【祭礼日】3月17日
【場 所】津島神社(津島市神明町1)
【日 程】10:30~11:30
3月17日、津島神社では「祈年祭(キネンサイ)」の中で「春縣祭(ハルアガタサイ)」が斎行されます。
祈年祭は、五穀豊穣を祈る祭りで「としごいのまつり」とも呼ばれます。「とし」とは稲の美称であり、「こい」は祈りや願いで、お米など五穀の豊かならんことを祈ります。
神職が楼門から参進し祓所(ハラエド)でお祓いします。伝供(デンク)により本殿に神饌を献じ宮司が祝詞を奏上した後、本殿と拝殿の間にある祭文殿で春縣祭が行われます。
春縣祭は、古くは「大御田遊」と呼ばれ、明治中期まで祈年祭の代わりに旧歴一月午の日に行なわれていた豊作祈願の田遊び行事です。
祭文殿には砂を円錐状に盛った「盛砂」が二つ設けてあります。最初に、権宮司が盛砂を回りながら「種蒔き」を行います。
次に、「田打ち」が行われます。宮司が稲穂を結び付けた木製の鍬で本殿側の盛砂を打ち、続いて権宮司が同じように盛砂を鍬で打ち、本殿側の盛砂は崩されます。
次に、先端に注連縄を付けた太い竹を持つ禰宜(ネギ)に先導され、二人の白丁(ハクチョウ)が荒縄で括られた大型の素焼き壺を担いで盛砂を三周します。
次に、笏(シャク)を持つ禰宜に先導され、二人の白丁がお櫃を抱えて盛砂を三周します。お櫃には牛の舌餅と白米一升が入っ ているそうです。
その後、玉串奉奠が行われ本殿での祭典が終わると、御幣3本を持つ権宮司と禰宜5人が列を成して境内摂社の井森社(イモリノヤシロ)に向かいます。
井森社本殿前には、高さ1mほどの「しもと棚」と丸形の木桶・角型の木箱が置いてあります。しもと棚の上には葭(ヨシ)の茎が敷き詰められています。丸形の木桶には水が入れられ、縄で括った2匹の掛鮒、2組4匹が木桶の持ち手に掛けてあります。角型の木箱には神饌が入っています。
井森社本殿と隣の祠に御幣をそれぞれ奉納すると、神饌に息を吹きかけないように葉を咥えた権宮司と禰宜1人が、しもと棚に神饌を並べ置きます。神饌は、薄切りした角餅5枚1組が5組、2枚1組が5組、蒸した餅米と小豆の盛り合わせ10組で、いずれも浅底の木箱に載せてあります。次に、掛鮒2組をしもと棚の両端に掛けます。最後に、神饌に木柄杓で水を掛けます。
しもと棚に神饌と掛鮒を供え終えると神職一同は拝礼します。その後掛鮒は木桶に掛け戻されます。
井森社での神事が終わると、神職一同は列を成して境内摂社の柏樹社(カシワギノヤシロ)に向かいます。柏樹社にもしもと棚と神饌が用意されています。掛鮒は井森社で用いたものが使用されます。柏樹社では禰宜2人が井森社と同じように神事を執行し、権宮司と他の禰宜はこれを見守ります。
柏樹社の神事が終わると、権宮司だけが他の境内摂末社に巡拝します。この後、津島神社社前で直会が行われたようです。それが「鯉のまな箸料理」であるのか確認していません。
かつては神事終了後、しもと棚に並べられた神饌を参拝者が奪い合う「棚壊し」をしたそうですが現在は行われていません。
神職が参進する 祓所でお祓いする
献 饌 祝詞奏上
祭文殿の盛砂 種蒔き
田打ち
素焼き壺を担いで三周する お櫃を抱えて三周する
玉串奉奠 居森社に向かう
居森社に御幣を奉納する しもと棚に神饌を供える
しもと棚に神饌を供える しもと棚に掛鮒を供える
神饌に水を掛ける しもと棚の神饌と掛鮒
神職が拝礼する しもと棚の神饌(柏樹社)
柏樹社に御幣を奉納する しもと棚に神饌を供える
神饌に水を掛ける しもと棚の神饌(居森社)