【祭礼日】2月11日
【場 所】八幡神社(あま市七宝町下之森屋敷662)
【日 程】10:00~12:00
「オコワ」とは餅米を蒸した飯のことで、下之森(シモノモリ)のオコワ祭は、オコワを入れたお櫃(ヒツ)を「コモ」に包みこれを石に叩き付けて、餅状になったオコワを奪い合い五穀豊穣と無病息災を祈願する行事です。
当日9時過ぎに八幡神社に着くと、白黒の煉瓦模様の法被を着けた方々が祭りの準備をしています。境内には注連縄が張られた「オコワ石」があります。神楽殿のような拝殿の手前には篝火台2基が設けられています。
拝殿の左側には下之森公民館があり、この前に敷かれたブルーシートの上には荒縄で編んだコモが置いてあります。コモの上部はお櫃を入れこむための口が設けられています。コモは毎年補修しながら使い回しているそうです。
拝殿前で法被姿の10数人と宮司が揃って記念写真を撮ります。その後、拝殿左手前に置かれた大太鼓が打ち鳴らされると拝殿で神事が始まり、篝火が燃やされます。
最初にオコワが入ったお櫃2合などの神饌が本殿に献ぜらます。祝詞奏上・玉串奉奠の後、お櫃などの神饌が撤せられます。
お櫃2合にはそれぞれ餅米1升分のオコワが入っています。このうちお櫃1合は直ちにコモに納められ、役員3~4人がコモの口を縄で幾重にも縛り塞ぎます。注連縄や持ち手用の綱も取り付けられます。
コモは拝殿前に置かれ宮司がお祓いをした後、厄年の女性など数人が綱でコモを持って拝殿を周回し、赤い二の鳥居を潜って宮入りしコモをオコワ石の上に置きます。
コモをオコワ石に叩き付けるのは二人一組で行います。男女の厄年者・氏子役員などに続き所望者も叩き付けに参加できます。10組ほどが入れ替わって15分ほどコモを石に叩き付けるとコモの中のお櫃が割れ、役員がコモの口を手で開けながら餅状になったオコワやお櫃の破片を取り出し見物人に配ります。
本来は、子供たちによるオコワの奪い合いが行われるのですが、新型コロナウイルス禍で3年ぶりに開催された今年は、子供たちの奪い合いは中止になりました。
お櫃のオコワを食すると無病息災で過ごすことが出来、お櫃の破片を家に飾っておくと雷除けになるといわれています。
下之森のオコワ祭は、昭和20年代から30年代頃までは青年団の若者中心のかなり激しい祭りで、女性や子供たちは近づくこともできなかったそうです。現在は、女性・子供も行事に参加できるようになっています。
かつては同じようなオコワ祭りは尾張地方西部の数ヵ所で行われていましたが、現在は、あま市下之森と愛西市勝幡(ショバタ)の2ヶ所だけに伝承されていて、ともに「尾張西部のオコワ祭り」として「記録作成等の措置を講ずべき国選択無形民俗文化財」に指定されています。
オコワ石 コ モ
全員で記念写真 篝火が燃やされる
神 事 八幡神社本殿
お櫃などの神饌を撤する コモの中にお櫃を入れる
縄でコモの口を塞ぐ 宮司がコモをお祓いする
厄年の女性たちがコモを持って周回する
コモをオコワ石に叩き付ける
コモをオコワ石に叩き付ける
コモをオコワ石に叩き付ける
お櫃のオコワを取り出す 餅状になったオコワ
オコワを食する お櫃の破片を分け合う