたび行列(締め太鼓)                                  おたび行列(稚児・舞姫)

 

     おたび行列(平太鼓)                                      おたび行列(闘鶏楽)   

 

      おたび行列(闘鶏楽)                                    神楽殿を周回する(神輿)

 

花笠を脱いで休憩する                                            式典(拝殿)    

 

闘鶏楽(神楽殿)

 

 稚児一人舞(拝殿)                                        稚児三人舞(拝殿)

 

闘鶏楽(境内広場)

 

闘鶏楽(境内広場)

 

        笛吹(神楽殿)                                      締め太鼓打ち(神楽殿)

 

獅子舞(神楽殿)

 

闘鶏楽(神楽殿)

 

闘鶏楽(神楽殿)

祭りの栞(トップ)

 

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