王の舞(宇波西神社)

【祭礼日】4月8日
【場 所】宇波西神社(三方上中郡若狭町気山129-3)

【日 程】10:30(式典)、11:00(浦安の舞)、12:30(王の舞)、13:30(獅子舞・田楽舞)

宇波西(ウワセ)神社の王の舞(オノマイ)の歴史は古く、神社の史料(祭礼神事次第など)から室町時代後期の大永年間(1521~1528年)には、各氏子集落が王の舞・獅子舞・田楽を分担して行っていたことがうかがえるそうです。

宇波西神社の氏子域は、若狭町海山・北庄(キタジョウ 海山の小字)・気山(キヤマ)と隣町の美浜町気山(牧口)・大藪・金山・久々子(クグシ)・郷市(ゴイチ)・松原・日向(ヒルガ)・笹田の広範囲に跨っています。

【役割分担】王の舞・獅子舞・田楽の各芸能は各集落が次のように分担して行います。(干支年により舞当が決まっています)

王の舞は、海山・北庄・大藪・金山の4集落が舞当となり、海山は干支の12年間に4回、北庄は2回、大藪と金山は3回担当します。

獅子舞は、久々子・郷市・松原の集落が舞当となり、1年交代で順番に担当します。田楽は日向と気山(牧口)が舞当となり、日向が2年続けて担当した後、気山(牧口)が1年担当しこれを繰り返します。

今年は巳年で、王の舞は海山、獅子舞は松原、田楽は気山(牧口)の集落が舞当になっています。

オノマイサンと呼ばれる王の舞の舞人が被る鼻高面と手に持つ鉾は、各集落とも宇波西神社から借りて舞いますが、王の舞の舞い方・衣装・囃子などは集落により異なり、また祭り本日までの準備・神事なども異なるそうです。

11時半ころ神社に着いた時には式典・浦安の舞は終わっており、オノマイサン一行はすでに一の鳥居脇にある「王の舞堂」に入り、次年の舞当金山への「当渡し」の儀式も終わっているようでした。

神社本殿二の鳥居前には山車が曳き出されています。山車の大太鼓の上には高さ5mほどの大きな松の木が据えられ、前面には五色の吹き流し2本が立てられ、後ろ面には虎の絵が描かれた幕が飾られています。山車の飾り幕には「気山婦人会」の銘がありましたので、美浜町の気山(牧口)集落の一行のようです。

裃姿の笛方約10人の囃子に合わせて大太鼓打ちの男児2人が一人ずつ交代で徳利型の太めの撥で大太鼓を打ち、裃姿の1人が付け太鼓(締め太鼓)を打ちます。大太鼓打ちは華やかな柄の着物姿に黄の帯・ピンクの襷・白の鉢巻を着けています。

山車が二の鳥居前から引き下がると、代わりに日向集落の一行20人余が本殿前の石段に並び立ちます。裃姿・羽織袴姿に混じり素襖(スオウ)姿に侍烏帽子(サムライエボシ)を被った5人がいます。このうち緑の素襖姿の1人が両手で「宝刀」を掲げ持っています。

石段上から王の舞・獅子舞・田楽が行われるのを見守る間は勿論、集落を出立するときから集落に帰着するまで「宝刀」を掲げ持ち続けるのだそうです。

舞堂前ではオノマイサンの出御を迎えるため、海山集落の笛方数人の囃子に合わせて大太鼓打ちの男児5人が一人ずつ交代で大太鼓を打ちます。大太鼓打ちは気山の男児と同じ衣装で鉢巻の色は青です。

【王の舞】田楽の舞当である気山(牧口)集落からの七度目の使者を迎えるとオノマイサンは、裃姿の幣差しと大警護4人を従えて舞堂から出てきます。大警護は裃の袴を尻上げし草鞋を履き警護棒を斜めに構えています。

オノマイサンは、赤の袷と裁着袴(タッツケバカマ)姿に「ダテサゲ」を前に垂らし鼻高朱面と鳳凰を象った鳥兜を着け、白幣の付いた長さ1間ほどの鉾を手に持っています。

オノマイサンは舞堂から一の鳥居下にゆっくりと移動し、太鼓橋までの「道中の舞」では一歩進んではしばらく立ち止まることを繰り返して7歩進みます。このとき笛方と大太鼓打ちは一の鳥居と太鼓橋の間に移って囃します。

次に、太鼓橋を渡り境内に入り「本舞」を始めます。笛方と大太鼓打ちは境内の二の鳥居横に移って囃します。最初に境内広場を左回りに四角に3回廻りながら舞います。「三遍返しの舞」です。鉾を掲げたり左右に大きく振ったり、片足跳びで天に突き出したりします。

オノマイサンを押し倒すと豊作になるというので、見物人がオノマイサンに近付こうとすると大警護4人などがこれを防ぎます。次に、本殿に向かって境内中央へジグザグに進みながら「オテテノテッテの舞」を舞います。

最後に境内中央で鉾を「幣差し」に渡してから「雀踊りの舞」を舞います。片足を交互に跳びはね、両手で握り飯を作るような所作をしながら渦巻が外に拡がるように三周半して二の鳥居前に位置し、本殿に向かって合掌一礼して終わります。

【獅子舞】二人立ちの獅子で胴幕には鶴と笹の絵が描かれています。濃紺の素襖姿に侍烏帽子を被り白足袋を履き、小型の平胴太鼓と撥(バチ)を持った2人が獅子に付添い太鼓を打ちながら、獅子とともに境内を周回しながら舞います。

【田楽舞】紺の素襖姿に侍烏帽子を被り白足袋を履きビンザサラを持つ4人・鼓を持つ1人・締め太鼓を腰に付けた2人の合計7人が舞います。最初に、ビンザサラと太鼓打ちが鼓打ちを間に挟んで相対して踊ったり向きを替えたりしながら舞い、最後に7人が輪になって舞います。

田楽舞が終わると子供神輿が境内を周回した後神社を退出し、次に警護・宝刀持ちを先頭にして日向集落の一行が神社を退出します。

 

大太鼓打ち(気山牧口)                          日向集落の一行   

 

大太鼓打ち(海山)                              王の舞(本舞)

 

王の舞(オテテノテッテの舞)                      オノマイサンを護る   

 

王の舞(雀踊りの舞)                               獅子舞     

 

田楽舞

 

    子供神輿                                  宝刀を掲げ持つ

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