月の花祭り(月公民館)

【祭礼日】11月22~23日
【場 所】月公民館(北設楽郡東栄町月字正広平1-2)

【日 程】22日13:00~23日18:00

花祭りは、鎌倉・室町時代に熊野の山伏や加賀白山の聖によって天竜川水系の里に伝えられたとされる神事芸能で、北設楽郡東栄町で11ヶ所、豊根村で3ヶ所、設楽町で1ヶ所、合計15ヶ所で花祭りが行われています。

月の花祭りは、古戸(フット)・布川(フカワ)・足込(アシコメ)・下粟代(シモアワシロ)・中設楽(ナカシタラ)・中在家(ナカンゼキ)・河内(コウチ)とともに振草(フリクサ)系に属し、「古戸の大夫へ天保9年(1838年)まで依頼していたのを、翌10年から月独自で行う」との記録もあるそうで、振草系の中で最も古い歴史と伝統を持つといわれる古戸の花祭りと月の祭りの関係がうかがわれます。

【舞庭(マイド)】花宿となる月公民館内に、神事が行われ諸役の控え所でもある「神部屋(カンベヤ)」、太鼓・笛・「うたぐら」が奏される「神座(カンザ)」、舞が行われる「舞庭」が設けられています。舞庭は土間で、その中央には竈(カマド)が1基設けられ、竈の真上には五色の紙で飾られた方形の湯蓋が吊るしてあります。湯葢は神々の宿る所とされています。竃には釜が置かれています。

【行事次第】1.うちきよめ、2.滝ばらい、3.高嶺(タカネ)祭り、4.辻固め、5.神入れ、6.棚飾り、7.切目(キリメ)の王子、8.天(アマ)の祭り、9.しめおろし、10. かまばらい、11.湯立て、12.総神(ソウカミ)迎え、13.ばちの舞、14.さるごばやし、15.とうごばやし、16.しきばやし、17.御神楽(ミカグラ)、18.一の舞、19.地固めの舞(扇の手・やちの手・つるぎの手)、20.榊鬼(サカキオニ)庭入り、21.中申し、22.花の舞(扇の手・盆の手・湯桶(ユトウ)の手)、23.山見鬼(ヤマミオニ)、24. 三つ舞(扇の手・やちの手・つるぎの手)、25.榊鬼、26.ひのねぎ、27.みこ、28.おつるひゃる、29.四つ舞(扇の手・やちの手、つるぎの手)、30.願主(ガンシュ)の舞、31.おきな、32.茂吉鬼(モキチオニ)、33.湯ばやし、34.獅子、35.ひいなおろし、36.花そだて、37.宮わたり、38.ごこくまつり、39.荒神祭り、40.竜王、41.外道(ゲドウ)刈り

今回は、14時30分から行われた3番の「高嶺祭り」から31番の「おきな」までを見学しました。

【舞い前の神事】

3.高嶺祭り 月の集落が見渡せる高台の一角に注連縄が張り巡らされ、供物が奉書紙の上に置かれます。供物は、御神酒・干柿・餅・椎の実・ミカンなどで、その周囲には先端に御幣を付けた竹5本が立てられます。

祭事の奉仕者は格衣(カクエ)姿に烏帽子を被る宮人(ミョウド)4人で、そのうちの1人が菰の上に座り、注連縄の外に立つ3人と共に祭文を唱え、立ち居し印を結び九字を切ります。

次に、宮人4人が集落の方向に向かって立ち、祭文を唱えながら手に持つ御幣を振り、宮人の1人が餅を集落の方向に投げます。投げられた餅は祭事見学者が拾います。

4.辻固め 花宿となる月公民館の近くに張り巡らされた注連縄の中を祭場として、高嶺祭りと同じように神事が行われます。5番の神入れ以降の神事は、16時から花宿で行われます。

5番の神入れは神部屋で、6.棚飾り、7.切目(キリメ)の王子、8.天の祭り、12.総神迎えは神座で行われます。神部屋や舞庭へ諸国の神々を勧請する儀式で、花大夫と格衣姿の宮人10人ほどが祭事を行います。

10. かまばらい 竈の薪に火が点けられ、花大夫が竈の前に敷かれた菰に座り祭文を読み上げ、御幣を手にした他の宮人は神座で唱和します。次に、花大夫が立ち上がり、剣で竈の周囲を切り祓います。

11.湯立て 笹の葉を持つ花大夫とうたぐらを唱える宮人が一列になって舞庭を周回した後、花太夫が湯釜の前に立ち、諸国の神々の名を唱え、印を結び九字を切って湯を鎮め、釜の湯に笹の葉を浸し湯を振り掛け祓います。

【舞の奉納】舞は21時から奉納されます。

13.ばちの舞、格衣姿に烏帽子を被る1人が右手に撥(バチ)を左手に扇を持って、竈の周りで舞います。

14.さるごばやし・15.とうごばやし 格衣姿に烏帽子を被る1人が右手に鈴を左手に扇を持って、竈の周りで舞います。

16.しきばやし 格衣姿に烏帽子を被る2人が右手に鈴を左手に扇を持って、竈の周りで舞います。

17.御神楽 格衣姿に烏帽子を被る4人が右手に鈴を左手に扇を持って、竈の周りで舞います。

18.一の舞 広袖の上衣・裁着袴(タッツケバカマ)姿に広袖の半纏を羽織り、脚絆を着け白の鉢巻を締める1人が、右手に鈴を左手に扇を持って竈の周りで舞います。

19.地固めの舞 広袖の上衣・裁着袴(タッツケバカマ)姿に脚絆を着け白の鉢巻を締める2人が、右手に鈴を左手に扇を持って、次に、別の2人が左手に「やち」(木刀)を持って、次に、さらに別の2人が左手に剣を持って竈の周りで舞います。これを「三折(ミオリ)」といいます。一折それぞれ40分ほど舞います。以降の花の舞・三つ舞・四つ舞も一折それぞれ40分ほど舞います。

