下黒川の花祭り

【祭礼日】1月2~3日
【場 所】ほのぼの会館(北設楽郡豊根村下黒川宮ノ元32-1)

【日 程】2日16:00~3日15:00 

花祭りは、鎌倉・室町時代に熊野の山伏や加賀白山の聖によって天竜川水系の里に伝えられたとされる神事芸能で、豊根村では3ヶ所で花祭りが行われています。このうち坂宇場(サカウバ)の花祭りは昨年11月に見学し、下黒川の花祭りは2ヶ所目になります。

今回もJR東栄駅から古戸(フット)・津具・下黒川3ヶ所の花祭り会場を巡回するシャトルバスのお世話になりました。バスが下黒川の花祭り会場近くの豊根村役場前に着いたのは19時頃で、ほのぼの会館内の舞庭(マイド)では地固め(ヤチ)の舞が始まっていました。


【舞 庭】三間四方の土間の四隅の柱に榊を立て、中央に釜を据えこの真上の天井に五色の紙で飾られた方形の「湯蓋(ユブタ)」が吊るされています。湯蓋は神々の宿る所とされています。天井の四方に張られた注連縄には「ざぜち」と呼ばれる絵や文字を切り抜いた白い紙が吊るされています。俗界と神聖な場所との結界を区切るものです。

釜は3本の鼎(カナエ)で支えられ、それぞれの鼎の脇には下黒川独特の御幣が立てられています。釜の火は極太の木で、舞の間中、絶えることなく注ぎ足され湯を沸かしています。

【行事次第】1.神渡り、2.しめ下し、3.島祭り、4.神迎え、5.楽の舞、6.とうごばやし、7.式さんば、8.地固めの舞(扇・ヤチ・剣)、9.一の舞(3折)、10.花の舞(扇・盆・湯桶・舞上げ)、11.山見鬼、12.三ツ舞(扇・ヤチ・剣)、13.榊鬼、14.すりこぎ・禰宜(ネギ)・巫女・翁、15.湯立て、16.湯ばやし、17.四ツ舞(扇・ヤチ・剣)、18.朝鬼、19.獅子、20.花育て、21.しめ下し、22.龍王の舞、22.神返し

今回はシャトルバスを利用したため、1~7番の神事と18~22番の舞・神事を見学することはできませんでした。上記の他に、「花の舞」の合い間に「順の舞」が2折、御幸神社の舞い手による「四ツ舞(扇)」が舞われました。

奥三河の花祭り15ヶ所のうちまだ8ヶ所しか見学していないのでその限りでのことですが、下黒川の花祭りの舞の特徴を列挙すると次の通りかと思います。(下黒川の特徴というより大入(オオニュウ)系の特徴といった方が良いかもしれません)

1.9番の一の舞では、大きな榊の枝2本を両手に持って前後に大きく仰いだり自分の背に振りかけたりした後、榊の枝でセイト衆の頭を撫でて回りこれで終わりかと思いきや、続いて榊の枝でセイト衆の頭や体を叩きながら回ります。セイト衆を清めるのだそうです。他地区では扇と鈴あるいは笹を持ち静かに舞うだけだったと思います。

2.10番の子供が舞う花の舞も、太鼓・笛の囃しの速めのテンポに合わせて他地区にくらべ勢いよく舞います。笛の奏者は子供を含め10人もいます。

3.15番の湯立ては他地区にはない演目で、紺の着物・袴や舞い用着衣の上に白丁衣装を身に着けた15人が笹の葉の湯たぶさ2~3本を持ち、最初は2列に並び次に御滝の水を竹筒から注いだ釜を囲み、太鼓の音に合わせて20分ほど「御す御料」などを謡います。次に4人が両手に笹の葉の湯たぶさを数本ずつを持って釜の周りを舞います。南信濃霜月祭りの「湯木舞」を見ているようです。

山見鬼では伴鬼が多数(子供鬼3匹と大人鬼2匹)出てきて、伴鬼4匹が四方に分かれて舞います。(1匹は交代で休み)榊鬼でも同様です。

三ツ舞・四ツ舞はそれぞれの採り物ごとに40~50分ほど休むことなく舞います。すりこぎでは味噌の付いたスリコギとシャモジをもった仮面の2人がセイト衆・観客のほぼ全員の顔に味噌をなすり付けて廻ります。白い幣束を持った日の禰宜と五色の幣束を持った翁はそれぞれ花太夫と面白可笑しく問答をします。

湯ばやしでは、藁の湯たぶさを持った4人が釜の周りで1時間ほど舞った後、上半身裸になって共に舞うセイト衆7~8人や観客に湯たぶさに含ませた湯を勢いよく振りかけます。この湯を浴びると病にかからないとされています。

ほのぼの会館の中に売店があり、うどん・焼き鳥・揚げたこ・お酒・ビール・ジュースなどを販売していて助かりました。暖かいうどんは美味しかったです。舞庭の外にドラム缶を使った焚き火がありましたが暗い上、あまり暖かくならないので行くたびにすぐに舞庭に戻る状況でした。

 

舞庭の釜                               湯 蓋

 

地固め(剣)                                 一の舞

 

    順の舞                                   花の舞(盆)

 

  花の舞(湯桶)                            花の舞(舞上げ)

 

山見鬼                                     伴 鬼

 

    三つ舞(扇)                              三つ舞(ヤチ)

 

榊 鬼                             すりこぎ      

 

        日の禰宜                            巫 女

 

  翁                                       湯立て

 

    湯ばやし                                 四つ舞(扇)

祭りの栞(トップ)

 

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