鬼祭り(滝山寺)

【祭礼日】1月7日に近い土曜日(旧暦)
【場 所】滝山寺(岡崎市滝町山篭107)

【日 程】15:00(大松明・十二人衆行列=滝山寺仁王門~本堂)、17:30(仏前法要=本堂内陣)、18:20(長刀御礼振り=日吉山王社・滝山東照宮)、18:30(鬼塚供養=鬼塚)、18:35(丹切飴・豆撒き=境内特設舞台)、19:00(庭祭り=境内特設舞台)、19:45(火祭り=本堂外陣・回廊)

滝山寺(タキサンシジ)で旧正月元旦から七日間、天下泰平・五穀豊穣を祈る修正会(シュショウエ)が行われ、その結願(ケチガン)の7日(現在は7日に近い土曜日)に「鬼祭り」が行われます。

滝山寺の鬼祭りは、鎌倉時代、源頼朝の祈願に始まるとされ室町時代末期に途絶えた後、江戸時代初期の正保3年(1646年)、将軍徳川家光の命により滝山東照宮が創建され、さらにその翌年、毎年滝山寺において天下泰平の祈願をするようとの命があり、以後鬼祭りは徳川幕府の行事として盛大に行われるようになったといわれます。

明治元年の神仏分離令と幕府の庇護がなくなったことにより鬼祭りは中断しましたが、明治21年(1888年)、滝村の地元住民らにより復活されました。

【祭員の構成】鬼面を被る「冠面者(カンメンジャ)」は、孫面・祖父(ジジ)面・祖母(ババ)面の3人で、孫面は地元の常盤小学校の男児、祖父面・祖母面は厄年の男性から選ばれます。

かつては父面・母面もありましたが、ある年の祭りの日に鳳来寺の山伏と称する2人が、本堂に籠り滝に打たれるなどの7日間の禊ぎ行事をせずに父面・母面を被って祭りを行った後、面を脱ごうとしましたが顔面から離れず息絶えてしまいました。村人はこれを哀れみ父面・母面とともに2人を埋葬し鬼塚を築きました。このため父面・母面は現存していないと伝えられています。

「十二人衆」は、滝山寺周辺の十二谷からの代表者で、庭祭り・火祭りなど祭り行事進行を担い、大松明や冠面者が持つ丸餅なども作ります。

「大役」は、祭りの総責任者で滝町の町内会長が務め、松明行列では裃姿に刀を差し先導役となります。

【大松明・十二人衆行列】行事は、将軍の使者として鬼祭りを執行する「御前(ゴゼン)」(滝山寺住職が務めます)の行列が、江戸から到着するのを迎える場面を模した行列から始まります。

15時頃、滝山寺本堂から1Kmほど離れた麓にある滝山寺仁王門で、御前・十二人衆・冠面者などが行列を整えて、長さ2.5mの大松明を持ち法螺貝を吹き鳴らしながら本堂に向けて出発します。途中、本坊で精進料理の饗応を受けます。

その後、本堂で法要が営まれ、住職は法要の途中で本堂西にある鬼塚を供養します。十二人衆は本堂北にある日吉山王社と滝山東照宮で「長刀(ナギナタ)御礼振り」を奉納します。

【庭祭り】本堂での法要が終り役僧が外陣(ゲジン)に並びそろうと、白の裃姿の冠面者3人が、本堂前の特設舞台から縁起物の「丹切飴(タンキリアメ)」と豆を撒きます。その後、特設舞台で庭祭りが始まります。

最初に、黒の小袖・錦の裁着袴(タッツケバカマ)姿に赤の脚絆を着け赤の鉢巻を締める「東次郎(トウジロウ)」と「西次郎(サイジロウ)」が、長さ2.5m・重さ12Kgの長刀を舞台で振り、祭場を祓い清めます。

次に、青地に花柄の着物・縦縞の袴姿に赤の片襷を掛け赤の鉢巻を締め鍬を持つ「福太郎(フクタロウ)」と「コツボネ」が「田遊び」を演じます。稲作の過程を模し「田打ち」「代かき」「苗代作り」「種まき」「田植え」などを問答しながら演じ、十二人衆が舞台に立ち田植歌を歌います。

最後に、再び東次郎と西次郎が長刀を振り回し庭祭りが終わります。

【火祭り】庭祭りが終わると同時に、大役が打つ拍子木を合図に境内の明かりが消され火祭りが始まります。

内陣で半鐘・双盤(ソウバン)・太鼓が連打され法螺貝が鳴り響くと、白の半襦袢・短パン姿に白の手拭いを頬被りし大松明を持つ男衆20~30人と冠面者3人が本堂の外陣と回廊を駆け巡ります。

孫面・祖父面・祖母面の3人は、赤の小袖・黒の裁着袴(タッツケバカマ)姿に赤の脚絆を着け面を被っています。面を被ると前が見えなくなるので小松明を持つ男衆2人がそれぞれ冠面者3人の両脇に付き添います。

孫面と祖父面は右手に鉞(マサカリ)を左手に松明を持ち、祖母面は右手に撞木(シュモク)を左手に松明を持っています。祖父面には角がありますが、祖母面には角がありません。

外陣と回廊を3回ほど駆けまわると、冠面者3人は直径30cmほどの丸餅を持って登場し、孫面は男衆に抱えられて本堂欄干を東西に移動し、擬宝珠(ギボシ)の上に立ちます。丸餅は豊作を表すといわれます。

大役が打つ拍子木の合図で、半鐘・双盤・太鼓・法螺貝の音が止み松明の火が消され祭りは終わります。

    

大松明                                  冠面者

 

 冠面者が丹切飴と豆を撒く                  東次郎と西次郎が長刀を振る

 

福太郎とコツボ ネが田遊びを演ずる               十二人衆が田植え歌を歌う   

 

大松明が外陣と回廊を巡る

 

鉞と小松明を持つ孫面                       丸餅を持つ祖父面 

 

  丸餅を持つ祖母面                       擬宝珠の上に立つ孫面

祭りの栞(トップ)

 

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