22.花の舞(扇の手) 本来、19番地固めの舞の後、20番榊鬼庭入りになるところ、22番花の舞(扇の手)が舞われました。地硬めの舞の終了時刻が予定より1時間ほど遅れ23日未明の1時になったので、花の舞の舞手である男児に配慮したものと思われます。

金襴の筒袖・黒の袖なし半纏・青の袴姿に花笠を被り、赤の鉢巻を向こう縛りした男児3人が、右手に鈴を左手に扇を持って竈の周りで舞います。

男児3人は、神部屋から舞庭に入る時、舞い終えて神部屋に戻る時、必ず大人に肩車されて出入りします。花の舞を舞う男児は神聖な舞手として扱われています。20番の榊鬼庭入りが終わった後、花の舞(盆の手・湯桶の手)二折が舞われます。舞手はいずれも小学生男児です。

20.榊鬼庭入り 2時少し前、赤装束に赤の仁王襷を腰に巻き、鬼面を被り鉞(マサカリ)を手にした榊鬼が、伴鬼4人を引き連れて登場します。榊鬼は鉞を立てて仁王立ちになったり鉞を振り回したりしながら舞庭をゆっくりと周回します。地元の人が「セイト衆」となって「テーホへ、テホへ」と声を合わせて歌い場を盛り上げます。また、セイト衆は榊鬼に悪態をついたりします。この日ばかりは榊鬼にどんな悪態をついても許されるのだそうです。

23.山見鬼 次の三つ舞の舞人3人が松明を持って山見鬼を舞庭に導き入れます。伴鬼も登場します。山見鬼も榊鬼と同じように舞庭を周回し、竈に足を掛け鉞を振り下ろす所作をします。セイト衆も「テーホへ、テホへ」と声を合わせて歌ったり踊ったりします。

24. 三つ舞 地固めの舞人と同じ衣装の舞人が、3人ずつ順番に扇の手・やちの手・つるぎの手の三折を舞います。舞手は青年で、つるぎの手は女性3人が舞いました。

25.榊鬼 伴鬼とともに榊鬼が再登場し初回と同じように舞い、花大夫と問答したりします。伴鬼の1人が舞庭の外で焚かれている火床の火をかき回し火の粉を飛ばします。

26.ひのねぎ 白の広袖・袴姿に錣(シコロ)頭巾を被り黒尉(コクジョウ)の面を着け、緑・赤・紫・黄4色の紙垂と鈴を持つ「ひのねぎ」が登場し、改め役の禰宜(ネギ)と問答した後、舞いながら舞庭を周回します。

28.おつるひゃる ヒョットコ・オカメなどの面を付けた4人が、飯粒を付けたシャモジや味噌を付けた大根を持って登場し、見物人に飯粒や味噌を擦り付けて回ります。

27.みこ おつるひゃらが舞庭の外で見物人を追いかけ回している間に、巫女姿に紫の頭巾を被り女面を着け、鈴と金箔の扇を持つ「みこ」が登場し、宮人の1人と問答した後、舞庭を舞いながら周回します。おつるひゃらはみこの舞が終わると4人そろって舞いながら舞庭を周回します。

29.四つ舞 三つ舞と同じような衣装を着けた舞手が4人ずつ順番に、扇の手・やちの手・つるぎの手の三折を舞います。最初の扇の手では、広袖の半纏を着けて舞い、途中、この半纏を脱いで手に持ち頭上に振り回したりします。

30.願主の舞 願い事のある人からの所望に応じて、花の舞・三つ舞・四つ舞を舞います。願主の数が多ければその分だけ舞の数が増えます。いずれも一折40分ほど舞います。願主の舞は11時過ぎから16時まで休憩なしで、舞人を替えて延々5時間も続けられました。

31.おきな ひのねぎと同じ衣装で鈴と五色の幣を持つ「おきな」が改め役の禰宜と問答した後、舞いながら舞庭を周回します。

この後、32.茂吉鬼、33.湯ばやし、34.獅子の舞が続き、その後、神事として35.ひいなおろし、36.花そだて、37.宮わたり、38.ごこくまつり、39.荒神祭り、40.竜王、41.外道刈り、が行われ、今年は予定より1時間ほど遅れ19時頃、花祭りの行事が続くそうです。

最終便のバス時間の都合で31番のおきなまでしか見学できませんでしたが、昨日午後から今日夕方まで睡魔と闘いながら26時間に亘り花祭りを堪能しました。

 

     高嶺祭り                            高嶺祭り(供物)

 

高嶺祭り                                辻固め

 

神入れ                                 棚飾り

 

切目の王子                               天の祭り

 

かまばらい

 

 湯立て                               ばちの舞

 

しきばやし                               御神楽 

 

       一の舞                           地固めの舞(やちの手)

 

地固めの舞(つるぎの手)                      花の舞(扇の手)  

 

     榊鬼・庭入り                         榊鬼・庭入り(伴鬼)

 

   花の舞(盆の手)                        花の舞(湯桶の手)

 

     山見鬼                             三つ舞(扇の手)

 

三つ舞(つるぎの手)                           榊 鬼    

 

ひのねぎ

 

おつるひゃる

 

    み こ                              おつるひゃる

 

   四つ舞(扇の手)                       四つ舞(やちの手)

 

   四つ舞(つるぎの手)                    願主の舞(花の舞扇の手)

 

願主の舞(四つ舞やちの手)                        おきな        

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