【祭礼日】4月18日
【場 所】多由比神社(三方上中郡若狭町田井93-2)
【日 程】13:00(当屋祈祷)、13:30(当屋宅から村立ち)、14:00(宮入り・参拝)、14:20(御旅所へ渡御)、14:40~15:00(御旅所で神事・幣振り・王の舞・獅子舞・田楽・エッサカエット・豊栄の舞)、15:20(還御・豊栄の舞)
多由比(タユヒ)神社の例祭神事の当屋は、田井の氏子6集落(伊良積・世久津・田立・河内・田井野・成出)が順番につとめています。今年の当屋は田井野です。当屋祈祷の後、当屋宅から村立ちし神社に向かいます。
村立ちの行列は、潮水撒き・辻御幣持ち・大榊2本・ミゴクサン(櫃)1基・ミゴクカキと母親・御幣振2人・巫女4人・田楽踊り5人・迎えの神役・笛方10数人・一般参列者の順です。
羽織袴姿の辻御幣持ちは、当屋から神社までの要所数ヶ所に予め埋め込まれた竹筒に小幣を挿し込みます。「ミゴクサン」と呼ばれる七合の粳米(ウルチマイ)を蒸して作られた御供(ゴク)を入れ締め縄を張った四角の櫃(ヒツ)は、裃袴姿の男性が頭上に載せて歩きます。ミゴクサンは大きく重いので羽織袴姿の2人が両脇で支えています。
ミゴクカキは赤一色の着物・袴姿に幅広の帯・幅広の鉢巻を着け、正装した着物姿の母親とともに歩きます。神社鳥居前で一瞬だけミゴクサンを頭に載せます。御幣振も赤一色の着物・袴姿に侍烏帽子を被り幣束を持っています。
宮入りすると順番に本殿に参拝した後、行列を組んで御旅所に向かいます。神社からの渡御には、鼻高(王の舞の主役)・獅子・子供神輿・本神輿も加わります。御旅所に到着すると、筵を敷き並べた本神輿の前で祝詞奏上の後、幣振り・王の舞・獅子舞・田楽・エッサカエット・豊栄の舞が奉納されます。
王の舞(オノマイ)は、宮廷などで行われる舞楽の系統に属し「蘭陵王の舞」に由来するといわれ、現在も福井県の嶺南(レイナン)地方の16地区で行われています。鼻高は赤い水干姿に、赤い鬼の面を付け鶏兜を被り鉾を持って、田楽踊りの一人が打つ締め太鼓の音に合わせてゆっくりと舞います。田楽とともに農作予祝をするといわれます。
田楽の舞い手は、鶴の絵が描かれた黒や紺の素襖(スオウ)姿に侍烏帽子を被り、2人は締め太鼓を胸に付け、3人はササラを両手に持っています。
最初、ササラ摺りの3人が横一列に並びその前で太鼓打ちの2人が向かい合って踊ります。次に5人が輪になって踊り、次にササラ摺りと太鼓打ちが交互に向かい合わせに横一列になって踊り、次に輪になって踊り、最後に5人が横一列になり踊りが終わります。
エッサカエットは、白丁姿に立烏帽子を被り白い布で顔を覆い白扇を持った2人が、向かい合わせに片膝立ちになり1人が小声で唱えことをします。その傍らで田楽踊りの一人が締め太鼓を打ちます。神の言葉に耳をそばだてるのだといい、全国でも珍しい中世芸能の一つだそうです。
その後、4人の巫女さんによる豊栄の舞が舞われ御旅所での行事が終わると、行列を組んで神社に還御し本殿に参拝した後、境内の特設舞台で豊栄の舞が舞われます。
ミゴクサン(櫃) 御幣振と巫女
辻御幣を挿す ミゴクカキ
御幣振 王の舞
獅子舞 田 楽
エッサカエット 豊栄の舞
還御行列 豊栄の舞