中設楽の花祭り

【祭礼日】12月第一土・日曜日
【場 所】中設楽花宿(北設楽郡東栄町中設楽字中貝津14 中設楽生活改善センター前)

【日 程】土曜日13:00~日曜日18:00

花祭りは鎌倉時代末期から室町時代にかけて、熊野の山伏や加賀白山の聖によって天竜川水系の里に伝えられたといわれる神事芸能です。 

中設楽(ナカシタラ)の花祭りは寛政3年(1791年)に古戸(フット)から教えられたと言われていますが、明治初年の神仏分離令を受けて祭りの形態を「神道花」として変容させたため神道色が強いことが特徴です。

主役の鬼を他地区では榊(サカキ)鬼・山見(ヤマミ)鬼・茂吉(モキチ)鬼と呼ぶのに対して、中設楽ではそれぞれ、猿田彦命・須佐之男命・大国主命と呼びます。また内容も神話を元にしたものがいくつかみられます。

猿田彦命(榊鬼)は祭りに先だって土曜日の朝7時から地区内の家々を回り「反閇(ヘンベイ)」を踏み、人々の厄と大地の悪霊を祓い、五穀豊穣・病気平癒・村中安全を祈願します。4~5年前に開店したという花宿近くのコンビニの広い休憩所で昼ご飯を食べていたら、榊鬼と囃子方が入って来て5分ほど反閇を踏む所作をした後、車に乗って去りました。

【行事次第】1 滝祓い、2 高根祭り、3 辻固め、4 釜祓い、5 宮入り 、6 神入り、7 しめおろし、8 四季神楽、9 岩戸神楽、10 桴(バチ)の舞、11 笛の舞 、12 一の舞三折(ミツオリ)、13 地固め扇の手、14 地固め野刃(ヤチ)、15 地固め剣(ツルギ)、16 花の舞五折、(猿田彦命の庭入り)17 須佐之男命(朝の山鬼)、18 三ツ舞扇の手、19 三ツ舞野刃、20 三ツ舞剣、21 岩戸開き、22 四ツ舞扇の手、23 足那槌(アシナヅチ)・手那槌(テナヅチ)、24 稲田姫、25 大蛇(オロチ)退治(須佐之男命)、26 四ツ舞野刃 、27 大国主命 (茂吉鬼)、28 四ツ舞剣、29 猿田彦命(宵の榊鬼)、30 湯囃し、31 ひいなおろし、32 宮渡り、33 湯立て、34 竜王しづめの舞

33 湯立て、34 竜王しづめの舞は月曜日13時から行われます。11年前に見学した時と同様、今回も1~30番を28時間に亘って見学しました。(途中、2時間ほど仮眠所で仮眠しました) 

【舞庭(マイド)】舞庭は2002年に建てられた花宿の中にあります。舞庭の中央に釜が据えられ、釜の上の天井には村中安全を祈願する大湯蓋3組が吊るされ、真中の大湯蓋から五方(東西南北と神座)に神が渡る「神道」が伸び、東西南北の神道には赤い鯛の絵と白扇が2ヶずつ吊るされています。大湯蓋の周りには一力花・迎え花と呼ばれる湯蓋がびっしりと吊してあります。

さらに天井の四方には、俗界と神聖な場所である結界を区切るための物として「ざぜち」と呼ばれる長方形の紙の切り絵8種類が注連縄に吊るされています。8種類の切り絵の名前は、日の出・お宮・馬・鳥居・鹿・鶏・鶺鴒(セキレイ)・法師の玉で、吊るす順番も決まっているそうです。

舞庭に吊るされた大湯蓋・一力花・迎え花・ざぜちは全て白い紙で作られ、舞庭の天井は白一色です。他地区の湯蓋は仏教で用いる五色(青・赤・黄・白・緑)の紙で飾られているのとは対照的です。釜に薪火が入るのは釜祓いと湯囃しの時だけです。

【舞前の神事】滝祓い・高根祭り・辻固め・ 釜祓いでは神饌(御神酒・白米・干し柿・蜜柑・餅)と幣帛(ヘイハク)の5組(辻固めでは6組)を並べ置き、花太夫が祭文を唱え九字の印を結びます。また高根祭り・辻固めでは5~6回、蜜柑と餅を投げこれを子供たちが拾います。

滝祓い・高根祭りは花宿の500mほど南から急坂を登った山中で行います。11年前に登った時にはさほどと思わなかったのですが、今回は喘ぎ喘ぎ登り年相応に体力が衰えたことを実感しました。

舞庭に戻った後、先導・塩湯・太鼓・笛・神官・総代長・保存会長・区長などの順で行列を組んで太鼓と笛で囃しながら、花宿から500mほど北にある南宮神社へ神様を迎えに行きます。笛は小・中学生だけの6人で、囃子の後継者です。神社で神事の後、神様を御輿に載せて舞庭に戻ります。舞庭の釜を右回りに3周した後、御輿を神座の祭壇に運び上げます。

2時間ほど夕食休憩の後、19時から神座で、しめおろし・四季神楽・岩戸神楽が連続して行われた後、舞庭で10番以降の舞が始まります。

【舞】やはり人気が高いのは幼児が鈴と扇を持って3人1組で舞う花の舞で、舞い手を替えて5折ほど舞います。23時半頃から始まりました。三ツ舞・四ツ舞は採り物を扇・野刃・剣に替えてそれぞれ50~60分連続して舞います。

神話を元にした舞は、21番の岩戸開きと23~25番の足那槌・手那槌(稲田姫の両親)、稲田姫(須佐之男命に命を助けられた姫)、須佐之男命の大蛇退治です。

そして一番盛り上がったのは最後の湯囃しです。セイト衆の「テーホヘ、テホエ」の大合唱の中、少年4人が湯たぶさを持って釜の周りを舞い続け、何の予兆もなく突然釜の湯をたっぷり含ませた湯たぶさを観客に勢いよく振りかけます。釜から汲んだ湯を入れたバケツを持った付き添い人とともに湯たぶさを持った少年が舞庭の外まで追いかけてきます。

この湯を浴びると無病息災に過ごせるとされています。写真撮影していた私もびしょ濡れになりましたが、帰りの最終バスの時間までには余裕があったので、舞庭の外にある大型の炉の焚き火で上着を乾かすことができました。

 

   瀧祓い                                   高根祭り

 

辻固め                            舞  庭       

 

 釜祓い                                     宮入り

 

四季神楽                                   桴の舞

 

  笛の舞                                      一の舞 

 

 地固め(扇の手)                              花の舞    

 

須佐之男命(朝の山鬼)                           三つ舞(剣)   

 

      岩戸開き                               足那槌・手那槌

 

稲田姫                            大蛇退治     

 

    四つ舞(野刃)                           大国主命(茂吉鬼)

 

猿田彦命(宵の榊鬼)                          榊鬼の伴鬼    

 

湯囃し 

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