下粟代の花祭り

【祭礼日】1月第二月曜日の前の土・日曜日
【場 所】下粟代生活改善センター(北設楽郡東栄町振草字下粟代黒内8-1)

【日 程】土曜日14:00~日曜日14:30

花祭りは、鎌倉・室町時代に熊野の山伏や加賀白山の聖によって天竜川水系の里に伝えられたとされる神事芸能で、東栄町では11ヶ所で花祭りが行われており、下粟代(シモアワシロ)の花祭りは170年以上の歴史があるといわれています。

【舞庭(マイド)】舞庭は5m×6mほどの広さで五方の柱に榊の枝が括り付けられていて、舞庭の中央に高さ・幅とも1mほどの竈(カマド)が据えられています。竈の真上には方形の湯蓋(ユブタ)が吊るされ、湯蓋から五方の榊に五色の神道が伸びています。このうち緑の神道には紙で作った寛永通宝が、白の神道には魚が付けてあります。

また天井の四方には「ざぜち」と呼ばれる絵を切り抜いた白い紙が注連縄に吊るされています。全部で7種あり並び順は決まっていて、駒・鳥居・巫女・宮・五大尊・日月・鳥の順です。ざぜちは神座・神部屋・天のある会所のそれぞれの四方にも同じ様に吊るされています。


【行事次第】1.滝祓い、2.高根祭り、3.宮迎え、4.辻固め、5.神入り、6.天の祭り、7.切目の王神、8.竈祓い、9.注連(シメ)おろし、10.湯立て、11.総神(ソウゲ)迎え、12.楽の舞、13.さるご囃し・とうご囃し・四季囃し、14.御神楽、15.市の舞(3折)、16.地固め(扇・ヤチ・剣)、17.中申し、18.花の舞(扇・ヤチ・剣)、19.山割鬼、20.三つ舞(扇・ヤチ・剣)、21.榊鬼、22.おちりひゃら、23.日の禰宜(ネギ)、24.四つ舞(扇・ヤチ・剣)、25.翁、26.湯ばやし、27.茂吉鬼、28.獅子舞、29.ひいなおろし、30.五穀祭り・棚かえし、31.宮送り、32.荒神休め、33.外道狩り、34.しずめ

この他にも「一力花」として消防団による無火災祈願の四つ舞(湯たぶさ)や安産祈願の四つ舞(扇)、幼児の花の舞(扇2折)が舞われました。

【神 事】1~11番と29~34番は神事で、緑の上衣と青の袴の格衣(カクエ)姿に烏帽子を被った花太夫と紺の格衣姿に烏帽子を被った宮人(ミョウド)4人によって行われます。最後のしずめは花太夫が1人で舞うようですが、帰りのバス時間の都合があり見学せずに帰りました。

滝祓い・高根祭り・辻固めでの神饌は、御神酒・白米・角餅・干し柿・すだ椎の実・ソバの実の各5組と栗の実1ヶを白い紙の上に置きます。花太夫が祭文を奏上し、印を結び九字を切る間に宮人は順番に、盆に載せた椀の中の白米と塩を撒きます。最後に宮人の一人が五方に向かって餅を投げます。天の祭り・切目の王神などの神事でも同様の所作をしますが餅は投げません。

神座での五穀祭りでは、大太鼓の上に置いた1m×3mほどの戸板の上に白紙5枚を敷き並べ、この上に神饌に加えて大量の白米・もち麦・大豆・粟・すだ椎の実・ソバの実などを山盛りに置き神事を行った後、花太夫と宮人4人が一斉に白紙の上の穀物等を払い除けます。これを棚かえしというそうです。残った白紙は破り裂き床に捨て、その場で御幣を持って四方に向き祭文を唱えます。

次に舞庭近くの辻固めの場所で花太夫が印を結び太刀を抜き、長さ4~5mの青竹の先端に付けた五色の幣に向かって左右に切る所作をします。次に青竹の根元に置いてある神饌に宮人が幣4本を添えて立てます。

【舞】三つ舞・四つ舞はそれぞれの採り物ごとに40~50分ほど休むことなく舞います。花の舞で舞う子供たちは大人に抱き抱えられて入退場します。

山割鬼・榊鬼・茂吉鬼・日の禰宜・神女・翁が登場し舞う時は、舞庭の照明を消し暗くなった中をロウソクの灯で誘導します。鬼の面は3面とも特大サイズです。山割鬼では竈に片足を掛け山を割る所作をします。

茂吉鬼では茂吉鬼と伴鬼2匹が揃って竈に片足を掛け山を割り、最後に茂吉鬼が木の槌で湯蓋の蜂の巣を叩き「祓い銭」を落とします。同時に大量の五色の花吹雪が舞い散りとてもきれいです。

おちりひゃらではヒョットコ面の2人が味噌の付いたすりこぎを、オカメ面の2人が飯粒の付いたしゃもじを持って、見物席や舞庭を周回し縁起物とされる味噌や飯粒を観客などの顔になすり付けます。その後、採り物を鈴と扇に持ち替えて四つ舞と同じ様に竈の周りを舞います。

獅子舞では、胴幕に3人が入った獅子を幣を持ったオカメが竈の周りをゆっくりと誘導します。すると獅子の足役1人が胴幕の中から出した藁の湯たぶさを釜の湯に浸け、湯を辺り一面に振り掛けます。

「御見舞」と称する寄付をすると稲荷寿司と食券が戴けます。まずこれで腹ごしらえをします。舞庭の外ではおでん・お汁粉・四ツ舞燻製・お酒・ビールなどを販売していて、その中でも四ツ舞燻製が女性や子供に人気がありましたが、私は暖かいおでんとお酒に負けて四ツ舞燻製は食べ損ねました。食券は使わずじまいになりどんなものが戴けたのか分かりません。

 

舞 庭                                     滝祓い

 

  宮迎え                                     高根祭り

 

         神  饌                             辻固め

 

  神入り                                   天の祭り

 

切目の王神                                   竈祓い

 

湯立て                                   楽の舞

 

御神楽                                    市の舞

 

 地固め(扇)                              花の舞(扇)

 

    山割鬼                                   三つ舞(剣)

 

    榊 鬼                                  おちりひゃら

 

おちりひゃら(神子)                           日の禰宜    

 

四つ舞(ヤチ)                                 翁     

 

湯ばやし                                   茂吉鬼

 

茂吉鬼の花吹雪                                獅子舞   

 

五穀祭り                                    棚かえし 

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