きねこさ祭(七所社)

【祭礼日】1月17日(旧暦)
【場 所】七所社(名古屋市中村区岩塚町上小路1)

【日 程】12:30(川祭り=庄内川万場大橋)、14:00(古式行列=神社周辺)、15:00(神事・鈴舞・乙女舞=神社)、15:30~16:30(厄除け神事=神社)

七所社(シチショシャ)は、熱田神宮の神領であった旧岩塚村の御田(ミタ)神社境内に、熱田神宮が、熱田神宮・八剱宮(ハチケングウ)・大幸田(オオサキダ)神社・日割御子(ヒサキミコ)神社・高座結御子(タカクラムスビミコ)神社・氷上姉子(ヒカミアネゴ)神社・上知我麻(カミチカマ)神社、七社の神の遥拝所を設けたのが本社化した神社です。

七所社の「きねこさ祭」は、御田神社に伝承された田遊び系の御田祭がそのまま七所社に引き継がれて今日に至った祭礼とみられ、厄除け・子孫繁栄・天下太平・五穀豊穣などを祈念して行われ、特に厄除けに霊験があると伝えられていています。

祭りは、役者と呼ばれる後厄(42歳)の男性10名と厄年者の子供2名の12名が中心となって、「川祭り」「古式行列」「本祭り」「厄除け神事」を斎行します。

【川祭り】浴衣姿で長さ8mほどの青竹を担いだ役者12人が、神社境内から繰り出し300mほど離れた庄内川万場大橋北側へ向かいます。黒の礼服を着たカラスと呼ばれる町内の今年の厄年男10数人が2列に並んで取り囲む川岸で、役者は浴衣を脱ぎ下帯一つになり青竹を担いで川の中へ進みます。

川の中ほどで青竹を立て、本日の「厄除け神事」で獅子頭役を務める1人が御幣を手に持って、青竹を立てて持つ役者の肩に乗ります。

獅子頭役は御幣を川に投げ込んだ後、青竹を懸命によじ登ります。青竹が倒れて折れた方向で今年の作物の豊凶を占う神事です。折れた方向が東か南であれば豊作とされます。

青竹を持つ役者たちが「登れ、登れ、もっと登れ」と囃したてます。竹は大きく曲がれどもなかなか折れません。たまらず役者のもう1人が、曲がった竹の中ほどにぶら下がり揺すってようやく竹が折れました。後ほど神社境内に掲げられた案内板によると、今年の竹の折れた方向は「南東で吉」とありました。

【古式行列】社殿前で黒の半纏・股引姿の囃子方による太鼓と笛の囃子が奏された後、高張提灯を先頭にして、氏子関係者・役者12人・舞姫10人・大鏡餅を乗せた二輪車とこれに付き添うカラスなど総勢約50人が神社周辺を行列します。

役者12人は、太鼓・笛・獅子頭・後振り・犬・鷹・「コサ」・杵・「イミホコ」・稚児・傘鉾・射手の古式衣装に着替えています。

厄年の役者10人の内、甲冑武者姿のイミホコ役と黒紋付長着姿に赤の羽織を被る稚児役を除く8人は、黒の素襖(スオウ)姿に紺の軽衫(カルサン)袴を着け侍烏帽子(サムライエボシ)を被っています。笛役は素襖の上に藁で編んだ肩掛けを着けています。

子供の役者2人の内1人は、黒の着物に軽衫袴を着け台に乗せた白の犬を引き、もう1人は素襖姿に侍烏帽子を被り白の鷹を手に持っています。

コサとは杵からこすり落とした餅のことをいい、コサ役は、大根形の白い袋2本を付けた棒を肩に担いでいます。

稚児役は、中に人形が入った種壺を吊るした天秤棒を61才厄年の「田行事」とともに担いでいます。田行事役は、黒の素襖姿に紺の軽衫袴を着け、左肩に天秤棒を、右肩に「天下泰平」「五穀豊穣」と描かれた四角い団扇を担いでいます。

傘鉾役は、左三つ巴紋を描いた長さ2.5mの傘鉾を肩に担いでいます。イミホコ役は弦のない弓を手に持ち、射手役は弓と矢を手に持っています。

【本祭り】古式行列が神社に戻ると、社殿で宮司の祝詞奏上、舞姫の「鈴舞」「乙女舞」、役者・町内厄年者(カラス)の厄祓い、玉串奉奠などの神事が斎行されます。

【厄除け神事】社殿での神事が終わってしばらくすると、太鼓役を除く役者11人と宮司が、見物人が取り囲む大きな輪の中を三周します。「総まわり」というそうです。太鼓役は見物人の後方に設けられた台の上で大太鼓を打ちます。

総まわりでは、笛役は宮司と共に行列の先頭に立ち一周し、二周目で「種下ろし祭文」を書いた奉書紙を高く掲げて祭文を読み上げ、その他の役者が唱和します。三周目では祭文が読み上げ唱和される中、宮司が切幣(キチヌサ)を撒きます。

総まわりでは、役者11人は3列になって前の人の肩に両手を添えて密集状態で進みます。三周した後は、密集状態から間隔を開けた一列の行列になって周回しますが、役者が順番に行列から離れて周回する輪の中に置いてある菰の上でそれぞれの所作を演じます。

二人立ちの獅子役は獅子舞を舞い、犬役と鷹役は犬と鷹に籠の餌を与え、コサ役と杵役は白の輪を臼に見立てて餅つきを演じ、稚児役は種壺から取り出した人形をあやす所作を演じます。

他の役者が菰の上で所作を演じている間に、杵役とコサ役が手に持つ杵・コサで、今年の厄年者であるカラスのお尻を勢いよく打ち厄を落とします。きねこさ祭りと名付けられる所以です。カラスはお尻を突き出して打たれるのを待っています。

コサ役はコサのほかに臼も使ってカラスのお尻を打ち、田行事役は四角の団扇でカラスの頭などを打ちます。

また、菰の上での所作を終えた役者3人が一組になって傘鉾を持ってカラスの集団に突進します。これも厄落としのようです。

甲冑武者姿のイミホコは弓を持って、射手は弓矢を持って周回し見物人の頭上に廻します。皆さんこれに当たらないように頭を下げます。最後に射手が今年の恵方である西南西に向かって矢を放ち祭りが終わります。

 

川祭り

 

川祭り

 

古式行列(笛・傘鉾・杵)                     古式行列(舞姫) 

 

           本祭り(乙女舞)               厄除け神事(種下ろし祭文を読み上げる)

 

  厄除け神事(稚児・種壺・田行事)       厄除け神事(犬・鷹・コサ・杵)         

 

厄除け神事(傘鉾が突進する)                厄除け神事(杵で尻を打つ)

 

厄除け神事(臼で尻を打つ)                    厄除け神事(獅子舞)

 

厄除け神事(イミホコ)                       厄除け神事(射手)

 

祭りの栞(トップ)

 

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